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【ツール・ド・フランス2022 レースレポート:第5ステージ】パヴェに笑ったものと泣いたもの この先の戦いを予感させたポガチャルのパヴェ適性と契約なしの危機を乗り越えたクラークの喜び
ツール・ド・フランス by 福光 俊介レース後に仲間と勝利を喜ぶサイモン・クラーク(右)
ツール・ド・フランスにパヴェ(石畳)ステージが採用されると、必ず何かが起こる。いや、主催者が大きな出来事をもたらそうとして設定しているわけだから当然といえば当然なのだが、そこで交わる悲喜はその後のレース展開にも大きな影響を及ぼす。
2014年の第5ステージでは、冷雨に身も心も傷ついたクリストファー・フルーム(当時チーム スカイ)が石畳を前にレースを去り、誰も想像していなかったパヴェ適性を披露したヴィンチェンツォ・ニバリ(当時アスタナ プロチーム)がステージ3位でその後のマイヨ・ジョーヌ獲得につなげた。
2018年の第9ステージでは、ジョン・デゲンコルプ(当時トレック・セガフレード)が3人の争いを制し、一方でリッチー・ポート(当時BMCレーシングチーム)がレースを去った。この年頂点に立ったゲラント・トーマス(当時チーム スカイ)は、パヴェスペシャリストである元来の脚を生かして難なくステージをクリア。その後、アルプスでマイヨ・ジョーヌをたぐり寄せた。
ツールのパヴェステージで起きた出来事を挙げればいくらでも出てくるけれど、ひとつ間違いないのは、思いがけないことでマイヨ・ジョーヌのチャンスを完全に逸する危険性が潜んでいること。やっぱり今年も石畳に笑った選手と、泣かされた選手に分かれた。
リール・メトロポルからアランベール・ポルト・デュ・ハイナまでの153.7kmの行程中、パヴェは全11セクション・総距離19.4km。レース半ばから後半にかけて集中しており、主催者にして「大会第1週で最もアクロバティックなチャレンジ」。現地フランスでは“ミニ・パリ~ルーベ”と称し、ステージの盛り上がりを煽った。
実際のところ、「“一発勝負”のパリ~ルーベとは違った展開になるのでは?」というのが現地での見方だった。元祖パリ~ルーベはスペシャリストの競演だけれど、この“ミニ・パリ~ルーベ”は先々のマイヨ・ジョーヌ争いを見据える総合系ライダーをいかにトラブルなく走らせるかがポイントだったからだ。もちろん、自由を与えられるスペシャリストもいるだろうけれど、総合エースを放っておくわけにはいかないチームが大多数のはずである。
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