人気ランキング

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム一覧

サイクルロードレース コラム 2026年9月18日

「目標は常に高く設定している」:レムコ・エヴェネプールは史上初のTT・ロード2冠なるか|UCI世界選手権大会

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
  • Line
UCI世界選手権大会

黄金のヘルメットと虹色に輝くレムコ・エヴェネプール

確たる自信と驚異的なデータ。世界王者の証“マイヨ・アルカンシエル”をかけた大一番であるUCI世界選手権大会へ、レムコ・エヴェネプールのモチベーションは上がるばかりである。今大会の開催地カナダで行われた前哨戦で1勝し、好調さを確認。前人未到の4連覇がかかる個人タイムトライアルでは、事前にテストを重ねて充実度を高めている。準備は万端、あとはレース本番を迎えるのみである。

J SPORTS オンデマンド番組情報

自転車好きコミュニティサイト(無料)のお知らせ

  • サイクルビレッジ | J SPORTS【公式】

    検索機能追加で探しやすくなりました。自転車乗るなら「サイクルビレッジwiki」、自転車乗り達のための情報交換、レース観戦やサイクリングの話題で楽しめる「トークルーム」、「写真部」はライドの思い出を共有、絶景を見に行きたくなること間違いなし!ほか「サイクル誰クル?」など人気コンテンツが盛りだくさん

タイムトライアルでの強さを裏付ける驚異の勝率

「世界選手権は本当に楽しみ。誰も成し遂げたことのない記録を達成できる可能性があるんだ。挑戦する資格を持っているだけでも特別な気分だよ」

カナダ・モントリオールが舞台となるUCI世界選手権大会を前に、レムコは昂る気持ちを言葉にした。

26歳にして両手では数えきれないほどのビッグタイトルを手にしているが、とりわけ世界選手権での強さは際立っている。マイヨ・アルカンシエルを初めてつかんだのが、2022年大会のロードレース。圧巻の独走劇だった。

2023年から2025年にかけては個人タイムトライアルで3連覇。今大会でも、先に競技実施されるタイムトライアルにまずはフォーカスする。

「タイムトライアルに全力を注いでから、ロードレースについて考えたい。ひとつの目標に集中して臨みたいからね。でも、タイムトライアルが終わったらロードレースに気持ちを切り替えるよ。レースとレースの間が1週間あるから、エネルギーと気持ちを充電する時間も十分あるしね」

カナダ入りの前にはオーストリアに立ち寄り、シュピールベルクにあるサーキット「レッドブル・リンク」でタイムトライアルバイクをテスト。上々の感触を得ている。

個人タイムトライアルを勝てば、ロード世界選手権史上初めてとなる4連覇の達成だ。かつての王者、ファビアン・カンチェラーラやトニー・マルティンでも4年連続で頂点に立つことはなかった。レムコ本人は、それを意識しつつもプレッシャーを重荷には感じていない。

「プレッシャーは僕の動きを妨げるものにはならないよ。むしろ味方につけるくらいさ。僕は常に自分自身に高い目標を設定する。そして、それを達成するために努力しているからプレッシャーは苦にならないんだ」

UCI世界選手権大会

ツール・ド・フランスでのエヴェネプール

プロキャリアを歩み始めた2019年から今日に至るまで、個人タイムトライアルを48レース走り、26勝を挙げている。勝率は54.1%。3位以内で終えたものまで見方を広げると、81%もの高い数字を誇る。もっと言えば、トップ5圏外で終えたケースは5回しかない。これらは、TTスペシャリストの中でも驚異的なデータであると言われている。

当然ながらモントリオールでも絶対的な優勝候補に挙げられ、世界からの目がレムコの走りに注がれる。

ロード世界選手権史上初の2冠へ

カナダでの滞在中はスキーリゾート地にベースを置き、独自のコンディショニングを行っている。世界選手権期間中の動きで現時点で決まっているものは、「土曜日(19日)にタイムトライアルコースの試走をして、日曜日(20日)にレース(個人タイムトライアル)を走る」だけ。あとは体調やベルギーチームの動向を確認しながら、ロードレースに向けた調整を行っていく構えだ。

9月に入ってカナダで行われた2つの前哨戦。レムコは11日にケベックで行われた1戦目(グランプリ・シクリスト・ド・ケベック)に勝利。これでかなりの自信を深めたという。

「ツール・ド・フランスを終えてから休養を長めにとったことで、レースの感覚を忘れてしまっていた。リズムを取り戻すのに時間はかかったけど、走っていくうちに調子が上がってきたのは幸運だった。世界選手権に向けて大きな自信になったよ」

一方で、2日後にモントリオールで行われた2戦目(グランプリ・シクリスト・ド・モンレアル)では5位。体調が下降気味で、それがレース内容に反映されてしまったと分析。世界選手権と同コースで行われていただけに勝ちたかったところだが、敗戦については特に気にすることではないとする。

「これからのトレーニングで修正できる。次は大丈夫だよと思うよ」

ロードレースでは4年ぶりのアルカンシエルがかかる。今年は過去2年勝っていたタデイ・ポガチャルが参戦しないこともあり、レムコが優勝候補の筆頭格に挙げられる存在となった。それは自身も理解していて、「みんなからのマークは避けられないよね」と覚悟は決めている。

UCI世界選手権大会

昨年の世界選手権のエヴェネプール

それでも、ベルギー代表にはワウト・ファンアールトも控えていて、役割や負担を分散できる強みがある。過去には両者の意思がかみ合わず、互いにレース後に不満を口にするようなこともあったが、そんな失敗はもう繰り返さない。

「ワウトがいてくれるのはとても心強い。昨年、一昨年と彼がいなかったことがチーム力にも影響したと感じている。ワウトがいるのといないのとでは大違いなんだ」

レムコもワウトも、「どちらかが勝てれば大成功」とのスタンスを明確にしている。それぞれに、みずからが勝利できれば最高なのは確かだけれど、これはチーム戦。状況次第ではチームプレイヤーに回ることはいとわない。

あとは、個人タイムトライアルを勝つかどうかでもロードレースへのスタンスが変わるかもしれない。大会史上初のタイムトライアルとロードレースの2冠は、レムコ自身も意識するところである。パリ五輪の再現へ、今年は大きなチャンスである。

「カナダでは素晴らしい日々を送ることができると思う。調子は良いから、勢いを持続していきたいね」

結果がどうなろうと、注目度は今大会ナンバーワン。2026年のUCI世界選手権大会は、「レムコ・エヴェネプールの大会」になりそうだ。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
サイクルロードレースを応援しよう!

サイクルロードレースの放送・配信ページへ