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#7【鼎談】町田樹 × 水鳥寿思さん × 赤平大 ー「AI採点」についてー(2) | 町田樹のスポーツアカデミア 【Forum:フィギュアスケートが求める理想のルール】
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部また、定量的に角度を定義し、計測をしていくわけですけれども、体操でも先ほどお話をした15度に満たない場合は減点をしない、それ以上は0.1を減点します。採点の中では15度が基準になっているのですが、実際に人間が見たとき、これは減点をしなくてもいいよねという場合があります。つまり15度未満に収まっているというところで人が思っている15度や、あるいは、2秒静止しなければいけませんという、この2秒の印象が実は違っていることは、かなりあるということが分かってきているんですね。つまり1.8秒でも、多くのジャッジは減点しなくてもいいんじゃないか、というような採点を実はしていたというようなことがあります。実際にAIで採点することに合わせた時間調整、角度調整をしていないことによるミスマッチが非常に起きています。このまま本当にルールブック通りの採点をすると、かなりかけ離れた点数が出てしまう。これはどちらが正なのかといったところのすり合わせが、まだまだ課題としてあります。
M:ということは、本当にそのルールでいいのかということを、人間がもっと考えていかなきゃいけないということですね。
H:おっしゃる通りです。まずはこれを定量的に、実際に評価をしたときには、こうなっていますということをしっかりと確認した上で、本当に角度の減点は、その定義でいいのか、そういうことを考えていかなければいけません。ですが、評価がないままに、15度、30度、45度ということを決めてしまっているというところです。定量的にすることは、競技の透明性が重要ではあるんですけれども、そうした評価をした上での決定ではないということになっています。
M:最初にAIのプログラミングをするのは人間だから、何が美しくて、どこに欠損があるのかという部分を、人間が明確に定量化したり、あるいは定義してAIに教え込むという作業があって、初めて正しくAIが導入できるということですよね。
H:そうですね。これをやっていくと、いろいろな課題が出てきます。例えば15度というのは、実際にどことどこを結んだところから見た15度なのか。そういうことも、実はしっかりと定義ができていなかったという項目もたくさんあるんですよね。だから、AIを導入するにあたっては、事前にそれを基にしたルール改正をしっかりと念頭に置かなければいけないのですが、まずはそこに向けて全体の気運の情勢というところも、まだまだ課題なのかなと見ています。
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