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サイクルロードレース コラム 2026年8月30日

ポガチャルが落車負傷し、マイヨロホを着たままリタイア|ブエルタ・ア・エスパーニャ2026

サイクルロードレースレポート by 山口 和幸
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ブエルタ・ア・エスパーニャ

平和な1日と思われたその矢先に...

UAEチームエミレーツ・XRGタデイ・ポガチャル(スロベニア)が、8月29日に行なわれたブエルタ・ア・エスパーニャ第8ステージで落車負傷し、リタイアした。

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残り31.3km地点の集団内でポガチャルが高速走行中に落車した。ポガチャルは自転車に乗ってレースに復帰しようと試みたものの、左腕と肩に明らかな怪我を負っていて、最終的に救急車まで歩いて行き、レースを棄権した。

ポガチャルがステージレースを棄権するのは今回が初めてで、ワンデーレースを含めて落車してリタイアするのは2023年のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ以来となる。ブエルタ・ア・エスパーニャで総合首位の選手がレースを棄権するのは、2010年の第14ステージでイゴール・アントンがペーニャ・カバルガに向かう途中で落車して以来となる。

3分50秒遅れの総合2位だったエンリク・マス(スペイン、モビスター チーム)が、2018年のヘスス・ヘラダ以来、スペイン人として初めて総合1位のリーダージャージ、マイヨ・ロホを着用することになる。

「落車は見ていないが、私のすぐ後ろだったと思う。集団が左に逸れたせいで彼が衝突したのだと思う」と首位に立ったマス。
「正直に言うと、これはスポーツでありサイクリングであることは分かっているが、タデイ・ポガチャルが落車し、私はすぐにマイヨ・ロホを着ないことで彼への敬意を示したいと思う」

ポガチャルは今大会の第6ステージでもあわやのシーンに遭遇した。首位はポガチャルで、3分32秒遅れの総合2位がマスで、2人の一騎打ちを制したのがポガチャルだった。この日、最後の下り坂で、「スピードを抑えて走ろう」とマスはポガチャルに伝えたが、それでもポガチャルがコースアウトするという危ないシーンがあった。

ミラノ〜サンレモ

ミラノ〜サンレモで落車した際にはピドコックを制し優勝を決めた

今季のシーズン初め、3月21日に開催されたミラノ〜サンレモでもポガチャルは落車。負傷しながらもメイン集団に追いつき、同じく落車した優勝候補のマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック)とともに、2人が復帰するのを待ってくれたピナレロ・Q36.5プロサイクリング チームのトーマス・ピドコック(英国)に追いつき、ポガチャルは最後にピドコックを制して優勝した。

ストラーデ・ビアンケ

ストラーデ・ビアンケで落車した際には独走優勝を決めた

2025年のストラーデ・ビアンケでもポガチャルは残り18kmから独走を決めて、2年連続3度目の優勝を達成するのだが、ピドコックとイネオス・グレナディアーズのコナー・スウィフト(英国)とトップグループを形成していた残り50km地点の下り坂でクラッシュ。ポガチャルはコース外の草地まで滑ったが、すぐにレース復帰。シエナのピアッツァ・デル・カンポでのゴールまで18kmを独走した。

「クラッシュしたとき、頭の中が少しパニックだったが、立ち上がって自転車に乗車すると、レースに勝つためにチームが多くの努力をしてくれたので最後までやり遂げようとした」とポガチャル。

2022年のブエルタ・ア・エスパーニャでは第16ステージで史上初の大会4連覇をねらったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ビスマ)がゴール手前でアタック。4人とスプリントしたところで単独落車した。ケガを負って大きく遅れてゴールしたが、ルール適用によりトップと同タイムでのゴール扱い。しかし翌日はスタートできなかった。

同じ2022年のブエルタ・ア・エスパーニャでは、世界チャンピオンのアルカンシエルを着るクイックステップ・アルファビニルのジュリアン・アラフィリップ(フランス)が残り60km地点で落車負傷してリタイアした。

総合優勝を争っている選手が一瞬のうちにレースからいなくなる落車リタイア。
2026ツール・ド・フランス第15ステージで、総合2位のヨナス・ヴィンゲゴーハンセン(デンマーク、チーム ヴィスマ・リースアバイク)が落車による骨折でリタイア。サイクルロードレースでは常にそんな悲劇がつきまとう。

リスクを負って突っ込まなければ栄冠はつかめない。高速化した現代レースの代償でもあるようだ。

文:山口和幸

山口 和幸

ツール・ド・フランス取材歴30年超のスポーツジャーナリスト。自転車をはじめ、卓球・陸上・ボート競技などを追い、東京中日スポーツ、ダイヤモンド・オンライン、LINEニュース、Pressportsなどで執筆。日本国内で行われる自転車の国際大会では広報を歴任。著書に『シマノ~世界を制した自転車パーツ~堺の町工場が世界標準となるまで』(光文社)、講談社現代新書『ツール・ド・フランス』。青山学院大学文学部フランス文学科卒。

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