人気ランキング

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム一覧

サイクルロードレース コラム 2026年9月24日

「僕はあくまでもダークホースのひとり」:マチュー・ファンデルプールの自己評価は妥当なのか?答えはレース本番に|UCI世界選手権大会

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
  • Line
ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランスでのファンデルプール

3年ぶりのロードレース世界王座へ、視界は良好のように思える。マチュー・ファンデルプールは直近レースで長距離独走を演じてみせ、好調にあることは確か。しかし、こと世界選手権の話題に話が及ぶと肩をすくめる。彼の答えは一貫して、「僕は優勝候補じゃない」。獲得標高3800mのモントリオールのコースは、みずからには向いていないと主張する。自己評価が果たして正しいものなのか、その答えはレース本番で導き出すしか方法はなさそうだ。

J SPORTS オンデマンド番組情報

自転車好きコミュニティサイト(無料)のお知らせ

  • サイクルビレッジ | J SPORTS【公式】

    検索機能追加で探しやすくなりました。自転車乗るなら「サイクルビレッジwiki」、自転車乗り達のための情報交換、レース観戦やサイクリングの話題で楽しめる「トークルーム」、「写真部」はライドの思い出を共有、絶景を見に行きたくなること間違いなし!ほか「サイクル誰クル?」など人気コンテンツが盛りだくさん

最終調整レースで175km独走の離れ業

絶好調であることは間違いない。それはまぎれもない事実である。

マチューにとって世界選手権前最後のレースとして臨んだ、ツール・ド・ルクセンブルク。9月16日から20日まで、5ステージで争われたレースでステージ2勝。第1ステージで勝つと、大会中盤戦で状態を落としたものの、最終・第5ステージで再浮上。何がすごいって、レース距離177kmのうち175kmを独走する離れ業で勝利を挙げたのだ。

「狙っていたわけじゃないんだ。レースが始まってみたら、いつの間にかひとりになっていたんだよ。ならば、自分のペースで走り続けようと思った。誰かが追いついてくるだろうと考えていたけど、結局誰も来なかったね」

一時はメイン集団に6分近いリードを得るほどだった。後半にかけてその差は縮まったけど、マチューの脚なら逃げ切るには十二分。

大会中盤戦で調子を落としたのは、直前までスペインでトレーニングキャンプを行っていた影響だという。疲労が残っていたり、出力を生かすのにリズムが合わなかったりと、コンディションの波が発生してしまった。とはいっても本番は世界選手権。ルクセンブルクではベストコンディションではなくても2勝を挙げた。そのことが、何よりもポジティブな要素だ。

ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランスでのファンデルプール

もっとも、175km独走劇のルクセンブルク第5ステージは、獲得標高が3000m。モントリオールのロードコースには及ばないが、それでも予行演習としてはパーフェクトといえるレースだったように思える。

他国のほころびから勝機が生まれる?

しかし、本人の見方は周りと異なる。「175kmをひとりで逃げたことが、世界選手権の走りや結果に直結するとは思えない」

好調を証明して乗り込むモントリオール。マチューそもそもの実力を考えても、ライバルたちからすれば脅威であることは確かである。それでも、自身は優勝候補ではないと主張する。

「ダークホースのひとりでしかないと思っている。優勝候補筆頭だとは思っていないのかって? もしそうだったら隠そうとせずに“自信がある”と答えるよ。今回のコースを見れば、僕よりもチャンスのある選手は多いはずだ」

ならば、マチューにチャンスがめぐってくるとしたらどんな展開なのだろう。

「何が起こるか分からないのが世界選手権だからね。いつものように無線が使えるわけじゃないし、レース自体は10分近くまで差を広げる逃げを追いかけるところから始まる。そうしているうちに、チームによっては計算が狂ったり、良い状況が生まれたりとさまざま。もしかしたら僕にも可能性が出てくるかもしれないよね」

ルクセンブルクでの好走が世界選手権本番に直結しないと考えつつも、感覚は大事にしたいという。ハイペースで175kmを逃げ続けた際のパワーやスピードは、モントリオールで生かされるかもしれない。それに、2年前のこの時期もルクセンブルクから世界選手権へと向かった。そのときは銅メダルを獲得。みずからにピッタリのレースプログラムだったことは大きな収穫だった。

「カナダの2レース(GPケベック、GPモンレアル)を走った方が良いのではないかと言われることが多いのだけど、僕にとってはルクセンブルクの方が合っている気がするんだ。レース強度的にも、持久力を上げる意味でも、ベストなレースだよ」

ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランスでのファンデルプール

アウトサイダーにはアウトサイダーなりの戦い方がある。彼のの言う「僕よりもチャンスのある選手」たちに対して、どう対峙するのか。今大会は、マチューの真価が試される一戦になる。

やっぱりマチューは主役のひとり

コースの難しさに関しては、オランダ代表チームを率いるコース・モーレンハウト氏も意見を同じくする。

「マチューに有利なコースとは言い難い。本人も難しいと言っている。ルクセンブルクでの走りはもちろん見たけど、あれで状況が変わることはなさそうだ。優勝候補? レムコ(エヴェネプール)だろうね」

マチューやオランダ陣営のスタンスを慎重とみるか、思惑を秘めていると捉えるべきか。名指しされたレムコは冷静だ。

「マチューは優勝候補のひとりだよ。ルクセンブルクでは印象的だった。あれはすごいよ。誰もが有力視する選手たちはみんな調子を上げてスタートラインにつくだろうから、大変なレースになりそうだよ。今まで一番素晴らしい世界選手権になるかもしれないね」

ダークホースであろうと、優勝候補であろうと、舞台に立つ以上、マチュー・ファンデルプールは主役のひとりであり続けることだけは確かである。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
サイクルロードレースを応援しよう!

サイクルロードレースの放送・配信ページへ