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カルチュラル・スタディーズとは | 町田樹のスポーツアカデミア 【Dialogue:研究者、スポーツを斬る】 ~ポスト・スポーツの先を見据えて~
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部例えば、大阪なおみさんのように「ブラック・ライブズ・マター運動」の象徴的な人物になっていくということも珍しくはありません。今アメリカでは黒人アスリートたちが、自分たち黒人がアメリカの中で置かれている状況をやっぱりよしとせず、アスリートたちが反人種差別の運動を行っています。また、スポーツって男性中心の社会でできていて、例えば男性監督とか、男性コーチたちが女性たちを指導しており、見えてこなかったハラスメントの問題などが出てきた。それは指導者と教えてもらう側の権力関係があるので、なかなかオープンにできない部分があった中で、勇気を持って「#Me Too運動」など「私もそういう犠牲にあってきたんだ」という声を上げることができる。一人が声を上げると、SNSを介して世界中で同じような境遇に置かれている人が、「私もそうだ」「私もそうだ」って意識や思いを共有していくことができるようになってきています。その時に、本当にスポーツが大事な場所・フィールドになってきているんですよね。アスリートが、この社会にある理不尽なことであるとか、不平等、そういったものに勇気を持って意義を申し立てていく。そういう存在に、アスリートたちがなりはじめている。私の研究テーマは、まさにカルチュラル・スタディーズがやってきたことをスポーツのフィールドの中で展開していくこと。それが最近の大きな関心・仕事だと思いますね。
ブラック・ライブズ・マター運動
M:どうしても日本では、そういう選手の主張が取り上げられなかったり、逆に炎上してしまったりというケースが見られますけれども、なかなか難しいことなのでしょうか。
Y:やっぱり今、日本でプレーしていても多くの若者たちは世界のアスリートたちの動向が手に取るようにも分かるので、今まで通りでは日本のスポーツ界もいられないだろうなと。だから積極的に声を上げるアスリートが、日本の中からも、これからどんどん出てきてほしい。何か意義を申し立てることは当然リスクがあることで、社会的に受け入れられないこともあるかもしれない。私たちのような学者が、それは今の現代社会にとってどういう力強い意味があるのか。どんなふうに社会を良くしていく希望がそこにあるのかということを補強してあげたいし、助けてあげたい。できれば広めてあげたい。だから、私の研究は研究であると同時に、現代アスリートたちの勇気ある行動をサポートしたいし、広げていく。それも自分にとっての一つの研究だと思っていますね。
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