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サイクルロードレース コラム 2026年9月23日

フランスの絶対的エース:ポール・セクサス、20歳。歴史を塗り替える権利|UCI世界選手権大会

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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ポール・セクサス

ツール・ド・フランス初出場で総合4位のポール・セクサス

グランツールで総合優勝を争いたいなら、タイムトライアル能力を鍛えねばならない。そう心に強く誓い、少年時代から、ポール・セクサスは孤独な練習を積んできたという。17歳最後の日に、個人タイムトライアルでジュニア世界チャンピオンとなった。ちょうど1年前の、19歳の誕生日当日には、世界選手権ミックスドリレーでエリートの銀メダルを手にした。

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この秋には、エリートの個人TTで銅メダルに輝いた。2019年大会のレムコ・エヴェネプールに次ぐ、史上2番目の若さでのエリート個人表彰台乗りだった──。

いよいよ世界選手権ロードレースでも、メダルを獲りに行く。2026年9月27日(日)、20歳になって3日目に!

恐れを知らぬ才能

この7月のツール・ド・フランスで、史上最も若くして総合トップ5(総合4位)に食い込んだ早熟な才能は、ワンデーレースでも、すでに底知れぬ可能性を披露してきた。シーズン序盤にはフォーヌ・アルデッシュ・クラシックで42kmの大独走勝利をもぎ取り、4月にはラ・フレーシュ・ワロンヌの名物、ユイの壁で凄まじい爆発力を発揮した。

また2025年秋の世界選手権では、生まれて初めて267.5kmもの長距離バトルに挑み、13位で走り切った。この春のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュでは、259.5kmという長丁場の果てに、史上最年少でモニュメント表彰台へ(2位)。

そもそも昨年の10月末、シーズン最後のトレーニングと称して全長323.65km、獲得標高8186mを12時間18分で走破したセクサスにとって、モントリオール世界選の273.7kmというキャリア最長のコースさえ、恐るるには足りないはずだ。

ストラーデ・ビアンケ

ストラーデ・ビアンケでのセクサス

そのリエージュでも、ストラーデ・ビアンケでも、勝者タデイ・ポガチャルの鋭いアタックに唯一反応できたのが、若きセクサスだった。

3月の「白い道」では、残り80kmで飛び出していった当時の世界チャンピオンを、ほんの短い間ながらも単独で追いかけた。春クラシックのクライマックス「ラ・ドワイエンヌ」では、伝統の勝負地でポガチャルが切った加速に、夢中で喰らいついた。残り14kmの上りでとうとう振りほどかれるまで、プロ2年目のティーンエイジャーは、8歳年上の偉大なるチャンピオン相手に先頭交代する意地さえ見せた。

リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ

リエージュ〜バストーニュ〜リエージュでのポガチャルとセクサス

ブエルタ・ア・エスパーニャの第8ステージ、残念ながら、ポガチャルは落車の犠牲となった。3連覇に挑む前に、世界選の大本命はシーズンを終えた。

「今までは『彼に対してどう走るか』ということを考える必要があった。でもポガチャルの不在で、レースの展開は変わる。よりオープンな戦いになるだろう」

走るたびに進化する

( 初めてのグランツールを走り終えた後、「さすがに疲労困憊だった」とセクサスはメディアに打ち明けた。それでも、3週間の激闘をくぐり抜けた先に、「新しく生まれ変わった気分だし、パワーが増したような感触を抱いている」との確かな手応えも得た。

8月の半ばに、すでに想いはモントリオールに飛んでいた。

「今は世界選手権のことを考えてる。そこでツール・ド・フランスに比べて何らかの進歩が見られることを、密かに期待しているんだ」

自らの野心に真っ直ぐな若者は、ツール後の前線復帰レースとして、同時に世界選手権に向けた「最終準備」として、カナダ開催の2つのワールドツアー大会を選んだ。

「すべての切り札をいきなり披露するつもりはない。だって最大の目標は世界選だから。でも、当然だけど、この2つのレースだってすごく勝ちたい」

カナダ2戦目のGPモントリオールでは、しかし痛恨のミスを犯す。セクサスは最終周回でアタックをかけた。ツールで最後まで新人賞を争ったイサーク・デルトロとともに抜け出し、締めくくりは一騎打ちのスプリント。……最終ストレートで背後に入られ、「残り距離を確認していた不用心な瞬間」を突かれた。

がむしゃらにもがいたが、結果は2位。本人の分析によれば、敗因はスプリントよりも、むしろアタックで決めきれなかったことにある。上りでの体力配分や、最終盤のアシストの枚数にも、課題があったという。

「世界選に向けて、まだ改善していける部分がある」

20歳、フランスの絶対的エース

「フランス代表全体は、あくまでアウトサイダーに過ぎない。ただしポール・セクサス本人は、当然ながら、優勝本命のひとり」(ヴォクレール)

ほんの数年前にジュリアン・アラフィリップを世界選連覇に導いた代表監督トマ・ヴォクレールは、2026年大会に向けた代表発表の場で、一切の含みを持たせなかった。20歳のセクサスこそが、8人からなるフランス代表における唯一絶対のリーダーだ。

ラ・フレーシュ・ワロンヌ

ラ・フレーシュ・ワロンヌでのポール・セクサス

「ポールは良い意味で、普通の選手ではない。たしかに私は時々ハッタリもかますが、セクサスがフランス代表のリーダーだということは、もはやニュースでもなんでもない。むしろそうでないほうが大騒ぎだっただろう。みなさんをバカにしたように、『必ずしもすべてがポールのためというわけではない』などと言うつもりもない。100%の状態であれば、彼はフランスで頭一つ抜けた存在だ。他の選手たちもみんな、同意している」(ヴォクレール)

若きリーダーを支える体制は整っている。ビッグチームでの経験と高い戦術遂行能力を買われ、昨オフには早くも代表「キャプテン」役に指名されたパヴェル・シヴァコフとブリュノ・アルミライユの2人が、無線のない世界選でチームを統率する。また、ツールでは最終アシストとして驚異的な献身を尽くしたニコラ・プロドムと、シーズン前半戦で頼もしい補佐役を務めたジョルダン・ラブロスも、デカトロン・CMA CGMのチームメイトとして、レース内外でセクサスをサポートする。

「野心は、優勝すること。たとえポガチャルがいたとしても、私は同じことを言うだろう」(ヴォクレール)

1934年以来、ベルギーのカレル・カールスが保持してきた男子世界選手権史上最年少優勝記録は、20歳2か月15日。2026年のセクサスには、それを塗り替える権利がある。

文:宮本あさか

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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