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凄まじい意地を見せたイリヤ・マリニンが金色の栄冠を掴む「楽しい経験。すごく心地よかった」 | 全米フィギュアスケート選手権2024 男子シングル レビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部右足首の手術から2シーズンかけて昨季復活を果たしたトルガシェフは、昨年秋に背中を故障し、いまだ「回復中」。SPはノーミスで滑り切ったが、FSでは予定していた冒頭の4回転が2回転となり、その後も複数のジャンプで着地が乱れた。FSだけなら7位で、トータル5位で大会を終えている。
最終的な銅メダルのプルキネンと、ピューターメダルのナウモフは、奇遇にも、揃ってFSに「トスカ」を選んだ。同じ曲だからこそ、2人の個性の違いが際立った。前者のプログラムは骨太で重々しく、濃厚な色香が放たれ、後者の演技は繊細かつドラマチックで、エレメンツを重ねるたびにどんどん熱を帯びていく。
しかも両者ともに、完璧な4回転からプログラムを滑り出した(プルキネンはトーループ、ナウモフはサルコウ)。ただプルキネンは3A+1Eu+2Sを予定していたコンビネーションで、最後に1回転しかつけられなかったことを悔しがるし、ナウモフは後半の3回転アクセルの転倒が得点に響いた。
「サルコウに関しては少し腹を立てています。あれさえ上手く出来ていれば、もう少し良かったのに……と。でも全体的には自分の滑りに満足していますし、ついに表彰台に上がることができて本当に嬉しいです」(プルキネン)
「ほんの小さなミスが失点につながってしまいましたが、挑戦したことには満足しています。もしも挑戦していたらどうなっていただろう……と悩むよりも、挑戦して失敗したほうがずっといい」(ナウモフ)
たしかに1.17点差で、プルキネンは銀メダルを逃した。それでも6度目の全米挑戦で、23歳にして、ついに初めてのメダルを手に入れた。また足首粉砕骨折からの完全復活を昨大会4位でアピールしたナウモフは、ほんの1.83点差で銅には届かなかったが、2年連続の4位ピューターメダルを心から楽しんだ。
そして13回目の全米選手権を、ジェイソン・ブラウンは満面の笑みで締めくくった。9個目のメダルと共に。
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