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サイクルロードレース コラム 2026年8月5日

【輪生相談】シクロクロスに特化した自転車の日本での販売がどんどん少なくなってきたように思います

輪生相談 by 栗村 修
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シクロクロス(マスターズ)を楽しませてもらってるシニア爺さんです。シクロクロスに特化した自転車の日本での販売がどんどん少なくなってきたように思います。それは、日本だけですか? シクロクロスが盛んなオランダ&ベルギーでも同じなんですか?

(男性 自営業)

 

マスターズでシクロクロスを楽しまれているとのことですが、数年前からシクロクロスレースをはじめた僕の大先輩ですね。

シクロクロス専用車が減っているのは、世界的な現象です。そしてその原因は、別にシクロクロスが不人気になっているわけではなくて、グラベルバイクの普及が大きく影響しているようです。近年はグラベルバイクがよく売れるようになり、メーカーもそちらに力を入れるようになっているためです。

さて、ここでシクロクロスとグラベルレースの違いを改めて振り返ってみましょう。まず、大きな違いの一つが、ルールによって決まるタイヤ幅です。シクロクロスでは、タイヤ幅は「33mm以下(『C』ではなくmmです)」と規定されています。一方、グラベルレースでは40〜45mmが主流で、近年は荒れた路面での走破性や、低圧によるクッション性を重視して、45mm以上を選ぶプロライダーも増えています。お察しのとおり、こうした太いタイヤを装着できるかどうかが、シクロクロスとグラベルバイクのフレームの大きな違いになっています。さらに、シクロクロスではレース中に自転車を担ぐ場面があるため、担ぎやすさを重視した設計になっている点も、グラベルバイクとの大きな違いでしょう。

また、両者はフレームが狙うジオメトリが違います。

レースの性質上、シクロクロス車にはクイックなハンドリングや軽さ、加速性能などが求められますが、グラベルバイクは直進安定性やアベレージ走行のしやすさなどに重きを置く傾向があります。

だから、ジオメトリも、したがって乗り味も相応に違うことが多いのですが、困ったことに、この違いはかなり微妙です。グラベルバイクなのに中身はほぼシクロクロス車であるものもあれば、アルミのシクロクロスバイクだったものを軽量グラベルバイクとして売り直した有名メーカーもあるくらいです。つまり、シクロクロス車が消えたのではなく「グラベル」に看板を掛け替えたものもあるくらい、両者は近いということです。

ただ、シクロクロスが冬の国民的な娯楽として定着している本場ベルギー・オランダでは、ガチのレース需要が生き続けているからこそ、今もシクロクロス専用車がちゃんと作られています。たとえばベルギーの老舗リドレーは、高速化する現代のレースに合わせたシクロクロスを出し続けていますよね。

状況をまとめると、たしかに世界的にシクロクロス専用車は減ってはいますが、なくなったわけではないですし、事実上、シクロクロス車と変わらない作りのグラベルバイクも売られています。グラベルの需要が増している以上、各メーカーも売りやすい「グラベルバイク」という看板を多用することもあるでしょう。

というわけで、見かけ上はシクロクロスバイクが減っているように見えても、実際にはグラベルバイクへと看板を掛け替えているケースも少なくないようです。また、シクロクロスバイクとは別に、「グラベルバイクでありながら、スパルタンな味付け」のモデルが登場するかもしれませんが、そのようなバイクはシクロクロスでも十分に戦える性能を備えているはずです。

要するに車種のオーバーラップが進んでいく可能性がありますから、買う時は「シクロクロス」「グラベル」といったジャンル名にとらわれず、ジオメトリやメーカーが意図する走りの質を考慮するといいでしょう。シクロクロス、いいですよね。

ベルギーやオランダでは冬の国民的な娯楽として定着しているシクロクロス

文:栗村 修・佐藤 喬

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栗村 修

中学生のときにTVで観たツール・ド・フランスに魅せられロードレースの世界へ。 17歳で高校を中退し本場フランスへロードレース留学。その後ヨーロッパのプロチームと契約するなど29歳で現役を引退するまで内外で活躍した。 引退後は国内プロチームの監督を務める一方でJ SPORTSサイクルロードレース解説者としても精力的に活動。

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