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モーター スポーツ コラム 2023年6月15日

スーパーフォーミュラ第5戦プレビュー|魔物が棲むSUGOは、新ヒーローが誕生する場所でもある

モータースポーツコラム by 吉田 知弘
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シーズン折り返しとなるスーパーフォーミュラ

毎戦注目度を増している2023全日本スーパーフォーミュラ選手権。今週末は早くもシーズン折り返しとなる第5戦を迎える。

舞台となるのは、宮城県のスポーツランドSUGO。ここ数年でピットビルも新設されたほか、今年4月には場内にモータースポーツカフェ『SUGO CAFE』がオープンするなど、現地で観戦する際の環境も、より快適なものに生まれ変わりつつある。

そんなSUGOだが、いざレースウィークが始まると気になってくるのが“SUGOの魔物”という存在だ。普段ではあり得ないようなアクシデントやトラブル、ハプニングなどがSUGOになると不思議と起こり、レースが大荒れになる傾向があることから、関係者やファンの間で「SUGOには魔物が棲む」と、よく言われている。

■やはり気になる……“SUGOの魔物”の存在

昨シーズンのSUGO大会は荒れた展開となった

過去の事例を振り返ると、比較的SUPER GTで“SUGOの魔物”が現れて、レースが大荒れになっていくことが多いのだが、スーパーフォーミュラでも他のコースではあまり起きないようなハプニングも見られる。(ちなみに昨年は予選Q1Aグループの開始直後に、カモシカが最終コースに侵入し、赤旗中断になるということも起きたほか、決勝では序盤にセーフティカーが2回導入されるなど、荒れた展開となった)

今年は新しい空力パッケージが採用された『SF23』に変わったことで、SUGOの攻略法は少なからず変わってきそうな印象がある。特にコース後半の複合セクションであるSPコーナーや、『SF19』時代はアクセル全開で曲がっていたと言われる最終コーナーなどは、一歩間違えば即クラッシュに繋がってしまう区間だけに、予選前に行われる90分のフリー走行が勝負どころ。限られた時間で、いかに合わせ込みができるかが鍵になりそうだ。

また今季は、初めてSUGOを走るというドライバーも多い。前回は“初オートポリス”で優勝を飾ったリアム・ローソン(TEAM MUGEN)も「SUGOが今シーズンの中で一番タフなレースになるかもしれない。すでに予習を始めているけど、すごくトリッキーなコースだ」と語るなど、かなり警戒している様子。ひとつのミスがクラッシュにつながるコースだけに、SUGO初経験となるドライバーたちにとってはハードルの高い週末になるだろう。

今シーズンは、新しいマシンとタイヤが導入されたことで、レース中のオーバーテイクシーンも格段に増えている。ここSUGOは、シーズンを通して見ると追い抜きの機会が少ないコースではあるが、ここまでの傾向を踏まえると、1コーナーや馬の背コーナーあたりでサイド・バイ・サイドのバトルも何度か見られるかもしれない。昨年までとは違ってコース上で追い抜き合戦が始まると、接触等で荒れる展開に進んでいくことも十分に考えられる。

いずれにしても、どういう形でSUGOの魔物がレースに絡んでくるのか……週末の行方を見ていく上で、欠かせないポイントだ。

■SUGOは初優勝のドライバーが生まれる場所でもある

念願の国内トップフォーミュラ初勝利を飾ったS.フェネストラズ

“荒れるレースが多い”と言われるSUGOのレースなのだが、スーパーフォーミュラに関しては初優勝を飾るドライバーが誕生している地としても知られている。

2021年は当時DOCOMO TEAM DANDELION RACINGに在籍していた福住仁嶺。そのシーズンは開幕戦から速さをみせ、4月の第2戦鈴鹿では自身初のポールポジションを獲得するも、決勝ではトラブルに見舞われて悔しいリタイヤを喫した。その他でも流れが良くないレースが続いていたが、このSUGOでは予選・決勝ともに安定した走りをみせ、国内トップフォーミュラ初優勝を獲得。レース後は満面の笑みを見せていたのが印象的だった。

記憶にも新しい2022年はサッシャ・フェネストラズ(当時KONDO RACING)が念願の初勝利を飾った。2019年に全日本F3選手権でチャンピオンを獲得し、翌年からスーパーフォーミュラに挑戦するも、1年目は不運なアクシデントが序盤に発生し、まともに走れないままシーズンが終了。2021年もコロナ禍に伴う入国規制の関係で来日が大幅に遅れ、全7戦中5戦で欠場を余儀なくされた。

それでも、日本でレースをして結果を残すことにこだわり続けたフェネストラズは、2022年は開幕戦から上位に食い込む走りを披露。SUGO大会ではスタートでトップに浮上し、レース中も力強い走りを維持し、待望のトップチェッカーを受けた。

さらに過去を振り返ると、2年連続チャンピオンである野尻智紀もルーキーイヤーだった2014年のSUGO大会で涙の初優勝を飾ったほか、フォーミュラ・ニッポン時代だった2010年には大嶋和也が、ここで初優勝を経験している。

そういう意味では、今年も新たなヒーローの誕生に期待も高まるのだが、前半戦を見ていると候補者も何人かいる。

前回のオートポリスで6位入賞を果たした牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だ。今シーズンはマシンやタイヤが新パッケージに変わったことで少し苦戦をしていたようだが、前戦で手応えを掴んだ様子。SUGOはダンディライアンが得意とするサーキットなだけに、予選から上位グリッドを獲得できれば、初優勝のチャンスも見えてくるのではないだろうか。

牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

同じく注目なのが、昨年ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した佐藤蓮(TCS NAKAJIMA RACING)だ。第3戦鈴鹿では駆動系トラブルでフォーメーションラップ中にリタイアとなってしまったが、それ以外の3レースではコンスタントにポイントを獲得している。TCS NAKAJIMA RACINGも昨年はSUGOで速さをみせていただけに、うまく歯車が噛み合えばトップ争いに加わる姿も見られそうだ。

この他にも前回のオートポリスでは予選3番手を獲得し、復調の兆しをみせている阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)や、過去にもSUGOで好レースをみせた経験のある小林可夢偉(kids com Team KCMG)など、初優勝候補はたくさんいる。今年も感動の瞬間がみられるのか、注目の1戦となる。

もちろん、ランキング上位の争いも目が離せない。前回のオートポリスでは、野尻智紀(TEAM MUGEN)が体調不良で欠場し、僚友のリアム・ローソンが首位に浮上したのだが、2番手の宮田莉朋(VANTELIN TEAM TOM’S)、3番手の坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)など、ポイント差が非常に接近しているだけに、ここでも1ポイントでも多く獲得するためのつば迫り合いが見られそうだ。

SUGOの魔物の出現次第で、どういった展開になるのか……。全く予想のつかないレースウィークになるが、予選から決勝まで、手に汗握るバトルが展開されるのは間違いない。

文:吉田 知弘

吉田 知弘

吉田 知弘

幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ

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