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サイクルロードレース コラム 2026年9月22日

「最高の状態であれば勝てる」:ワウト・ファンアールトはロードレース1本に絞りアルカンシエル獲りに挑む|UCI世界選手権大会

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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UCI世界選手権大会

ブエルタでは大活躍をみせたファンアールト

2026年シーズンはツール・ド・フランス直前の負傷で夏場は回復に充てていたワウト・ファンアールト。7月下旬に実戦復帰を果たして以来、破竹の勢いで勝利を重ねてきた。ブエルタ・ア・エスパーニャではステージ2勝を挙げ、ポイント賞とスーパー敢闘賞。シーズン最大の目標と公言するUCI世界選手権大会へ、その道筋は明るい。今回はロードレース1本に集中。先んじて個人タイムトライアルを勝ったレムコ・エヴェネプールとの共闘にも期待が高まっている。

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ブエルタは「予行演習ではなかった」とはいうものの……

会心のレースを連発したブエルタは、世界選手権の予行演習ではなかったという。あくまで「僕にとって目指すべきレースのひとつだった」とし、ステージ優勝とポイント賞獲得にフォーカス。大会途中では山岳賞にもチャレンジする姿勢を見せるなど、多種多彩なレース運びはスペインでも光った。

UCI世界選手権大会

ポイント賞とスーパー敢闘賞を獲得したファンアールト

結果、ステージ2勝に加えてポイント賞とスーパー敢闘賞を獲得。スプリントステージではリードアウトマンとしても決定的な働きを見せ、チームで挙げた7勝すべてに関与。世界選手権へのリンクはないといっても、現状トップライダーの中では屈指の好調さを維持していることは確かだ。

一方で、最終・第21ステージでは不発。「世界選手権の舞台であるモントリオールのコースをイメージできるのでは?」との見方もあったが、勝負には絡めなかった。「疲れてしまっていた」とはレース後の本人談。予行演習の場ではないというのだから、世界選手権へはしっかりと立て直していくことだろう。

とはいえ、スペインでの3週間であれだけの走りを見せれば、嫌でも期待値は高まるというもの。本人も「コンディションが最高の状態であれば勝てる」と自信を見せる。モントリオールは4年前にグランプリ・シクリスト・ド・モンレアルで走っていて、良い印象があるという。今回とは50km近くレース距離が短かったが、「そこはあまり問題にはならない」とのこと。273.7kmの行程において大部分を占める起伏に富んだ市街地サーキットも、ワウト自身が言うようにコンディションさえ問題なければ攻略することはできるだろう。

怪我を乗り越えてのアルカンシエル挑戦

2026年シーズンは、春から絶好調だった。ミラノ〜サンレモを3位でまとめると、パリ〜ルーベではタデイ・ポガチャルUAEチームエミレーツ・XRG)との死闘の末、悲願の初優勝。感情を爆発させ、人目をはばからず声を上げて涙した姿は、レースを追う方々なら今もなお鮮明に記憶されていることだろう。

UCI世界選手権大会

ブエルタでは好調ぶりをたっぷり披露したファンアールト

この流れでツールにも向かうはずだった。ところが、休養を経てコンディションを上げていく段階で落車し肘を負傷。戦線には戻ったものの感染症が悪化し、一歩間違えれば命に危険が及ぶ状態にまでなった。ツールはやむなく欠場。怪我を治し、体調が戻ったところで目標を世界選手権に定めた。

世界選手権のロードレースは過去2回2位を経験。どちらもトップから差を付けられていて、勝利目前……というところまでは至っていない。

キャリアのバックボーンであるシクロクロスでは、3度世界王者に輝いていて、チャンピオンの証であるマイヨ・アルカンシエルにも袖を通している。ロードでもアルカンシエルを……との思いが強いことは間違いない。

パリ〜ルーベで頂点に立ち、ブエルタでもインパクトある走りを見せ、そして世界選手権も勝てれば……、2026年はワウト・ファンアールトのシーズンだったと大きく印象付けることができるはずだ。

レムコとの共闘がアルカンシエル獲りに不可欠

3年ぶりに走る世界選手権。前回出場時と同様に、レムコとの共闘で成功を目指す。もちろん両者がベルギー代表チームの主軸であり、互いに「どちらが勝っても大成功」とのスタンスを表明している。

「ワウトとレムコの関係が良いことが、今のベルギー代表にとって一番の利点」というのは、チームを率いるセルジュ・パウェルス氏。過去には、苦杯を喫した際にお互いに走りを批判するなんて事態もあったけれど、現在はそんなことはないとパウェルス氏は強調する。もっとも、指揮官みずから両選手とのコミュニケーションを図って、本番でどう走るべきかを議論しているという。

ロードレースに先立って9月20日に行われた個人タイムトライアルではレムコが優勝し、この種目で4連覇を達成。大会史上初めてとなるロードレースとの2冠への挑戦権を得た。その意味では、ロードでレムコのプライオリティが高くなるのが自然と言えるが、実際にはどうなるだろうか。今大会のベルギー代表は出場国中随一の戦力を有しており、レースが始まればきっとプロトンをコントロールする時間が長くなると予想される。いかにして展開をつくっていくかが大いに見ものである。

大一番に向け、ワウトは22日にモントリオール入りを予定。得意とするタイムトライアルを回避し、ロードレース一本に集中する選択が奏功するだろうか。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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