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ラグビー コラム 2025年5月30日

4年目のリーグワン頂上決戦。 ブレイブルーパスの連覇か、スピアーズの王座奪還か

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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4シーズン目のリーグワンがファイナルを迎える。6月1日(日)、国立競技場の大観衆の前でどんな戦いが繰り広げられるのか。過去3シーズン、王者は埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉WK)、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(S東京ベイ)、東芝ブレイブルーパス(BL東京)と、毎年変わってきた。今季のファイナリストはBL東京とS東京ベイになったため、初めて2度目の優勝が見られることになる。そして、この決勝戦は4度目にして初めて埼玉WK不在の戦いとなる。

勝てば連覇となるBL東京は、準決勝でコベルコ神戸スティーラーズを31-3で下した。PGで先制されたものの、CTBロブ・トンプソンのトライで逆転し、以降は強固なディフェンスで神戸Sをノートライに抑え込んだ。リーグワンの最多トライゲッターであるWTBジョネ・ナイカブラを怪我で欠いたが、本来はFBの豊島翔平をWTBに起用して穴を埋め、SOリッチー・モウンガが「FWを少しでも前に出すことを考えてプレーした」と、正確なロングキックで陣地を進めた。

 

決勝戦のメンバーは、準決勝から先発で3名の変更がある。リーチ マイケルがリードするFWは変わらず。ラインアウトの要であるLOワーナー・ディアンズ、突破役のFLシャノン・フリゼル、タックル、スティール(ジャッカル)で体を張り続けるFL佐々木剛などワークレートの高い選手が揃う。変更があるのはBKで、先週、負傷退場したCTB(13番)セタ・タマニバルに代わって交代出場で奮闘した眞野泰地が12番で先発し、12番だったロブ・トンプソンが13番にまわる。11番のWTBは豊島に代わって万能プレーヤーの森勇登。そして、14番のWTBも桑山聖生に代わってマイケル・コリンズが入る。パワフルなタマニバルの欠場は痛いが、運動量豊富な眞野が入ることでディフェンスの厚みは増す。スピードある森と、どのポジションで対応でき、強さもあるコリンズの起用は攻撃のバリエーションを広げるだろう。

 

対するS東京ベイは、準決勝で埼玉WKとの死闘を28-24で制して勝ち上がってきた。リーグ戦3位で準々決勝からプレーオフを戦っており、第16節から6週連続での試合となる。疲労の蓄積が心配されるが、準決勝の勝因の一つとなったスクラムで圧力をかけ、フィジカル面の強みを生かしてディフェンス面でもプレッシャーをかけ続けたい。30日(金)に発表されたメンバーを見ると、先発15名は準決勝と変更なし。リザーブの19番のみ、デーヴィッド・ヴァンジーランドからメルヴェ・オリヴィエに変更だ。

献身的なプレーを続けるキャプテンのNO8ファウルア・マキシ、スクラム、ラインアウトの要であり、攻守にチームを勢いづけるHOマルコム・マークス、パワフルなボールキャリアーであるオペティ・ヘルらが強力なフィジカルで前に出て、BL東京のディフェンスの出足を止められるかどうか。BKでは、着実にボールを前に運ぶ立川理道リカス・プレトリアスの両CTB、堅実なフィールディングが光るFB押川敦治ら冷静にプレーを読む選手たちが並ぶが、エネルギッシュに動き回るSH藤原忍が攻守のリズムを変える。元オーストラリア代表SOバーナード・フォーリーにとっては、元ニュージーランド代表SOモウンガに負けたくない気持ちも強いだろう。正確なキックに加えてランの能力も高い両SOの対決にも注目だ。そして、準決勝でロングPGを2本決めたWTBハラトア・ヴァイレアは決勝でも勝敗のカギを握る。

BL東京はディビジョン1でのS東京ベイ戦では現在3連勝中だが、いずれも4点差以内の辛勝。今年の対戦(第10節、3月1日)も、31-27だった。リーグワンのスタッツを担当するOPTAによれば、BL東京の相手陣22mライン内への進入した1回あたりの平均得点数は今季ディビジョン1最多の3.5。高い得点力を示している。一方で、自陣22mライン内へ進入された1回あたりの平均失点数はS東京ベイ(2.3)に次いで2番目に少ない(2.4)。つまり、両チームともトライラインを背負ってのディフェンスには自信を持っている。

過去3度の決勝戦はすべて6点差以内で決着している。攻守に質の高い両チームだが、今季のリーグワンでもっとも得点をあげたのはBL東京であり、もっとも失点が少ないのがS東京ベイだ。BL東京の攻撃がどうS東京ベイのディフェンスを崩すのか、それともS東京ベイがその攻撃を跳ね返すのか。キックオフからノーサイドの笛が鳴るまで目の離せない緊張感ある戦いになるだろう。

文: 村上晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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