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現在大学2回生の者です。
中継されているレースを観ているうちに、このようなチームの一員になりたいという気持ちを強く持ち始めました。競技者や技術者、医療者以外でチームに関わることができる職種は何があるか、どこに就職するべきなのか、アドバイスをいただきたいです。
また、海外のチームに就職することは現実的に可能でしょうか?
(女性 大学生・短大生)
レースを観て「自分もこの中に入りたい」と思ってくれたことは、ロードレースに長く関わってきた人間として、とても嬉しいですね。
プロチームで働くというと、まず監督やメカニック、マッサー(ソワニエ)などを思い浮かべるかもしれません。でも、実際には選手や監督、メカニック、医療スタッフ以外にも、たくさんの人がチームを支えています。
たとえばソワニエは、選手のマッサージだけでなく、補給の準備や身の回りの世話、荷物の管理なども担います。広報担当ならメディア対応やSNS、写真・動画による情報発信。チームの運営会社には、遠征の手配や宿泊・移動の準備、予算管理などを担う社員がいます。スポンサー営業やマーケティングも、チームを支える重要な仕事です。
ここ10年くらいで大きく変わったのが、スタッフの専門化です。
僕が現役だった時代のチームスタッフといえば、監督、メカニック、マッサーといった人たちが中心でした。それが今のトップチームを見ると、データアナリストや複数の栄養士など、当時はさほど重視されていなかった専門職が数多く加わっています。とくにデータとニュートリションの分野は、ここ数年で一気に重要度が高まった印象があります。機材の進化より速いんじゃないか、と思うくらいです。
これは若い人にとっては面白いところです。たとえば、日本にも「管理栄養士」という資格がありますよね。栄養の専門性は自転車チームだけでなく、スポーツや健康に関わるさまざまな仕事で生かせます。食品会社やスポーツニュートリションのブランドに入り、そこからチームと関わる道も考えられます。
ただし、現実も知っておく必要があります。国内チームは欧州のトップチームほど規模が大きくありませんから、大学を卒業していきなり「ロードレースチームの広報として新卒採用」というような求人があるわけではありません。専門スタッフをチームが、直接、何人も抱えるのも、まだ難しいでしょう。
一つは、自転車メーカーや代理店、メディアなど、自転車業界の企業に就職して、仕事をしながらチームとの接点をつくること。もう一つは、広報、マーケティング、データ分析、栄養、マッサージャーなど、ほかの業界でも通用する専門性を身につけて、それを武器に自転車界へ入っていくことです。
そして、学生のうちにぜひやってほしいのが、実際のレース現場に行くことです。国内レースの運営ボランティアでもいいですし、チームに連絡して「何か手伝えることはありませんか」と聞いてみてもいい。この世界は、良くも悪くも人と人とのつながりから仕事が生まれることが多いんです。現場で顔を覚えてもらうことには大きな意味があります。
海外チームで働くことも、もちろん不可能ではありません。ただ、ハードルは高くなります。最低限、英語力は必要です。いきなり欧州のトップチームを目指すより、まず海外で活動している日本のチームなどに連絡して、手伝えることがないか聞いてみる。あるいは国内チームでロードレースの現場に慣れてから、海外への道を探す。そんな順番のほうが現実的かもしれません。
まだ大学二年生なら、時間は十分にあります。僕がおすすめしたいのは、在学中に語学と、なんらかの専門性を身につけること。そして同時に、できるだけレース現場へ足を運ぶことです。
ロードレースの世界は、選手だけでできているわけではありません。むしろ競技が高度化した今だからこそ、これまで自転車とは関係ないと思われていた専門性を持つ人にも、活躍できる場所が広がっています。応援しています。
文:栗村 修・佐藤 喬
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栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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