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もう無駄に、悔しい、苦しい思いをしなくていいようにーー。坂本花織、苦難を乗り越えて掴んだ金メダル | ISU世界フィギュアスケート選手権2023 女子シングル レビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部「今シーズン一番大きな試合で悔しい思いをしてしまったので、これを来シーズンにつなげていきたい。もう無駄に、悔しい、苦しい思いをしなくていいように。しっかりと練習して、どの試合でもすべてが完璧な演技をできるようにしたいと思っています」(坂本)
浅田真央(3回)、安藤美姫(2回)、羽生結弦(2回)という偉大なる先人たちに続き、坂本花織が2度目の世界選手権制覇を果たした。なにより日本フィギュアスケート史上初の、世界選手権連覇。もちろん翌日に宇野昌磨が同じ快挙を成し遂げるため、日本にとっては史上初の男女アベック連覇であり、ペアの三浦璃来&木原龍一組と合わせて日本史上初の3種目制覇だった。さらにはアイスダンスで日本史上最高順位タイを記録した村元哉中&高橋大輔組も含めて、8度目の日本開催は、日本史上最高尽くし!
お隣の韓国にとっては、記念すべき初のアベック表彰台だった。なにより四大陸選手権チャンピオンのイ・ハエンが、キム・ヨナ以来10年ぶりに韓国女子にメダルをもたらした。
「私にとっては大いなる喜びですし、キム・ヨナ以来の世界選手権メダリストになれたというのは……素晴らしい名誉でもあります。これを励みに、来季以降も厳しい努力を続けていきたいです」(イ)
成長期のせいか不安定だった技術力と、成熟したからこそ幅を広げた表現力とを、17歳のイ・ハエンはついに美しく融合させた。特にエッジエラーや回転不足に悩まされてきたジャンプを、今大会は、きちんと安定させられた。FSで1つ「q(4分の1回転不足)」がついた以外は、すべてをクリーンに飛んだ。だからこそSPでは2020年ジュニア世界選……つまり14歳で出したパーソナルベストを、なんと3年ぶりに塗り替えた。さらにFSとトータルの得点は、昨シーズン四大陸のPBを、1年2ヶ月ぶりに更新したことになる。
一方でPCS演技構成点だけに限れば、毎シーズン、確実にPBを伸ばしてきた。氷上では一回り大きく見える均衡の取れた身体を、ダイナミックに動かすことで、リンクに大輪の花が咲いたような、華やかなパフォーマンスを実現させた。ジュニア時代はすべて7点台で、優勝した昨四大陸でもいまだ8点台前半に留まっていたPCSは、ことごとく8点台後半に躍進した。FSでは「構成」で初めて9点台にも手が届いた!
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