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サイクルロードレース コラム 2026年7月26日

「心と体が続く限りは走り続けていきたい」 24回目のグランツール完走が見えてきた37歳オリヴェイラの境地|ツール・ド・フランス2026

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
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ツール・ド・フランス

逃げに乗るオリヴェイラ(右)

ツール・ド・フランス2026最大のヤマ場となったアルプス3連戦を終えて、一行は最終目的地・パリへと向かう。激動の3週間を走り抜いた勇者たちの行進がシャンゼリゼで見られる。ある者は最高栄誉のマイヨ・ジョーヌで、ある者は初のツール完走の喜びを胸に。その中には、24回目のグランツール完走に王手をかけたベテランの姿もある。ネルソン・オリヴェイラ(モビスター チーム)はツールでは10回目、グランツール通算では24回目の出場で全完走を果たそうとしている。プロトンが誇る“鉄人”は、パリ到達を前にどんな思いを抱いているのだろうか。

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走り抜いたステージ数は484

このツールを走り切れば、出場した24回のグランツールで全完走となる。総走行ステージ数は501。記念すべき500ステージ目を迎えた第20ステージでは、スタートサイン時にステージで紹介されて、詰めかけた大観衆からの祝福を受けた。ジロ・デ・イタリアでは4回、ブエルタ・ア・エスパーニャでは10回走り切っていて、ツールも晴れて10度目のフィニッシュに達しようとしている。

グランツール初出場は2011年のブエルタ。かつてはタイムトライアルスペシャリストとして鳴らし、TTステージで上位に入ることもしばしば。2013年のブエルタ第13ステージでは独走勝利も挙げている。

特筆すべきは2015・2019〜2024・2026年の8シーズンで2つのグランツールを完走している点だ。今年もジロを走り切ってからツールに乗り込んでいて、もうすぐパリ・シャンゼリゼに到達する。

スタートをする以上は勝ちたい

3月には37歳になった。長くプロトンに身を置き続け、1年間で複数のグランツールをこなすには、「深く考えすぎないこと」が重要だという。年齢を重ねるとともに恐怖心も湧くようになってきて、レース・トレーニング問わず心にブレーキをかけることも増えた。

ツール・ド・フランス

積極的に逃げに乗るオリヴェイラ(左)

それでも走り続けるのは、「勝ちたい」から。「ツールを走って良かった……で終わるのではなくて、スタートをする以上は勝ちたい。毎日その思いを抱きながら走っているんだ」と話す。もちろん日々のケアや、規則正しい生活も心掛ける。

偶然か必然か、今大会の後半戦に入って「24回目のグランツール完走が近づいていますね」と問われることが増えたのだとか。「もう何回もこの質問に答えているのだけど……」と前置きしながらも熱い想いを語る。

「チームとの契約が2027年まで残っているから、少なくともそれまでは走る。その先も走り続けると思うよ。心と体が続く限りはこの仕事をやっていくつもりだし、完走回数がどうかは別としてツールはまだまだ走りたいからね」

チームはキアン・アイデブルックスが第6ステージでリタイアし、エイネル・ルビオも第19ステージで他チームの車両と接触するアクシデントで大会を去った。総合エースのアイデブルックスを盛り立てきれず、彼が抜けた後のチーム目標になったステージ優勝も果たせていない。いまはただただ悔しさだけが募っている。

ちなみに、グランツール最多完走記録はマッテオ・トザットの28回。オリヴェイラのモチベーションやフィジカルを考えれば、記録到達の可能性は十分にありそうだ。

自転車でポルトガルを盛り上げたい

ポルトガル人ライダーとして唯一のツール参戦。毎ステージ、レース前には自国から足を運んだファンと交流する姿も見られる。

ツール・ド・フランス

チームメートをサポートするオリヴェイラ(左)

「ポルトガルでもツール・ド・フランスは人気があるんだ。今年はジョアン・アルメイダUAEチームエミレーツ・XRG)の出場が期待されていたみたいだけど、僕としても彼が出場できなかったのは残念。その分、僕の走りで応援してくれる人たちが喜んでくれるとうれしいね」

いつかは自国のサイクリング振興に貢献したいという。心と体が充実しているいまは、レースでの活躍でポルトガルの自転車シーンを盛り上げるのが使命だ。

文:福光 俊介 from Alpe d'Huez, France

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

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