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サイクルロードレース コラム 2026年6月2日

大会名が変わってもツール前哨戦の地位は揺るがない 2026年大会はヤングライダーの品評会|Cycle*2026 ツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ:プレビュー

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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ツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ

昨年まではクリテリウム・デュ・ドーフィネという名称だった

ツール・ド・フランス前の脚試しの機会として確たる地位を築いてきた「クリテリウム・デュ・ドーフィネ」が、2026年より「ツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ」と大会名称を変更。とはいっても、ツール前哨戦としての立ち位置は揺らぐことはなく、何なら2026年大会は1カ月後の本番を見越した若いオールラウンダーたちがチャレンジの場に選んでいる。

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開催地オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地方が運営に参画

1947年に初開催、当時は新聞社ドーフィネ・リベレの発行部数増加を目指し、社名をそのまま大会名に。やがて大会運営体制が変わり、ツールを主催するA.S.O.(アモリ・スポル・オルガニザシオン)が全権を引き継いだ2010年にクリテリウム・デュ・ドーフィネの名へ。

ツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ全体図

ツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ全体図

サイクルロードレースファンにとっては“ドーフィネ”の名で親しまれてきたこの大会だが、2026年大会から新たなフェーズへと移る。A.S.O.がレース開催地のオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地方と提携。これを機に、新たな大会名として「ツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ」と呼ばれることになった。

山岳比重の高い8日間、チームTTの採用も

大会名が変われど、レースイベントとしての趣きは変わらない。開催回数も引き継がれ、今回は第78回大会となる。全8ステージで、同地の地形を生かした山岳ルートが選手たちの脚を試していく。

今年も第1ステージ(146.2km)からサバイバル化しそうだ。5つのカテゴリー山岳を越え、フィニッシュへ向かっても上り基調。開幕早々、メイン集団の人数は相応に絞られていることだろう。一方で、第2ステージ(234.3km)は丘陵コースにカテゴライズされるが、スプリンター系の選手たちにもチャンスがあるのではないかとの現地評。中盤の2級山岳コル・ロベール・マルシャンは登坂距離10.9km。平均4.4%の上りを耐えられるかがひとつポイントになってくる。

今大会の大注目は第3ステージ。28.4kmのチームタイムトライアルだ。ツールでも実施されるとあり、今回はどのチームも最終テスト的な位置づけて臨むことだろう。本番へ向け、最新装備やキットを試す選手やチームも見られそう。なお、今回はツール本番より10km近く距離が長くなっている。

ツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ

屈指の山岳地方を舞台に争われる

大会中盤戦は丘陵地帯を走行。レース半ばまでに5つのカテゴリー山岳をクリアする第4ステージ(167.4km)、中間地点以降はほぼフラットの第5ステージ(195.8km)は、逃げと集団との駆け引きが見られそう。

ツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ

第7ステージ コースプロフィール

終盤3ステージは、いずれも上級山岳頂上フィニッシュ。第6ステージ(182.3km)は1級山岳クレスト・ヴォラン(登坂距離5.9km、平均勾配7.7%)、第7ステージは(133.6km)は超級山岳グラン・コロンビエ(8.4km、10.2%)、第8ステージ(120km)は超級山岳プラトー・ド・ソレゾン(11.3km、9.1%)と、それぞれ大勝負が見られることだろう。今大会の個人総合成績に反映されることは間違いなく、もっともツール本番へ、状態の良い選手を測る絶好の場となるはず。

ツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ

第8ステージ コースプロフィール

例年と比較しても山岳比重が高い印象の8日間。チームタイムトライアルの採用も含め、個の力だけでなくチームとしていかに戦い抜くかが重要になってきそうだ。

フランス国民の期待を背負うセクサス デルトロやアユソ、オンリーも頂点狙う

過去にはツールのマイヨ・ジョーヌ候補がこぞってこの大会に集まったこともあるが、今回は違ったムードになりそうだ。次世代を担う若いオールラウンダーが続々と出場意志を示しているのである。

開催地フランスの期待を一心に背負うのは、19歳のポール・セクサス(デカトロン・CMA CGM チーム)。日頃からレースを追っている方なら、彼の飛躍ぶりは手に取るように分かるだろう。

今季はストラーデ・ビアンケとリエージュ〜バストーニュ〜リエージュで、絶対王者タデイ・ポガチャルUAEチームエミレーツ・XRG)に果敢に食らいつき、敗れはしたものの大殊勲の2位。その実力が本物であることを示すように、4月にはイツリア・バスクカントリーで個人総合優勝を果たした。極め付きはラ・フレーシュ・ワロンヌでの、激坂ユイの壁の一番登頂。ワンデーレース、ステージレース問わず力を発揮でき、今大会も順当にいけば上位戦線に顔を見せるはず。第3ステージのチームタイムトライアルを終わった段階で順位的にどこへ位置するかで、大会終盤の山岳ステージでの走り方が見えてきそう。

ツール・オーヴェルニュ・ローヌ・アルプ

牧歌的な美しさも楽しめる

勢いと総合力なら、イサーク・デルトロ(UAEチームエミレーツ・XRG、22歳)も負けてはいない。数多くのレースで実績をつくり、今季もUAEツアーとティレーノ〜アドリアティコで個人総合優勝。セクサスが勝ったバスクでは落車負傷によりリタイアとなったが、体調を戻してこのレースで復帰を果たす。ツールではポガチャルのアシストを務める公算だが、役割をこなしながらも自身のリザルトを狙うだけの力はある。チームとしてもセクサスはマークすべき存在だが、今回はツール本番前の“高い壁”として彼が立ちはだかる。

春はパッとしなかったフアン・アユソリドル・トレック、23歳)も、今季の最大目標となるツールを前に良いイメージを残しておきたい。総合力の高さはこれまでの走りからも証明済み。どうしても波がはっきりしがちなコンディション面が整えば、今大会でのトップも十分に狙っていける。マティアス・スケルモース(25歳)との共闘も、機能すると面白みが一気に膨らむ。

昨年のツール個人総合4位のオスカー・オンリー(ネットカンパニー・イネオス、23歳)は、現チーム入り後はゆっくりと仕上げている印象。ツールでは名門チームの総合エースを担う見通しで、まずはここで首脳陣に安心感を与えたいところ。伝統的に強いチームTTで上位に立って、優位にレースを進めたいところ。

個人総合争いにとどまらず、スピードマンも多数参戦することでステージ優勝争いも激しいものとなりそうだ。パリ〜ルーベ優勝がまだまだ記憶に新しいワウト・ファンアールトチーム ヴィスマ・リースアバイク)や、今シーズンスプリントで5勝を挙げているドリアン・ゴドン(ネットカンパニー・イネオス)あたりはポイント賞候補にも挙がる。このほかにも、ツールを前に急浮上するアウトサイダーが出てくれば、先々の楽しみが一層大きなものとなる。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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