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サイクルロードレース コラム 2026年10月7日

【輪生相談】ツールでは、山岳ステージを得意とする選手が総合優勝するイメージです

輪生相談 by 栗村 修
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ツール・ド・フランスを毎年J SPORTSオンデマンドで視聴させていただいています。
なんだかんだ山岳ステージを得意とする選手が毎年総合優勝するイメージですが、運営側はスプリンターやパンチャーなどにも総合優勝のチャンスをあたえるようなステージ設定や大逆転を狙える仕組みなどは考えないのでしょうか? 理由があれば教えてください。

(男性 会社員)

 

グランツールばかり見ていると忘れがちなのですが、実は、世界には「スプリンターやパンチャーでも総合優勝できるステージレース」が数多く存在しています。日本なら、一時期のツール・ド・北海道がそうでしたね。ステージレースを全体的に見ると、むしろピュアクライマーが勝てるグランツールの方が少数派なんです。

ですので、ツールに関してもスプリンターが総合を狙えるコース設定は可能だと思いますが、グランツールに関しては「厳しい山岳を含む三週間を耐え抜いた選手が勝つべし」みたいな思想が背景にあるため、少し特殊かもしれません。スプリンターやパンチャーが勝てるレースは、他のステージレースに任せているとも言えます。

おそらく質問者さんは、ポガチャルが山岳で圧勝してしまう今のグランツールに、やや食傷気味なのかもしれません。たしかに、短時間で楽しめるコンテンツが大量にある時代、ただでさえ時間が長いサイクルロードレースは近年、この課題と真剣に向き合っています。たとえば、ツール・ド・フランスの主催者であるASOは、フィニッシュ前までは退屈な展開が続くスプリントステージを減らすレース作りを進めているとも聞きます。

ただし、こういったレースの性質は、ルールなどで定められているわけではありません。昔から長年かけて創られた価値観が定着しているだけです。

改めて考えてみると、ワンデーレースの最高峰の一つである「世界選手権」は年によってコースが変わり、過去には、スプリンター、パンチャー、クライマーと、様々なタイプの世界チャンピオンが生まれていますよね。質問者さんからの提言を見た時に、私のようなロードレース脳の人間は、瞬間的に「グランツールでは無理だよ」と感じがちですが、逆に「平坦基調のツール・ド・フランス」「毎日がクラシックレースのようなジロ・デ・イタリア」があったら面白いかもしれません。

ライバルとなる娯楽が大量にある今、長期的に考えると、サイクルロードレースのこれまでの価値観を大きく変える必要があるのは間違いないと思います。

2026年のツール・ド・フランスは、男子よりも女子レースのほうが面白かったという声がありました。総合優勝争いがずっと続き、最後までスリリングだったからです。そのツール・ド・フランス・ファムの大会ディレクターを務めるマリオン・ルスさんも「単に厳しいコースを設定することが面白いレースに繋がるわけではない」とも言っていました。

もちろん、選手間の実力差や選手層の厚さ、競技としての成熟度によってもレース内容は大きく変わります。ただ、自転車ロードレースはスタジアムスポーツとは異なり、フィールドそのもの、つまりコースを変えることで、活躍できる選手やレース展開を大きく「デザイン」できるスポーツでもあります。

そういった意味でも、これまでの固定観念を覆すようなレースのあり方を、一度立ち止まって考える時期に来ているのかもしれませんね。

 

文:栗村 修・佐藤 喬

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栗村 修

中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。

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