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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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生まれ故郷のオランダ北部のような、向かい風が吹きつけていた。
下りで逃げグループから一人飛び出し,トレードマークの前かがみの姿勢で、前へ前へと進む。
ゴールまで27km。べノートが、ギャロパンが、バルギルが、ログリッチェが、その後を追う。
これだけのロングアタックを成功させるのはさすがに難しいだろう、そんな疑いを振り払うかのように、モレマはペダルを踏み続けた。
まだかなりの距離を残してモレマがアタックをかけたとき、数年前の彼の言葉が鮮やかによみがえってきた。
これからは、ツールをはじめとするステージレースに力を入れたいこと。
自分のスプリントは決して悪くないけれど、例えばロドリゲスやクフィアトコウスキーと競り合って勝てるスピードはないから、何か他の戦い方を試してみたいこと。
例えば、最終盤だけに集中せず、早め、早めにアタックをかけてみること。
『ゴール前10~20㎞でのアタックとか、ね』。
プレッシャーがなくなったときの方が、レースに集中して力を発揮できる、と言うモレマ。。
長く過ごした母国のチームを離れ、そして今年、コンタドールというリーダーとともに来たツールだったからこそ、この挑戦ができたのかもしれない。
昨ツールでは、第19ステージまで総合2位につけていたが、オートバイとのクラッシュに巻き込まれ、結果的に順位が大きく後退した。
(その悔しさを晴らすかのように、6日後、大好きなクラシカ・サンセバスチャンで初優勝をあげた)
「ツールは、ストレスに押しつぶされそうで、誰もがナーバスで、そんなにひどいところなのに、どうしてもそこにいたい、どうしてもそこにいなくちゃならない、と思わせる、不思議な場所なんだ」
モレマの勇敢な挑戦は今日、その夢の舞台で実を結んだ。
寺尾 真紀
東京生まれ。オックスフォード大学クライストチャーチ・カレッジ卒業。実験心理学専攻。デンマーク大使館在籍中、2010年春のティレーノ・アドリアティコからロードレースの取材をスタートした。ツールはこれまで5回取材を行っている。UCI選手代理人資格保持。趣味は読書。Twitter @makiterao
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