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凄まじい意地を見せたイリヤ・マリニンが金色の栄冠を掴む「楽しい経験。すごく心地よかった」 | 全米フィギュアスケート選手権2024 男子シングル レビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部「一番の問題はスケート靴でした。今日だけでなく、この1週間、僕を大いに悩ませてきました。今大会に乗り込んできた時点では、自分がちゃんと演技できるかどうかすら確信が持てなかったほどです」
複数のミスや転倒にも関わらず、マリニン本人は「がっかりはしていない」と胸を張る。スケート靴の問題を上手く乗り越えられたことが誇らしいし、なにより「ジャンプ以外」の部分に対する評価に手応えを感じからだ。
19歳の伸び盛りは、今季は特に、表現力の強化に勢力的に取り組んできた。努力は演技構成点(PCS)に直に反映された。1年前の全米ではSPでは3項目のうち1つが、FSでは構成力、演技力、スケート技術の3項目すべてが10点満点中8点台だったが、2024年大会はSP、FSともにオール9点台にアップ。しかもノーミスだったSPでは、あのジェイソン・ブラウンを上回ったほど!
いわゆる「セカンドマーク」の底上げも成功させたマリニンは、FSでも2位以下を10点以上突き放す高得点を叩き出した。さすがにネイサン・チェンが2019年に記録したFS45.04点差、トータル58.21点差という超人級の記録を塗り替えることはなかったけれどーー楽しみは来季以降にとっておこうーー、全米チャンピオンとして揺らぎない地位を打ち立てた。
金メダル争いが、実質的にマリニン1人で執り行われたのだとしたら、他の3つの色を巡っては、4選手が接戦を繰り広げた。SPを終えた時点で2位マキシム・ナウモフ、3位ジェイソン・ブラウン、4位アンドリュー・トルガシェフ、5位カムデン・プルキネンまでが、わずか1.82点差で並んでいた。
「接戦……これこそ観客のみなさんが待ち望んでいたものなんです!」(プルキネン)
4人全員が、それぞれに、自分らしい演技でアリーナを魅了した。たとえばSP、FSともに現代風の音楽と哲学的なテーマを選んだトルガシェフは、その瑞々しい感性と卓越したスケーティング力とで、氷上に独特な世界を作り上げた。
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