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これ以上はできない、と言いきれる演技でしたーー。右足首の怪我を乗り越え、宇野昌磨が栄冠掴む | ISU世界フィギュアスケート選手権2023 男子シングル レビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部さらには後半のコンビネーションは、4回転トーループ+2回転トーループの予定のところ、2本目をあえて1回転に留めた。「ダブルトーをつけても1点ちょっと。それが必要だったらやりますけど、この演技内容だったら……」との判断だ。2本飛んだ4回転トーループに、いずれも「q(4分の1回転不足)」がついたことだけは、どうやら宇野の計算ミスだったようだけれど。
ジャンプを冷静に計算しつつ、丁寧に、しかし情熱的にスピンやステップをこなした。すべてレベル4どころか、GOEはほぼ+5と+4ばかりがずらり並ぶ。中でも後半のアリア「我が苦しみよ、急げ!」の、カウンターテナーの悲痛な歌声と共にすべてがクレシェンドしていくステップシークエンスは、GOE満点の評価だった。
そして解放の時。最後のポーズを取り終えた直後、宇野は氷の上に大の字に寝そべった。割れんばかりの喝采を聞きながら。FS196.51点は、0.11差で逃げ切り首位につけ、トータルは301.14点。日本男子としては史上初めての、世界選手権2連覇を達成した瞬間だった。
「もう一回やったら絶対に無理だなという演技を、ショート、フリーともにできたと思っています。本当に、これ以上はできない、と言いきれる演技でした」(宇野)
ところで優勝直後の場内インタビューで、「今後どういう形でスケートをやっていくかは分からないですが」と、宇野の口から気になる発言も飛び出した。まずは右足首の故障をゆっくりと直したあと、アイスショーを回りつつ、成績一辺倒ではなく、楽しく、面白く、子供の頃に憧れた高橋大輔のような……そんなフィギュアスケーターとしての理想形を探し求めていくつもりなのたとか。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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