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ラグビー コラム 2026年5月28日

「矛×矛」の結末は?激戦必至のプレーオフ準決勝「コベルコ神戸スティーラーズ×東京サントリーサンゴリアス」!ジャパンラグビーリーグワン2025-26

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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「チームとして良いコンディションです。ゲームができることにワクワクしています」(コベルコ神戸スティーラーズ、SO李承信

「今シーズンで引退する選手、退団する選手もいます。仲間のために、これまで準備してきたものを全て出すつもりです」(東京サントリーサンゴリアス、HO堀越康介

2025年度のプレーオフ準決勝。
リーグ戦1位(16勝2敗)のコベルコ神戸スティーラーズと、準々決勝を勝ち上がった同4位(9勝9敗)の東京サントリーサンゴリアスが、5月30日(土)、秩父宮ラグビー場で火花を散らす。キックオフは12時5分だ。

社会人最古豪のスティーラーズの前回優勝は、トップリーグ時代の2018年度だった。

ダン・カーター擁するスティーラーズは無敵状態でリーグ戦を駆け抜け、決勝(リーグ総合順位決定トーナメント)で「55-5」というビッグスコアでサンゴリアスを破り、栄冠を勝ち取った。

しかし翌年度はコロナ禍によってリーグ不成立。不測の事態によってチーム強化の連続性が失われた格好になり、以降の成績は振るわなかった。

転機は2023年度。
今季終了後にNZ代表指揮官となるデイブ・レニーHCの就任だろう。

オーストラリア代表を指揮していた世界的指導者は、就任3季で見事に名門チームを立て直した。当時のチームに欠けていたピースについて、レニーHCは「『どういうゲームをしたいのか』という理解度だった」と話した。

「自分たちがやりたいゲームは何か、そのためには何が必要なのか。そういった部分が当初は足りていませんでした。そこにはルールに対する理解度や、特定のシチュエーションにおいて何をすべきかという局面での理解度も含まれます。そこを補うことに多くの時間を費やしてきました」

「そして、今季の成長について言えば、被ターンオーバー数に明らかな成長が見られます。被ターンオーバー数が減ったことは、ゲーム理解度やゲームセンスが養われたからだと思っています」

そして就任3季目となる今年度は、首位でリーグ戦を突破。昨季ノートライで東芝ブレイブルーパス東京に敗戦(3-31)した準決勝へ、優勝候補として歩を進めた。

前回の試合はリーグ最終第18節のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦(24-19)。そこから3週間空いたスティーラーズは気力が漲っている。

「優勝できる位置にいることを嬉しく思います。相手のサンゴリアスさんは経験豊富な選手が多く、チャレンジになります。一週間の良い準備はできたのでチャレンジを楽しみます」(スティーラーズ、レニーHC)

大舞台に挑む、両軍の出場メンバーが発表されている。

 

フロントローは、九州共立大学出身のPR高尾時流、名スロワーのHOアッシュ・ディクソン、前回優勝時も出場していた40歳のPR山下裕史
そして今季も大車輪のLOブロディ・レタリック、両フランカーはフィニッシャーでもあるティエナン・コストリーとNZ代表アーディ・サベア

ハーフ団は23歳のSH上村樹輝、25歳のSO李承信のコンビ。フルバックはアーリーエントリーから即戦力となった天理大学出身のFB上ノ坊駿介だ。

3週間前のリーグ最終節からの先発変更は、今季ブレイクしたCTBタリ・イオアサの一人のみ。「アタックもディフェンスも素晴らしい」(レニーHC)と評される21歳がどんなプレーを見せるのか。

一方のサンゴリアスは、2017年度以来の日本一まで、あと2勝だ。

先週の準々決勝ではリコーブラックラムズ東京と歴史的な死闘(40-35)。オーバータイムの相手ペナルティゴール失敗から結果的に約100mを切り返しての「劇的サヨナラトライ」を奪い、4強進出を掴んだ。

激戦から中6日で迎える準決勝。
相手は、今季において連敗(第4節20-22/第16節28-49)を喫しているスティーラーズだ。
スティーラーズの攻略法として一つ思い浮かぶのはラインアウトモールだろう。

Optaによると、サンゴリアスの今季レギュラーシーズンのラインアウト成功率は「全」ディビジョン1位の92.1%。準々決勝のブラックラムズ戦においても、高精度のムーブで安定的にマイボールを確保していた。

この「リーグNo.1精度」のラインアウトを起点に敵陣奥でモールを組み、得点源としたい。この強みを布石とする“裏”のプレーも効果的だろう。

ではサンゴリアスの出場メンバーを見てみよう。

 

プレッシャーが予想されるスクラムの最前線に立つフロントローは、攻守に活躍するPR小林賢太、セットピースの鍵を握る前主将のHO堀越康介、トイメンの高尾は大学先輩にあたるPR竹内柊平
そして抜群のラインアウトをリードするLOハリー・ホッキングス、苛烈なアタッカーであるFLショーン・マクマーン、背番号8はリーグ屈指の打開力を誇るNO8テビタ・タタフ。

そして現役引退までラスト2試合(今試合+決勝or3位決定戦)となったSH流大とCTB中村亮土。センターコンビを組むのは先週は大活躍だった中野将伍

今季限りでの退団が発表された南アフリカ代表の英雄ウイング、チェスリン・コルビも引き続きのスタメン。FBは百戦錬磨の松島幸太朗だ。

先週からの唯一のメンバー変更は、リザーブのBRピエリッチ・シーバートとなった。

「フィジカルな試合になるので、フォワードで前に出せるピエリッチ選手を(リザーブに)入れました。先週はスピードを上げられなかった部分もあるので、彼のスピードも重要になると思ってFWを6人にしています」(サンゴリアス、小野HC)

サンゴリアスは準々決勝ブラックラムズ戦の後半において、スクラムの劣勢から反撃を許した。後半だけのスコアは、ほぼダブルスコアの「13対25」だ。スティーラーズとしてもスクラムは突破口にしたい領域だろう。

もちろん、サンゴリアスも周到な準備をしている。
「いまスクラムはどこのチームも強いので、特別スティーラーズさんが強いイメージはありません。ただ経験のある選手、アッシュ・ディクソン選手やヤンブーさん(山下)などがいて、後ろの5人も重い。ただ、僕たちもそのための準備も良い準備ができています」(サンゴリアス、HO堀越)

スティーラーズもサンゴリアスもアタックチームであり、「矛×矛」の対決とも表現できるだろう。サンゴリアスの小野HCは乱打戦に持ち込みたい構えだ。

「今週伝えたメッセージは強みを出すことです。取られたら取り返す。点の取り合いに持っていく。ディフェンスにおいても守るというよりは、もう一回アタックするためにボールを取り返す、というマインドで準備をしています」

名将であるスティーラーズのレニーHCも当然、対策は練っている。
「一試合平均のポゼッションはサンゴリアスさんが1位です。クリーンアウトはボールキャリアの上でプロテクトするタイプで、ボールセキュリティに強みがあります」

「だからこそ規律は重要になると思います。サンゴリアスさんはラインアウトが素晴らしい。そこからコーナーにボールを蹴って、ラインアウトからダメージを与える能力を持っていると思います」

「私たちとしては、どれだけ良いディフェンスが長くできるか。そして、セットプレーについても高いレベルのプレーを発揮する必要があります」(スティーラーズ、レニーHC)

決勝へ駒を進めるのは、規律正しいディフェンスでサンゴリアスの連続攻撃を封じ、セットピースでも上回ろうとするスティーラーズか――。

「コントロールできる部分である規律、レフリーへのアジャスト。勝敗を分けるセットピース。そして一瞬一瞬をものにして、必ず勝ちたいです」(スティーラーズ、SO李承信

それとも、ラインアウトの強みを生かしつつ、攻守にわたり攻撃的なマインドで攻め続けようとするサンゴリアスか――。

「全てにおいてチャレンジして、最終的にサンゴリアスであることに誇りを持つというパフォーマンスを見せたいです。準々決勝ではプライドとリスペクト、ネバーギブアップを見せられました。今週も試される時にその部分を出し、絶対に勝ちたいです」(サンゴリアス、小野HC)

「矛×矛」の激突は乱打戦となるか――。確かなことは、今週土曜日に両軍の選手・スタッフがすべてを懸けること、その熱量を必ず目撃できるということだ。

文: 多羅 正崇

多羅正崇

多羅 正崇

1980年2月1日生まれ、神奈川県出身。法政大学第二高校、法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻修了。スポーツジャーナリストとして『ラグビーマガジン』『Number』『J SPORTS』などに寄稿する傍ら、ユーモアコラムの執筆も行なっている。スポーツにおけるハラスメント防止を目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」理事。共著に『子どもがラグビーを始めたら読む本』(ベースボール・マガジン社)がある

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