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リーグワンのプレーオフ準々決勝第1試合は予想に違わぬ好試合になった。今季はレギュラーシーズンで2度対戦し、静岡ブルーレヴズ(静岡BR)が2勝しているが、第1節(15-13)、第18節(29-23)と得点差はわずか。第18節から中6日での再戦で、メンバーにも変更がある。予断を許さない戦いは、5月17日(土)午後12時5分、コベルコ神戸スティーラーズ(神戸S)ボールのキックオフで始まった。
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キックオフの権利はコイントスに勝って神戸Sが選んだものだ。「コイントスの前に雨が降ったり止んだり、急に風が吹くなど天候が次々に変わったので、(陣地ではなく)キックオフを取りました。プレッシャーをかけ、相手陣のラインアウトから攻めたかった」(ブロディ・レタリック)。その言葉通り、SOブリン・ガットランドが蹴り込んだボールを静岡BRが切り返そうとすると、静岡BRのパワフルFLヴェティ・トゥポウに対して、神戸SのFLヴィリー・ポトヒエッターが激しくタックル、ベテランPR山下裕史も加勢し、トゥポウの上体を抱えてターンオーバーを勝ち取った。
続くスクラムでは、18節は欠場していた5番のレタリック、途中出場だった7番のポトヒエッターが第一列の右PR(3番)山下を強力にプッシュ。押しながらボールを出して、連続アタックで静岡BRのオフサイドを誘い、ガットランドが先制PGを決めた。直後のキックオフでは、静岡BRのSH北村瞬太郎のタックルでCTBマイケル・リトルが落球。トライライン近くでスクラムとなったが、ここで静岡BRの反則を誘ってピンチを脱した。第18節では不利だったスクラムで、神戸Sは課題を修正し勢いに乗った。
しかし、静岡BRはスクラムで圧力を受けながらも、BKのサインプレー一発でトライを奪う。前半8分、神戸S陣に5mほど入った左中間スクラムから右に展開し、広く立っていたCTBチャールズ・ピウタウの内側にWTBマロ・ツイタマが走り込んで突破し、最後はWTBヴァレンス・テファレがボールを受けてトライエリアまで駆け抜けた。SOサム・グリーンのゴールも決まって、3-7と逆転する。
ジャパンラグビー リーグワン2024-25 D1 (5月17日)
【プレーオフトーナメント 準々決勝-1 ハイライト動画】静岡ブルーレヴズ vs. コベルコ神戸スティーラーズ
前半18分、神戸SのWTB松永貫汰が左コーナーに飛び込もうとしたところで、テファレがハイタックルを犯し、イエローカード、ペナルティートライとなる。これで10-7と神戸Sが逆転。その後も神戸Sがアグレッシブに攻め、受けに回った静岡BRが反則を繰り返す展開が続いた。前半27分、モールを押し込んだ神戸Sがトライエリアに入ったが、ここはボールを押さえることができず、トライラインドロップアウトになる。しかし、このキックを受けての攻撃から神戸SはWTB植田和磨がディフェンスを突破してトライラインに迫り、最後はFLワイサケ・ララトゥブアがトライ。17-7と突き放した。前半30分を過ぎて、ようやく静岡BRが流れをつかみ、38分、サム・グリーンがPGを決めて、17-10となって前半が終了する。
後半に入ると、静岡BRは流れを変えるために、インパクトプレーヤーのFLクワッガ・スミス、PR茂原隆由、CTBシルビアン・マフーザを投入する。しかし、神戸Sはその攻撃を跳ね返すと、後半3分、FB李承信のインゴールへのグラバーキックに、松永が走り込む。トライにはならなかったが、直後に相手のドロップアウトのボールを取って攻め、李がトライして、24-10とした。その後は両チームとも簡単なミスや反則が減り、緊迫感ある攻防となる。後半11分、静岡BRのSH北村瞬太郎が今季何度も見せてきた好サポートからのトライで、24-17とすると、17分、グリーンがPGを決めて、24-20。悪天候のなかで集った7,006人の観衆のボルテージはさらに上がった。
その後、神戸Sの猛攻を静岡BRがしのぎ切ってチャンスをつかむと、後半26分には神戸S陣内深い位置でラインアウトを得る。ここは神戸Sがスティールしてしのいだが、静岡BRのテファレが突進に対して、今季初出場で後半投入された神戸SのPR渡邉隆之がスティール(ジャッカル)。33分には、神戸Sがトライライン直前まで攻め込み、ここで静岡BRが痛恨のオフサイドを犯す。古瀬レフリーは、すぐに笛を吹かずアドバンテージを適用した。そのなかで、ガットランドは思い切って左タッチライン際のWTBイノケ・ブルアにキックパス。これがキャッチしたブルアがトライし、29-20。さらにPGとトライを加えた神戸Sが今季3度目の対戦で初めて静岡BRを下した。最終スコアは、35-20だった。
殊勲の山下裕史は、「一週間、平島久照スクラムコーチとやってきたことは間違っていなかった」と胸を張った。レタリックキャプテンは「きょうは長い時間、正しいエリアで正しいプレーができた。プレーオフはプレッシャーをかけ続けることが大切で、後半レヴズが反撃してきたが、ファイトし続けた結果、自分たちにチャンスが来た」とコメントした。ラグビーワールドカップなど大舞台で戦ってきた選手たちが経験値を生かした神戸Sの勝利でもあった。準決勝(5月24日)ではブレイブルーパス東京と対戦する。
一方、敗れた静岡BRの日野剛志は試合直後のインタビューで言った。「セットプレーで強みを出せず、反則が増えてしまった。悔いが残るが今季は若い選手が活躍したので、来季に生かせれば」。気丈に語ったが、その後はこらえきれずに涙を流した。昨季の王者・ブレイブルーパス東京に2回勝ち、埼玉ワイルドナイツのリーグ戦27戦無敗記録を止め、4位でプレーオフに進出した充実のシーズンは準々決勝で終わった。この悔しさがブルーレヴズをどう変えるのか来季を楽しみに待ちたい。
文: 村上晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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