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全てが例外的なシーズンを締めくくるワールドシリーズが始まった。
各球団わずか60試合制(多数の新型コロナウィルス感染者を出したカージナルスに至っては58試合のみ)も、同地区球団のみとの対戦も、延長戦でのタイブレーク制も、一部のポストシーズンゲーム以外は全て無観客での開催も、全球団の半数を超す16チームによるプレーオフも、全て特殊な事情下の今季のみの運用だ。
一方ワールドシリーズは、両リーグ最高勝率の球団によるマッチアップという王道となったのはちょっとした驚きだ。
通常のシーズンの4割未満の試合数では、予想外の球団の躍進もあり得る。ポストシーズン出場枠が各リーグ5球団から8球団に一気に拡大したこともあり、開幕前は、それこそ公式戦での勝率5割未満のワールドチャンピオン誕生の可能性すら指摘された(実際、レギュラーシーズンでは29勝31敗のアストロズが、ワールドシリーズまであと1勝まで迫った)。
しかし、結果的にはある意味では東西両横綱の対戦となった。そもそも、世界一までのハードルが多い現在のポストシーズンフォーマットでは、意外な球団のワールドシリーズ進出が起きやすい。実際、21世紀以降に限定すれば、両リーグ最高勝率の球団が対戦するのは2度目でしかない(2013年のレッドソックス対カージナルス以来)。
本来稀な最高勝率チーム同士の対戦が、「なんでもあり」のはずの今季に実現するのも皮肉なことだ。
また、今年のポストシーズンゲームは、第1ラウンドのワイルドカード・シリーズ以外は、中立都市での選手や関係者を隔離した「バブル」方式で開催されている。レイズ 、ドジャース両球団のファンは、地元球場での応援が叶わぬのだから、喜びに浸りながらも忸怩たる思いだろう。もちろん、会場のテキサス州アーリントンのグローブ・ライフ・フィールドまで応援に行くファンもいるだろうが、そもそも総観客数が1万1000人に限定されている。せっかくのワールドシリーズに、例年のオークランド・コロシアムやマーリンズ・パークでの公式戦並みの観客しかいないのだ。
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