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サイクルロードレース コラム 2026年10月8日

長きシーズンを締めくくる「落ち葉のクラシック」 第120回の節目に聖なる祝福を受けるのは誰か!|イル・ロンバルディア2026

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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イル・ロンバルディア

シーズンを締めくくる「落ち葉のクラシック」、イル・ロンバルディア

このレースに思いを馳せるとき、長きシーズンの終わりが来ていることを悟る。イル・ロンバルディア。「落ち葉のクラシック」とも言われるレースは今年も、2026年シーズン主要カレンダーの締めの役割を担う。

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今年は第120回の節目の大会。毎年スタート地とフィニッシュ地を入れ替えるのが慣例で、今回はベルガモを出発してコモを目指す。伝統の一戦で、美しき勝利を挙げるのはどのライダーになるだろうか。

復権か新王者か 優勝をかけた戦いは新たな趣きで

イル・ロンバルディアの起りは1905年。当時は「ミラノ〜ミラノ」の名称でレースが行われた。このときに勝ったのは、ジョヴァンニ・ジェルビ。大会が軌道に乗るにつれて、ビッグネームの活躍が目立つようになっていく。ファウスト・コッピは最多である5度の優勝を果たし、その後にはエディ・メルクス、ベルナール・イノー、フィリップ・ジルベール、ヴィンチェンツォ・ニバリといった名ライダーが優勝者リストに名を刻んだ。

イル・ロンバルディア

秋の風を感じる風景が広がる

近年のセンセーショナルさといえば、タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG)の5連覇に尽きるだろう。2021年に初優勝すると、以来負けなし。昨年は33.7kmを独走し、一昨年は48.4kmもの独り旅に成功。プロトン最強のインパクトを残して、シーズンを終えたのだった。

そのポガチャルは怪我の影響で今年は欠場。チャンピオン返り咲きを目指す選手や、初の秋王者を視野に入れるライダーたちが熱き戦いを演じる。

獲得標高4600m、優勝候補たちが考える勝負ポイントはどこか?

今年のルートは、ベルガモからコモまでの239km。獲得標高は4600mに達し、5つあるモニュメントの中でもひときわ過酷なルーティングといえる。主催者に言わせれば、“真の消耗戦”。

コース中、登坂区間としてリストアップされているのは9カ所。距離が短いものから長いものまで、さらには緩急自在とあって、それぞれに異なる試練が待ち受けている。

中盤までに5つの登坂区間をクリアし、それからが本当の勝負となる。イル・ロンバルディアにおける最も象徴的な登坂であるマドンナ・デル・ギザッロはフィニッシュ前約60km地点。登坂距離8.6kmで、平均勾配は6.2%。上り始めと頂上手前で10%を超える急勾配が待つこの区間で、早めのアタックがあるかもしれない。どんな形であれ、絶対エースを擁するチームはアシストを減らしてでもペースアップを図ることだろう。

イル・ロンバルディア

スタートとフィニッシュ地点を毎年交互に入れ替える

直後にコモの街に一度到達し、そこから終盤の周回コースへ。サン・フェルモ・デッラ・バッタリア(2.7km、7.2%)1回目の登坂を経て、難所のチヴィーリオへ(4.2km、9.7%)へ。頂上手前で最大勾配14%に達するが、この上りで決定打が生まれるか。

チヴィーリオ頂上からフィニッシュまでは17km。2回目のサン・フェルモ・デッラ・バッタリアまで集団の動きが混沌としているようだと、数人または小集団でのフィニッシュ勝負になっていくか。きっと、早めにライバルを引き離して独走に持ち込みたいと考えている選手もいることだろう。

新世界王者マクナルティ擁するUAE、レムコ率いるレッドブルが強力

今年も秋のイタリアに役者がそろった。

ポガチャルを欠くUAEチームエミレーツ・XRGだが、戦力の不安はまったくもってない。新・世界チャンピオンのブランドン・マクナルティがマイヨ・アルカンシエルでスタートラインにつき、イサーク・デルトロとの双頭体制で臨む。デルトロは昨年のこの大会で5位に入っており、新チャンピオンへの期待も高まる。コース特性や、ここ一番のパンチ力を考えれば、チーム内のプライオリティがデルトロに寄っていても不思議ではない。アシストもベストに近い布陣をそろえ、終始主導権を握って進むことが考えられる。

チーム力なら、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエもかなりのもの。10月4日にヨーロッパ選手権ロードレースを勝ったばかりのレムコ・エヴェネプールと、同7日の個人タイムトライアルを勝ったプリモシュ・ログリッチがそろい踏み。さらには、ジャイ・ヒンドレー、フロリアン・リポヴィッツ、ジュリオ・ペリツァーリといったグランツールレーサーもメンバーに入ってきた。やはりレムコを軸としたチームオーダーになると見られるが、どんな展開になっても勝負できる選手が控えているのは大きな強み。アシストに回すのが贅沢すぎるくらいに、エースクラスばかりを招集している。

ヨーロッパ選手権でレムコと激闘を演じたジュリオ・チッコーネは、リドル・トレックのエースを務める。Bプランとしてフアン・アユソやクイン・シモンズも控えるので、こちらも戦術の幅は広い。

イル・ロンバルディア

2026年はどんなレースが繰り広げられるのか

ダークホースというには充実度が高いのは、チーム ヴィスマ・リースアバイク勢。前哨戦のひとつである、10月3日のジロ・デル・エミーリアではダヴィデ・ピガンゾーリが優勝。ベン・トゥレットとマッテオ・ジョーゲンソンが追撃の芽を摘みながら、みずからも上位入りする抜群のコンビネーションを見せている。思い切りの良いピガンゾーリと、堅実性のジョーゲンソンらが機能すれば、この大舞台でも躍進の期待大。

シーズン終盤にかけて調子を上げるトーマス・ピドコック(ピナレロ・Q36.5プロサイクリング チーム)や、前回3位のマイケル・ストーラー(チューダー プロサイクリングチーム)などは、勝負どころで単騎になってもうまく立ち回ることができる。ブエルタ・ア・エスパーニャ制覇が記憶に新しいエンリク・マス(モビスター チーム)、UCI世界選手権大会銀メダルのマイケル・マシューズ(チーム ジェイコ・アルウラー)らも、展開がハマれば上位入りは可能。

先ごろ20歳を迎えたばかりのポール・セクサス(デカトロン・CMA CGM チーム)はいかに。このところの勢いや実力からして、ロンバルディア制覇への機は熟しているのは間違いない。勝負どころを見極めて、上りでライバルを引き離すようだと一気に勝機がやってくる。

シーズンの終わりを告げるとともに、お別れのレースでもある。長年プロトンを牽引してきたペリョ・ビルバオ(バーレーン・ヴィクトリアス)とバウケ・モレマ(リドル・トレック)がイル・ロンバルディアをもって、プロロードレーサーとしてのキャリアを終える見込みだ。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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