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野球 コラム 2026年7月24日

「言葉以上に大切な信頼関係」── 四半世紀にわたりドラゴンズの外国人選手を支える通訳のIDENTITYとは

野球好きコラム by 岡田昌尚
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球団提供

皆さんこんにちは!フリーディレクターの岡田昌尚です。今回は、7月23日に中日ドラゴンズ公式YouTubeで公開された『IDENTITY of Dragons EP3通訳編』の制作後記となります。

今年4月より始まったこの新シリーズは、ドラゴンズに関わる様々な役割の人物に密着し、「根底にある想い」に迫るドキュメンタリーです。初回は髙橋宏斗投手、エピソード2はチアドラゴンズ。そして今回、『通訳』に焦点を当てました。

中日ドラゴンズ公式チャンネル

【EP3 #通訳 】ドキュメンタリーシリーズ『IDENTITY of Dragons』 #IOD_EP3 #ドキュメンタリー

現在、ドラゴンズの通訳は6名。最年長は在籍24年目の桂川昇さん。ヒーローインタビューで『助っ人選手よりもテンションが高い通訳』として、記憶に刻まれているファンの方も多いでしょう。ドラゴンズの黄金期を知り、長年外国人選手を支えてきた“ノボルさん”。その根底にある想いに迫ります。

プロ野球の通訳になるまでには、幾つもの奇跡が…

岐阜県出身。ドラゴンズファンという両親の影響で野球を始め、大学まで野球を続けた桂川さん。22歳で健康づくりのトレーナーに就くも、「何かに挑戦したい」と一念発起。25歳で『青年海外協力隊(現名称:JICA海外協力隊)』に応募します。
※JICA海外協力隊…開発途上国の課題解決に向き合う海外ボランティア制度

世界中に候補国がある中、桂川さんの派遣先は中米のニカラグアに決まります。ここで初めて、スペイン語と出会いました。「大人になってからの勉強。先生の言うことが分からず、悔し涙を流した日もありました」 5か月ほどの準備期間を経て、現地ニカラグアへ。辞書片手に活動に励んでいたそうです。

もし派遣先がスペイン語圏のニカラグアではなかったら、現在の桂川さんはありません。そして、『通訳』という職業に就いたのも奇跡の連続だったのですが…その全貌は公開中の動画でご確認ください!

球団提供(IDENTITY of Dragons通訳編より)

自らが「外国人」として暮らした日々。今に活きる途上国での原体験

私自身にはあまり馴染みがなかったニカラグアですが、JICAのHPには「中南米地域で2番目の貧困国」と記載されています。桂川さんも、トタン屋根で電気や水道も不十分、トイレはバケツで水を汲んで流すような生活を経験しました。それでも当時のことをこう振り返ります。「みんな幸せに暮らしていたんですよね。自分の価値観が変わりました」

この海外への移住経験は、外国人選手と向き合う今も活きていると言います。「日本が恋しい時もありましたし、食事や言葉の面でも苦労しました。自分で体験したことがあるからこそ、ドラゴンズに来てくれた外国人選手の気持ちが少しは分かるんじゃないかなと思います」 学校の勉強だけでは分からない、“外国人”として異国で暮らした経験を基に桂川さんは選手たちと接しています。

球団提供(IDENTITY of Dragons通訳編より)

球団提供(IDENTITY of Dragons通訳編より)

ドラゴンズの売りは“家族”として外国人選手と接すること

母国を離れた彼らにとって、通訳は唯一の頼り。そのサポートはグラウンド内にとどまりません。「過去には深夜に『子どもが頭を切った』と連絡があり、すぐに病院に連れて行って縫ってもらったことがありました」 いつでも頼れる存在であろうとする桂川さんの姿勢は、まさに家族そのもの。

『言葉以上に大切な信頼関係。仕事の関係を超えて接してほしい』 この桂川さんの思いは、ドラゴンズの他の通訳の方々にも伝播しています。今季より加入したサノー選手は「通訳のみんなは特別な存在。家族や息子のように接してくれて光栄」と感謝の気持ちを口にします。シーズン中は自身の家族よりも長く生活を共にする彼ら。そこには、外国人選手たちとの深い関係性が滲みます。

動画の最後には、ヒーローインタビューでの立ち振る舞いについて桂川さんが言及する場面があります。なぜ、助っ人よりも高いテンションになるのか。その答えは、ぜひ動画で。

球団提供

立場は違えど、口を揃えた“優勝”

中日ドラゴンズ公式チャンネル

【EP2 #チアドラゴンズ 】ドキュメンタリーシリーズ『IDENTITY of Dragons』 #IOD_EP2 #ドキュメンタリー

エピソード2ではチアドラゴンズに密着しました。動画内には入っていないのですが、あるメンバーに今後の夢を聞くと、「優勝の瞬間に立ち会いたい」と答えました。桂川さんにも同じ思いが。「もう一度優勝したい。外国人選手が活躍して勝って優勝」 エピソード1の髙橋宏斗投手もそうでした。私もドラゴンズの仕事をいただける限りは、優勝の瞬間をいかに捉え、そこへ至る歩みをどう映像に刻むか。その悲願が訪れるまで、映像ディレクターとしての腕を磨き続けていきたいと思います。

球団提供(著者撮影)


詳しくはこちらもご覧ください。

P.S. 桂川さんの人生が大きく変わったきっかけの『JICA海外協力隊』とは、私も深い関わりが。こちらはまた機会をいただければ、別のコラムで。

文 岡田昌尚(フリーディレクター)

岡田昌尚

1986年2月1日生まれ。愛知県名古屋市出身。キー局制作会社で10年間勤務し、2021年4月中日ドラゴンズに入社。25年4月よりフリーで映像制作などを行う。

テレビ制作では、旅・バラエティ番組のADを経て、スポーツ番組を担当。2016年頃から長編ドキュメントVTRを制作するようになり、密着取材の経験を積んだ。中日ドラゴンズでは、未開拓であった動画コンテンツの制作・発信に従事。22年には球団初となるドキュメンタリームービーを制作した。最近ハマっているYouTubeチャンネルは『うじとうえだ』。

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