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サイクルロードレース コラム 2026年9月21日

すべての自転車選手の夢「マイヨ・アルカンシエル」 純白に5色の虹に込められた価値とは|UCI世界選手権大会

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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UCI世界選手権大会

世界選のシンボルの虹はあちこちに施されている

サイクルロードレースで見られる集団走行では色とりどりのジャージがミックスし、華やかな光景で観る者を楽しませる。

そんな鮮やかな色彩のパレットの中で、ひときわ際立つジャージが存在する。純白に5色の虹のストライプ。世界王者の証「マイヨ・アルカンシエル」である。それはすべての自転車選手の夢であり、唯一無二の価値と存在感をもたらしている。このスポーツにおけるシンボルでもある“虹”について、歴史を紐解きながら意義を深掘りしてみたい。

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5色の虹は大陸を表す

マイヨ・アルカンシエルは、すべての自転車競技において共通のデザインが採用されている。純白をベースに、上から青・赤・黒・黄・緑のストライプが配される。これらの色は五輪マークと同じで、ヨーロッパ・アジア・アフリカ・オセアニア・アメリカの5大陸を表している。ちなみに、「マイヨ」と「アルカンシエル」はともにフランス語で、それぞれジャージと虹を意味する単語である。

ロードレース競技においては、ロードレースと個人タイムトライアル、ミックスドリレーの3種目で採用されていて、それぞれで世界選手権を制した選手たちに贈られる。世界チャンピオンとなった選手は、当該種目において1年間(翌年の世界選手権大会まで)マイヨ・アルカンシエルを着用する権利を手にする。つまりは、ロードレースに勝った選手はロードレースで、個人タイムトライアルに勝った選手は個人タイムトライアルで、そのジャージを着ることができる。

マイヨ・アルカンシエルは五輪金メダル以上の価値?

マイヨ・アルカンシエルが世界選手権で初めて採用されたのは、1927年大会。プロ選手に門戸が開かれて初めて開催された機会でもあり、このときはイタリア人ライダーのアルフレド・ビンダが優勝し、虹色のジャージに袖を通した。1958年大会からは女子選手もこのジャージの対象になり、ルクセンブルク人ライダーのエルシー・ジェイコブスが最初の獲得者になっている。

以来、世界王者の証として定着しているマイヨ・アルカンシエルだが、ことロードレースにおいては五輪金メダル以上の価値があるとの見方も強まっていった。

UCI世界選手権大会

個人タイムトライアルで4連覇を果たしたエヴェネプール

五輪が4年に1度の開催であるのに対し、世界選手権はその年の王者を決める戦いであることから、その時点で強い選手を証明できるあたりが大きな要素とされる。また、国ごとの戦力に基づいて出場枠が設けられる世界選手権こそが最高レベルの戦い、といった考え方も関係している。そして、マイヨ・アルカンシエルを1年間着続けられることは何にも代えがたいステータスでもある。

今でこそ五輪に注力するトップライダーは増えているが、マイヨ・アルカンシエルこそが自転車選手の夢である点は未来永劫変わることはないだろう。それくらい大きな価値を持ち、手にするのが難しいスペシャルなジャージなのである。

ポガチャルらはマイヨ・アルカンシエルを着たままツール・ド・フランスを制している

ときにマイヨ・アルカンシエルは、着る者に不運を呼び込むとも言われている。獲得した翌シーズンに体調を崩したり、落車でけがを負ったり。レースとは関係のないところでトラブルに巻き込まれる……なんてことも。“アルカンシエルの呪い”なんてジンクスがまことしやかに囁かれていたりする。

ツール・ド・フランス

マイヨ・アルカンシエルでツールを走るポガチャル

ただ誰もがそんな呪いに振り回されているわけではなくて、トップライダーはやはりトップライダーらしく力でもって強さを証明している。エディ・メルクス、ベルナール・イノー、グレッグ・レモン、そしてタデイ・ポガチャルはマイヨ・アルカンシエルを着ながらツール・ド・フランスで個人総合優勝。虹の上にマイヨ・ジョーヌを重ね着……これぞ世界で最も強い選手の姿といえよう。

また、個人タイムトライアルではレムコ・エヴェネプールがこのほど4連覇を達成。前人未到の4年連続となるマイヨ・アルカンシエル着用である。レムコに関しては、パリ五輪でも金メダルを獲っているので、世界最高のライダーと言っても異論は出ないだろう。

マイヨ・アルカンシエルを手にできるのはレースに勝った者だけ

2026年の世界選手権ロードレースは、女子が180.4kmで、男子が273.7km。長丁場の戦いにあって、マイヨ・アルカンシエルを手にできるのはたったのひとり。運も重要な要素と言われるが、やはり強さあってこそ。その日すべてがかみ合った選手こそが、世界チャンピオンの栄誉にあずかることができる。

何よりも鮮やかな5色の虹をまとうのは誰か。シーズンのハイライトとなる大一番がいよいよやってくる。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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