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サイクルロードレース コラム 2026年7月24日

マイヨ・ヴェール争いも「山岳決戦」 中間スプリントに注力するピーダスンが逃げ切るか|ツール・ド・フランス2026

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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ツール・ド・フランス

総合争い以外にも特別賞ジャージ争いは注目が集まる

ツール・ド・フランス2026の最終決戦となるアルプス3連戦に突入した。マイヨ・ジョーヌの行方を決定づける3日間であることは間違いないのだが、実はもうひとつの“山岳決戦”も存在する。それはポイント賞のマイヨ・ヴェール争いである。大会終盤戦を迎えてマッズ・ピーダスンリドル・トレック)とヤスペル・フィリプセンアルペシン・プレミアテック)に勝負が絞られており、トライを続けてきた2人はアルプスをどう戦い抜くだろうか。スプリンターの勲章である“グリーン”は、“イエロー”と同様にアルプスで戦いの終着を見る可能性が高まりつつある。

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中間スプリントにこだわりすぎて失敗

アルプス入り前日に走った第17ステージ。マイヨ・ヴェール争いで首位を走るピーダスンは、繰り返し逃げへのジョインを試みた。レース序盤から活発に動く“グリーン”は、もはやおなじみの光景だ。

あらゆるレース展開に対応し、ときには逃げて、ときには集団を牽引して……とマルチに走るピーダスンだけど、フィニッシュ前のスピードもトップスプリンターに負けず劣らずの高いクオリティを誇る。今大会はまさにそれらを活かした走りで毎ステージで高いポイントを獲得してきた。

主催者設定のコースカテゴリーでは平坦とされた第17ステージだが、大小のアップダウンがスプリンターには厳しいと目されていた。そんなときこそ力を発揮するのがピーダスンである。本人も気合いが入っていたのだろう。出入りが繰り返された展開下で、ついに先頭グループへとジョイン。逃げに乗って、中間スプリントポイントを1位通過。25点を加算した。

その直後、ヤスペル・ストゥイヴェン(スーダル・クイックステップ)の単独アタックを見送った。そこまでは良かった。というのも、フィリプセンは逃げメンバーに対し「中間スプリントポイントだけを狙う」と告げ、ステージ優勝狙いの動きは容認すると約束をしていたのだという。だからストゥイヴェンのアタックは意識的に見送り、自身は後続のグループへ戻る判断をした。

それが誤算だった。グループにはジャージを争うフィリプセンが含まれ、オラフ・コーイ(デカトロン・CMA CGM チーム)ら複数のスプリンターも加わっていた。ほかにも、ストゥイヴェンをキャッチするには十二分に脚のあるメンバーがそろっていて、そのままスプリントへと向かっていく展開になった。ステージ優勝争いはフィリプセンがモノにし、不発に終わったピーダスンは8位。前者は50点を獲った一方で、後者は10点にとどまる。中間スプリントで得た25点を足しても、フィリプセンが15点を縮めた計算だ。得点差は7点になった。

「完全に読み間違えた。僕が逃げグループに入ったことで、フィリプセンたちを動かす形にしてしまった。こうなるなら僕は集団に待機して逃げを行かせた方が良かったかもしれない」(ピーダスン)

ツール・ド・フランス

自らの脚で中間スプリントポイントを獲りにいくピーダスン

チームのアシスタントチームマネージャーを務めるアンディ・シュレク氏は、「中間スプリントポイントにこだわりすぎてしまった。ただ、あの展開であればステージ優勝だけを狙ったとしても難しかったと思う」とピーダスンを擁護。気を取り直して、アルプスでのポイント加算に目を向ける意志を示した。

フィリプセンは逆転へ消極コメント

第17ステージを勝ったフィリプセンは、ステージ優勝を純粋に喜んだ一方で、マイヨ・ヴェールに関しては慎重な姿勢を見せる。むしろ、消極的と言った方が良いかもしれない。

「マッズ(ピーダスン)の方がはるかに有利だ。登坂力を考えると、明日からのコースは僕には厳しい」(フィリプセン)

アルプス3連戦では、いずれのステージも中盤から後半に中間スプリントポイントが置かれており、その間にいくつかのカテゴリー山岳を越えなければならない。第20ステージに至っては、超級山岳コル・ド・ラ・クロワ・ド・フェールを越えてからになる。両選手とも脚質的に本格山岳でステージ優勝を狙うようなタイプではないので、得点チャンスがあるのは中間スプリントに限られる。レース展開やプロトンの速度にもよるが、セオリー的には山岳で逃げて、スプリントチャンスで先着することが必要になるだろう。

ツール・ド・フランス

第17ステージで区間勝利、ポイントを一気に縮めたフィリプセン

その意味では、フィリプセンの言うように両者の争いはピーダスンが有利なのかもしれない。実際、第18ステージでは複数のカテゴリー山岳を先頭グループでクリアし、コース後半に設置された中間スプリントポイントでの1位通過に成功。25点を加算した。ピーダスンもフィリプセンも、ステージ優勝争いには絡まなかったので、フィニッシュでのポイントはなし。このステージを終えてのポイント差は32点に広がった。フィリプセンは第17ステージ後、「僕だってその気になれば上れるんだよ」と笑って話したけど、ここからの追い上げはあるだろうか。

なお、第19・第20ステージの両選手の走りによっては、ジャージ争いがパリまでもつれ込む可能性もまだ残されている。

ピーダスンは総得点の65%を中間スプリントで獲得

大会は終盤に入っているけど、いま一度ポイント賞のシステムを確認。

フィニッシュでの上位着順と、中間スプリントポイントの上位通過順によってポイントが付与され、総得点の最も多い選手にマイヨ・ヴェールが贈られる。今大会からスプリンターがより有利になるよう平坦ステージでの配点が変わり、コースレイアウトによって付与ポイントが変動する(1位の場合50〜70ポイント)。

また、中間スプリントポイントはコース内に1カ所のみの設置で、1位通過者には25ポイントが付与される。システム的に、フィニッシュと中間スプリントポイント両面で上位入りを繰り返していくことがマイヨ・ヴェール獲得の最大条件。ピーダスンのように逃げた先でのポイント獲得も見込めるので、「上れるスプリンター」の方が有利とも言われている。

ちなみに、ピーダスンは第18ステージ終了時点での総ポイント477点のうち、65%にあたる308点を中間スプリントポイントで獲得している。現行システムでは、フィニッシュはもとより中間でのポイントゲットも大事であることを表しているといえよう。

マイヨ・ジョーヌ同様に、決着のときが近づいているマイヨ・ヴェール。パリまで勝負がもつれ込むかも含めて、アルプスの山々がその真実を知る。

文:福光 俊介 from Orcières-Merlette, France

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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