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ポガチャル史上最多タイとなる5回目の総合優勝。ファンデルプールがシャンゼリゼ逃げ切り勝利|ツール・ド・フランス2026 レースレポート:第21ステージ
サイクルロードレースレポート by 山口 和幸総合表彰台 優勝ポガチャル、2位エヴェネプール、3位デルトロ
UAEチームエミレーツ・XRGのタデイ・ポガチャル(スロベニア)が2026ツール・ド・フランスで総合優勝し、サイクルロードレース界の伝説である4選手が並ぶ大会最多の5勝目を飾った。最終日7月26日の第21ステージはそのポガチャルとアタックしたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック)が間一髪で逃げ切り勝利を果たした。
J SPORTS オンデマンド番組情報
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配信日時 : 2026年8月1日(土)午後10:00 ~
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第1ステージ Cycle*2026 ツール・ド・フランス ファム
配信日時 : 2026年8月1日(土)午後10:45 ~
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ブエルタ・ア・エスパーニャ Cycle*2026 サイクルロードレース応援部
配信日時 : 2026年8月11日(火)午後7:00 ~
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災害対応を優先して急きょパリ・サーキットのみに
2026年7月4日にスペインのバルセロナで開幕した第113回大会もいよいよ最終日。前日までアルプス山脈での山岳ステージが行なわれ、総合1位から3位までのポディウム(最終登壇者)、4賞ジャージの行方がほぼ決まり、この日は華やかでエキサイティングなファイナルレースが期待された。だれがモンマルトルの丘でアタックし、シャンゼリゼのゴールにトップフィニッシュするかが最大の注目どころだ。
スタートはパリ郊外のトワリーで、当初は距離133kmで行なわれる予定だったが、フランスやスペインの各地で山火事が頻発し、その災害対応として派遣される人員を確保するため、トワリーからパリまでのコースがカットされた。選手はトワリーの壇上でプレゼンテーションのあいさつをした後、チームバスに乗ってパリのシャンゼリゼ通りに向かい、最終ステージを開始した。ステージは全行程がパリで行われることになり、シャンゼリゼ通りを7周、その後モンマルトルの丘を含む長いサーキットを3周。第21ステージの距離は88.7kmになった。
最初の数周は、3週間にわたる激戦を生き抜いた158選手たちの功績を称えるなごやかな凱旋パレードとなる。レースが本格的に動き出すのは、ゴールまで75kmの地点でロット・アンテルマルシェのバティスト・ヴェストロフール(フランス)がアタックを仕掛けてからだ。23日間の激闘でもまだエネルギーを蓄えていたヴェストロフールが何度か動きをみせたが、高速で走る集団に阻まれてしまう。
モンマルトルの周回コースは盛り上がりも最高潮
選手たちが残り3周に入ると総合タイム計測のストップボタンが押され、各賞受賞者が確定した。ここからはだれがシャンゼリゼを制圧するかに関心が集まる。集団はコート・ド・ラ・ビュット・モンマルトル(距離1km、平均勾配6.5%)へと向かう。ピナレロ・Q36.5プロサイクリング チームのシャビエル・アスパレン(スペイン)とトタルエネルジーのティボー・ゲルナレック(フランス)が最初にこの難所に挑む。しかし、リドル・トレックのマッズ・ピーダスン(デンマーク)がそのパワーを発揮し、先頭で頂上を目指す。
千両役者たちが大観衆のモンマルトルを駆け上がる
( 1回目のモンマルトルはピーダスンが先頭通過。しかしその差はごくわずかで、約100人のライダーが最終ラップの1つ前の周回で再び集まる。コート・ド・ラ・ビュット・モンマルトルへの2回目の登りでは、UAEチームエミレーツ・XRGが攻勢を強め、マイヨ・ジョーヌを着るポガチャルがアタックする。
ファンデルプールだけがマイヨ・ジョーヌを最後まで追いかけ、2回目の頂上を先頭で通過した。総合2位のレムコ・エヴェネプール(ベルギー、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)がその後を追い、急速に差を縮める。さらにピーダスンがゴールまで23km地点で彼らに合流。4人の新旧世界チャンピオンがレースを引っ張るという身震いするような展開である。集団は15秒遅れているが、デカトロン・CMA CGM チームが先頭で追いかける。この動きで、残り19kmの地点で再び集団に合流。
逃げるメンバーが全員世界選手権優勝者
そして最後のモンマルトルで千両役者たちが大観衆にその存在感を見せつけた。ファンデルプールが2026ツール・ド・フランスの最後となる上りで力強いアタックを仕掛け、ポガチャルがそれに続いた。2人は追走集団に最大15秒の差をつけ、メイン集団はさらにその後ろに迫っていた。デカトロン・CMA CGM チーム、NSNサイクリングチーム、コフィディスが集団スプリントに持ち込もうとしているのだ。
ファンデルプール・ポガチャルの2人と追走集団との差は徐々に縮まり、残り3km地点で10秒、最終1km地点で5秒に縮まる。総合優勝を確実にしているポガチャルがついに逃げを断念したのに対し、単独となってしまったファンデルプールは残り600mで最後の力を振り絞ってスパート。スプリンターたちがファンデルプールに迫るが、チームメートであるヤスペル・フィリプセン(ベルギー)がライバルをマーク。ファンデルプールがわずかにトップフィニッシュし、フィリプセンが最後にピーダスンをかわして2位になった。
マチュー・ファンデルプールが逃げ切り勝利
「昨年は体調を崩してテレビでこのステージを見ていた。あのとき、ここで優勝することを目標にした。こんな展開になるとは夢のようだ」とファンデルプール。
「世界最高のライダーたちと肩を並べるのは本当に大変だった。タデイ・ポガチャルには心から敬意を表する。追いつかれるんじゃないかと思った。その時、昨年のあの瞬間を思い出して、最後の500mで頭を下げて突っ込んだ。できる限り全力で走った。だれかが追い抜いてくるぞと思ったが、最後に隣にピレリのタイヤが見えた。それはジャスパー(ヤスペル・フィリプセン)のものだった。僕たちが決して諦めなかったことをこの勝利が示してくれたよ」
ツール・ド・フランス開幕時、チームは全体としてよくなかったという。しかし最終的にはシャンゼリゼで1位と2位。ファンデルプールは「キャリアの中でまだ勝ちたいレースがいくつかある」と言っていたが、ツール・ド・フランスの第21ステージはそのうちの一つだったという。
ポガチャルが「5勝クラブ」の仲間入りを果たす
第21ステージの中盤から積極的に動いたピーダスンは最後にファンデルプールに追いつけず、フィリプセンにも抜かれて区間3位となったが、デンマーク選手として初めてポイント賞のマイヨ・ヴェールを獲得した。これでグランツールと呼ばれる三大ステージレースすべてでポイント賞を獲得した6人目の選手となった。
EFエデュケーション・イージーポストのリチャル・カラパス(エクアドル)は、アルプス山脈の第18、第20ステージを制し、第19ステージで山岳賞トップに。じつは2024年も第19ステージでポガチャルから赤玉デザインのマイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュを奪っていて、その時以来の2度目の山岳賞を受賞。さらに大会を通して最も積極果敢に走った選手に贈られるスーパーコンバティビティ賞も手中にした。
総合3位はポガチャルのアシスト役、イサーク・デルトロ(メキシコ)で、ヤングライダー賞の純白ジャージ、マイヨ・ブランも獲得。メキシコ勢が同賞を獲得したのは1987年のラウル・アルカラに続く快挙で、じつに39年ぶりだという。今大会の最優秀チームメート賞には米国ナショナルチャンピオンのクイン・シモンズ(リドル・トレック)が選出された。
5勝クラブ入りを果たしたタデイ・ポガチャル
最終的に区間30位となったポガチャルは、5本の指を示してゴールラインを通過した。2020年、2021年、2024年、2025年に続き、自身5度目の総合優勝を果たした。これによりフランスのジャック・アンクティル、ベルギーのエディ・メルクス、フランスのベルナール・イノー、スペインのミゲール・インデュラインが樹立した最多記録に並んだ。
「まるで夢物語のようだと思われるかもしれないけど、私にとっても信じられないこと」とポガチャル。
「素晴らしい一日となった。言葉が出ない。信じられないほど素晴らしい一日で、雰囲気も最高だった。レースが終わって、5回目の優勝ができて本当にうれしい。もちろんどの勝利も本当に特別なもの。これまで7回ツール・ド・フランスに出場し、毎回表彰台に立ってきた。まるで夢物語のようで、私にとっても信じられないこと」
どうやってこの成績を修め続けることができるのか、本人でもよくわからないという。多くの要因が関係していると思っている。最も重要なのは、自分の仕事を楽しむこと、そしてどん底の時でもそばにいてくれて、目標に向かって努力できるよう支えてくれる人々に囲まれていることだとも言い切る。目標を達成したら、次はどんな目標を追いかけようかと思いを巡らす。
「次はどんな目標にしようか? 先走らず、まずはこの瞬間を楽しもう! とにかく素晴らしい表彰台だった。この数週間、共に戦ってきた素晴らしいチャンピオンたちと肩を並べることができて光栄。ヨナス・ヴィンゲゴーをはじめ、多くの選手がツール・ド・フランスをリタイアしてしまったのは残念だけど、来年はまたで戦えることを願っている。
ツール・ド・フランスに出場するということは、ここまで来るのにどれほどの苦労と困難を乗り越えなければならないかを覚悟しなければならないということだ。最強のライバルたちと対戦し、誰もが最高のコンディションで全力を尽くす。数週間後のブエルタ・ア・エスパーニャに出場できるだろうか? それはこれからのお楽しみだ」
地球規模の温暖化の影響か、熱波によってコース距離が短縮されるなどの影響を受けたツール・ド・フランス。世界中の人たちが真剣に考えていかなければならない問題が浮上する中でも、臨機応変に対処していつものようにパリに凱旋した選手たち。沿道に詰めかけた観客たちの熱さ、世界中で国際映像に釘付けになったファンたち。120年余の歴史を持つフランス一周サイクルロードレースのシーンはそれでも普遍だった。
2027年の第114回ツール・ド・フランスは、7月2日金曜日に英国・スコットランドのエジンバラで開幕する。
文:山口和幸
山口 和幸
ツール・ド・フランス取材歴30年超のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、東京中日スポーツ、ダイヤモンド・オンライン、LINEニュース、Pressportsなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)、講談社現代新書『ツール・ド・フランス』。青山学院大学文学部フランス文学科卒。
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