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スペイン籍チームの明と暗 チーム存続か解散か、タイムリミット迫るエキポ ケルンファルマの未来|ブエルタ・ア・エスパーニャ2026
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介ウルコ・ベラーデは山岳ステージで最終局面で残っている
エンリク・マス(モビスター チーム)のマイヨ・ロホ獲得が現実味を帯び、実現すれば12年ぶりとなる地元スペイン人ライダーによるブエルタ・ア・エスパーニャ制覇へのカウントダウンが始まっている。彼を盛り立てるモビスター チームの強さも改めてクローズアップされるところだが、一方では同国が誇るチームのひとつが窮地に立たされている。
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エキポ ケルンファルマは今シーズン限りでのスポンサー撤退が決まっており、このブエルタが来季へのチーム存続をかけた“最終プレゼン”の場でもある。しかし、置かれている状況は芳しくない。チームの未来は果たして。関係者の想いとは裏腹に、残された時間は減るばかりである。
チーム存続が不透明のまま進む戦い
エキポ ケルンファルマは、伝統あるスペインの若手育成チームをベースとし、2020年に初めてUCI(国際自転車競技連合)にチーム登録。当時は第3カテゴリーのコンチネンタルチームだったが、翌年にはカテゴリーをひとつ上げてプロチームとなった。
ブエルタには2022年に初出場。以来、2024年、そして今年とスペイン最大のレースへの出場権を得ている。今大会は第1週で1人がリタイアしたものの、第19ステージを終えた段階で7選手が走り続けている。
チームの状況が変化したのは数カ月前。スペイン・カタルーニャ州に本社を置く製薬会社・ケルンファルマが今年をもってタイトルスポンサーを終えると決めたことだった。
それを受けて、チームの運営会社は新規スポンサー獲得へ本腰を入れる。実際に複数企業が交渉の席につき、良い反応もあったという。ただ、なかなか契約の締結には至らない。新規スポンサー着任が有力視されるチームは、今のところないのが実情だ。
UCIが9月半ばに期限設定している2027年のプロチーム申請にも間に合わない見通しだ。この申請自体は、いくらかの手数料を支払うことで期限を過ぎてからの提出も可能になるが、それさえもできるかどうかはっきりしない。
明るい表情でご挨拶、エキポ ケルンファルマ
選手・スタッフのチーム員も、こうしたチーム情勢は把握しているよう。UCIワールドチームへの“個人昇格”が決まっているとされる選手や、他のスペイン籍チームとの交渉を行っているライダーがいるとの情報がある。また、スタッフでもチーム移籍や他所で働くことを決めている者が数名存在すると見られている。
サイクルロードレース情報サイトの「Pro Cycling Stats」によれば、エキポ ケルンファルマと2027年シーズンの契約を結んでいる選手は11人。うち、4選手は2028年まで契約を残している。
最後になるかもしれないとの危機感
マスの活躍に沸くスペインだが、自国籍チームへの追い風となるかは別問題である。「沿道にはいつも以上に人が集まっていて、ロードレースへの関心が高まっている実感はある。ただ、チームを支援することはまた別の話。スペイン人選手やチームが活躍していることがスポンサー獲得への決め手になるかというと、決してそうではない」とは、チームマネージャーのフアンホセ・オロス氏。
サイクルロードレースのチーム予算は年々高騰し、日本円にして数億円いや数十億円とも言われる昨今。エキポ ケルンファルマに限らずではあるが、タイトルスポンサーを獲得するにはイコール数億円もの資金を求めることとなり、そのハードルは自然と高くなる。
「これが最後になるかもしれないという危機感は常に感じている」とオロス氏は言う。つまりは、新規スポンサーが見つからなければチームは解散を余儀なくされる。それでも、「まだ終わってはいない。もちろん不安は大きいが、ブエルタが終わるまで全力を尽くしたい」と続ける。
チームは2年前のブエルタで3勝を挙げ大躍進を遂げた。そのうち1勝をもたらしているウルコ・ベラーデは、今年も山岳を中心にステージ勝利へのトライを続けている。第12ステージでは2位となり、第19ステージも終盤まで優勝争いを演じて4位で終えている。
決して、勝利が遠いところにあるわけではない。残るチャンスで、それをつかむことができるだろうか。いまは、勝つことがチーム存続への近道になる。
日本通ライダーの決断にも影響?
チームの動静次第では、ひとりのライダーの決断が日本では注目されることになりそうだ。
現在ブエルタを走っているイニーゴ・エロセギが大の日本通であることは、ファンによく知られるところ。日本語によるXポストは、日本はもちろん、世界的にも注目を集めるほど。昨秋に2027年シーズンまでの契約延長を発表した際には、チームが日本風のイラストとエロセギの走行風景を織り交ぜたデザインで盛り上げてみせた。
抜け出しのタイミングをはかるベラーデとエロセギ
新型コロナ禍で活動が制限されていた時期に、「完全な思い付き」で日本語と日本文化を学び始めたという。のちに日本旅行も行い、日頃からオンラインで日本のレースもチェックする。ブエルタ期間中にヨーロッパのサイクルメディアで今後について問われた際には、「日本で運試しをしてみても良いと思っている」と発言している。
「周回コースでのレースが多いことは知っている」といい、過去に日本で開催された国際レースを走った選手にもリサーチするほどに、わが国への興味を深めていることは確か。「日本へ向かう可能性がある」と現地で報じられるのも無理はないくらいに、彼の視線はこちらへと向いている。
とはいえ、実際に日本でレース活動することになるかはまったく不透明で、何よりもチーム存続が決まれば契約通りスペインで走り続けるだろう。「フアンホセとも話をしていて、僕たちは決定を待っている段階だよ。シーズンが終わってもこの状態ならさすがに困るけれど……そうなったら、この仕事はあきらめて、別のことを始めないといけないね。自分の将来について考えないといけない時期が来ているのかもしれない」
本記執筆時点でブエルタ2026は残り2ステージ。残されたカウントは、確実に減ってきている。
文:福光 俊介
福光 俊介
ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う
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