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40代です。私はオノデライダーさんと同じく、再生不良性貧血という持病があります。現在、赤血球数やヘモグロビン、ヘマトクリットの値は正常な範囲を下回っていますが治療介入には至らない程度の水準で推移しています。
先般の富士ヒルでシルバー獲得を目指し、FTP4.2倍の状態で初挑戦しましたが持病の影響か、高地でのパワー低下が著しく、 20数秒足りませんでした。普段の練習会では私よりヒルクライムの着順が遅い人も今年はシルバー獲得できており、気象的には好条件だったと思います。しかし私は未達に終わり、「持病さえなければ…」と考えてしまいます。
来年も挑戦するというモチベーションは持てておらず、結果を出せないこの体では、続ける意味もないとすら考えてしまいます。
同じくシルバー獲得目指しておられた栗村さんから、ご意見やご感想などを頂戴したいです。よろしくお願いします。
(男性 会社員)
持病をお持ちであるにもかかわらず、素晴らしいタイムですね。尊敬します。僕なんて、Zwift上でのFTPはいちおう4.6倍なのに、今年の富士ヒルのタイムは75分51秒でした。FTPとタイムの関係では、質問者さんのほうが上ということになります。
また、僕は医学の専門家ではありませんので、質問者さんのご病気について具体的なコメントができず申し訳ございません。今回は、あくまで一般論として、ヒルクライムレース、そして富士ヒルについて、僕なりに考えていきたいと思います。
さて、質問者さんを含め、ヒルクライムを主戦場としているサイクリストは多いですね。しかし、近年はパワーの数値ばかりに目が行き、テクニック面が見落とされがちだと感じています。
もちろん、ヒルクライムはロードレースとは異なり、パワー(ウェイトレシオ)とパフォーマンスとの関係が非常に近い種目です。FTPが何倍かを見れば、ヒルクライムレースでの成績は「かなりの程度」予測できます。でも、実はパワー以外の要素も多いんです。
具体的には、質問者さんが言及している標高のほか、距離・勾配及びその変化・コーナーの程度・集団走行の有無etc.……などです。
現役時代の僕を例に挙げると、長い上りが特徴の「JBCF栂池高原ヒルクライム」では2位に入ったこともありますが、「ツール・ド・北海道」に出てくるような、緩くて広く、そしてまっすぐの峠はダメでした。あるいは、短くて急な上りを含む周回が特徴の日本CSCのレースでは何度も優勝争いに加わりましたが、同じく急な上りを含む宇都宮ジャパンカップの周回コースにはいい思い出がありません。似たような上りであっても、細かなコースの違いがパフォーマンスには大きな影響を与えるということです。その人の脚質との相性といってもいいですね。
グランツールの山岳ステージを見ていても、日によって強い選手が微妙に変わるのは、コースとの相性によるものでしょう。
さて、コースとの相性が大事、という観点でもっともシンプルな改善策は、本番が行われる富士スバルラインでトレーニングを重ね、身体をコースに順応させることです。それが無理でも、できるだけ近いトレーニング環境を用意することが基本です。
その上で、本番ではテクニックを駆使することも必要です。富士ヒルのコース、とくに緩斜面ではドラフティングが有効ですから、できるだけ単独走行を避けて集団に入るのが大事であることはご存じですよね。
ただ、その際にもコツというか、注意点があります。常に余力を残せる、脚力に合った集団に入る、ということです。脚力に対して速すぎる集団に入ってしまうと、楽をするどころかオールアウトに至ってしまい、その後急減速を強いられます。だから、ちょうどいいペースの集団をうまく見極めてください。
ありがちなパターンは、スタート直後に個人TTモードに入ってしまい、そこで有酸素運動の上限までペースを上げてしまうことです。さらに、そこへ「後ろから来た」集団に加わろうとしてしまう。しかし、後ろから来たということは、つまり、すでに有酸素運動の上限で走っている自分よりも、さらに速いペースで走っているということですから、そこにジョインするのは危険です。
ひとりになったら、まずペースを少し落とす。そして、後ろから来た集団に乗り、いっぱいになる前に離れる。これを繰り返しているうちに、自分にとってちょうどよいペースの集団に入れる可能性が高まります。実はこれ、僕自身も実行できておらず、過去2回の富士ヒルでは、ほとんどが単独走になってしまいました……。
また、上記のように集団を利用した走り方をするためには、細かい出力変化に対応できる脚づくりが重要です。理論上は、FTPは1時間継続できる出力なので、その値より少し下を維持すれば良いはずです。でも実際は、集団に入ると、数十秒間ほどFTPを上回る出力を発揮し、そして緩斜面区間などでは逆にFTPを下回る出力で休めるといったことの繰り返しになります。ですから、SSTのような一定ペースでのトレーニングに加えて、40/20の様なインターバル練習も加えるとより実戦向きの脚になっていくと思います。
毎週、仲間と富士スバルラインへ行けるのであれば、それが最も効果的かもしれません。しかし、それはなかなか難しいと思いますので、まずは富士ヒルにおける身体的負荷の特徴を知り、まだご自身が試していない領域があるようでしたら、今から2027年大会に向けてコツコツと積み上げていくことで、さらなるタイム向上は十分可能だと思います。あくまで楽しみながら、健康にも気をつけて頑張っていきましょう! もちろん、身体のことを考えていったんはお休みする選択肢もアリだと思いますよ。
楽しみながら健康に気をつけて頑張っていきましょう!
文:栗村 修・佐藤 喬
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栗村 修
中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。
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