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大谷翔平
エンジェルスによる大谷翔平トレード回避の決断を、「ESPN」シニア・ライターのバスター・オルニーは“all-in against all odds”と評した。いわば、「乾坤一擲」だ。その時点で、ポストシーズン進出の最終枠となるワイルドカード3位に4ゲームをつけられていた同球団にとっては、まさに乗るかそるかの大ばくちのように見える。しかし、見方を変えれば当然の選択とも言えなくもない。
トレード期限の現地時間8月1日が目前に迫った同7月26日、エンジェルスは「大谷を放出しない」と明言するとともに、ホワイトソックスからエース格のルーカス・ジオリトとリリーフ投手のレイナルド・ロペスを若手有望株2人との交換で獲得するトレードを発表した。すると、それに応えるかのように大谷が、タイガースとのダブルヘッダーで、自身初の完投となる完封勝利(第1試合)と2打席連続本塁打(第2試合)という歴史的なパフォーマンスを演じたのはご存知の通りだ。
エンジェルスは苦境にあった。前述の通り、ワイルドカード争いでは後塵を拝しており、マイク・トラウトは右手有鈎骨骨折で離脱中だ。プレーオフ進出の可能性は、その時点では「FanGraphs」では15.8%、「Baseball-Reference」では10.0%という低いものだった。
現在のメジャーでは、統計学による分析が全てを牛耳っている。エンジェルスは2014年を最後にポストシーズンから遠ざかっており、今季も苦戦が続いている。オフには大谷はFA権を取得する。彼の引き止めには史上最高額の契約条件を提示する必要があり、それは同球団にとって全体の補強予算を圧迫することになる。
以上を総合的に考慮すると、オフに流出を招き単にドラフト1巡目後の指名権を代償に得るだけより、今の段階で大谷を放出し、有望な若手選手を複数獲得する方が合理的とするのが一般的だ。
しかし、エンジェルスはそうしなかった。
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