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菊池雄星
今季のMLBで際立った活躍が期待される日本人投手というと、だれもが昨季のナ・リーグ最多勝利投手のダルビッシュ有(パドレス)、すでに今季の開幕投手に指名された前田健太(ツインズ)を思い浮かべるだろう。
しかし、個人的に期待しているのはマリナーズの菊池雄星だ。メジャーでの過去2年間の成績は、6勝11敗 防御率5.46(19年)、2勝4敗同5.17(20年)と、最低でも4年総額5600万ドルが保証され、最大では7年総額1億900万ドルのサラリー獲得が可能(詳細は後述)な契約内容見合いとは言い難い。それでも彼に期待する(できる)理由を述べたい。
過去の事例では、NPBである程度実績を残した投手がメジャーに挑み彼の地でも成功する場合は、概ね1年目からしっかり期待に応えている。野茂英雄、佐々木主浩、斎藤隆、黒田博樹、ダルビッシュ有ら、岩隈久志、田中将大らは、みな初年度からそれなりのパフォーマンスを見せた。長谷川滋利や上原浩治は例外だが、彼らの場合当初は先発で、その後リリーフに転じたことが覚醒の要因の一つであったと言えるだろう。
逆にいえば初年度に結果が出なければ、井川慶、五十嵐亮太、牧田和久など、その後もジリ貧のケースが目に付く。また、高津臣吾、小林雅英、川上憲伸など初年度はそこそこ活躍しながら、2年目から成績を落とすケースも少なくない。今季オリックスに復帰した平野佳寿もこの範疇に入るだろう。投手にとっては手の内を知られていないことがアドバンテージで、かつそれで牛耳れる期間は長くないということか。
さて、それらの傾向も踏まえた上で今季の菊池への期待を説明したい。
単純に勝敗や防御率のみで彼の過去2年間を語ろうとすると、失望しかない。しかし、詳細は後述するが、実は2年目の昨季は、セイバーメトリクス的プロセス指標は確実に改善されており、それらの数値はメジャーのローテーション投手として恥ずかしくないものだった。
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