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ラグビー コラム 2025年4月28日

【ハイライト動画あり】90mの独走トライ2本!静岡ブルーレヴズ、粘りの防御と豪快な攻撃で横浜イーグルスに逆転勝ち

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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リーグワン・ディビジョン1第16節は順位争いの最終段階に入り、各地で激闘が繰り広げられた。なかでも4月27日(日)の静岡エコパスタジアムでの戦いは格別に熱かった。4位静岡ブルーレヴズ(静岡BR)が、7位の横浜キヤノンイーグルス(横浜E)を迎え撃ったのだが、午後2時のキックオフ以降、主導権を握ったのは横浜Eだった。

最初に観客を魅了したのは、横浜EのWTB石田吉平だった。立ち上がりから徹底してボール保持して攻める横浜Eは、静岡BRが自陣から反撃に出たところで激しいタックルを見舞ってミスを誘い、パスをつなぐと、右タッチライン際にいた石田が鋭角的なステップワークで次々にタックラーをかわし、周辺にいた選手も含めれば10名を置き去りにして中央トライ。SO田村優のゴールも決まって7-0とリードする。その後も横浜Eはスピーディーな攻撃で静岡BRのディフェンスを翻弄し、21分には、WTB竹澤正祥、27分にはPR岡部崇人がタックラーを次々にかわし、3連続トライで21-0とリードを広げた。

 

「横浜Eはタックルをずらして当たってくる。うちの選手はまっすぐを好むので」と藤井雄一郎監督。得意のパワフルなタックルができず、振り回されてタックルミスが多くなったと語った。しかし、地力をつけた静岡BRはそのまま崩れなかった。前半30分、ようやく横浜Eのトライライン前のラインアウトを得ると、モールサイドを突いてHO日野剛志がトライ。前半終了間際にもモールでトライラインに迫り、最後はCTBヴィリアミ・タヒトゥアがトライ。2本ともゴールは外れたが、21-10と差を詰めて前半を折り返した。

後半に入ると、静岡BRはFLヴェティ・トゥポウ、LOジャスティン・サングスター、WTBヴァレンス・テファレなど強いランナーがシンプルに縦突進。後半8分には相手ボールスクラムを猛プッシュしてPKを勝ち取り、その後の攻撃では、トゥポウ、サングスター、テファレ、タヒトゥアらが突進し、最後はLO大戸裕矢が仕上げた。ゴールも決まって、21-17と4点差に迫る。後半14分の静岡BRのトライはさらに力強かった。ハイパントを追ったテファレがキャッチした横浜EのFB小倉順平を倒し、そのまま乗り越え、味方のサポートでボールを確保。パスをつないでトゥポウが左中間にトライ。SOサム・グリーンのゴールも決まって、24-21と逆転する。

ジャパンラグビー リーグワン2024-25 D1(4月27日)

【第16節 ハイライト動画】静岡ブルーレヴズ vs. 横浜キヤノンイーグルス

さらに静岡BRは自陣22mライン内のスクラムから右オープンに展開し、テファレが1人、2人とタックラーを弾きながら抜け出し、そのまま約90mを駆け抜け、バックスタンドの大歓声のなかで右コーナーに豪快に飛び込む。スコアは31-21と広がった。しかし、プレーオフトーナメント進出に可能性を残す横浜Eもあきらめない。SO田村優を軸にボールを動かし続け、後半30分に石田が右コーナーにトライ。田村が難しいゴールを決めて、31-28の3点差とする。なおも攻め続ける横浜Eに対し、疲労困憊のなかで守り続ける静岡BR。後半35分には、ハイタックルが重なって交代出場のLOジャック・ライトがイエローカードを受ける。トライラインを背に14人で守る静岡BRのピンチが続く。トライエリアにボールを持ち込まれるシーンもあったが、WTB奥村翔が体を下に入れて押さえさせなかった。

交代出場のクワッガ・スミス(静岡BR)がタックル後のスティールでボールを奪い返すなど、なんとか失点を防ぐ静岡BRは、残り2分、トライラインを背に奥村のタックルからターンオーバーに成功。SH北村瞬太郎がボールを持って抜け出した。チーム屈指のスピードを誇る北村がぐいぐい加速する。追いかける石田吉平。トライラインまであと20mほどのところで石田が追いつきそうになったが、北村が走るコースを巧みに変えて振り切り、左コーナーにダイビングトライ。スタジアムの興奮は頂点に達した。北村はその場にうずくまり、石田は大の字になって空を見上げる。タフな80分を戦い抜いた2人が最後に力を出し切った姿は感動的だった。

最終スコアは、38-28。勝った静岡BRの藤井雄一郎監督は「前半不要なペナルティで自分たちのペースが作れませんでした。勝ち切れて良かった」と安堵の表情で語った。「北村はポテンシャルの高い選手です。試合の最後にあの距離を走り切れるSHはなかなかいない」とプレーヤーオブザマッチにも輝いた北村を称えた。勝ち点は54となり、5位の神戸スティーラーズに8点差をつけて4位の座を守った。

横浜Eは勝ち点30のままで7位をキープしたものの、最後の失トライで7点差以内の負けに与えられるボーナス点も失った。沢木敬介監督は「試合の入りは良かったのですが、後半の立ち上がりに自分たちから崩れて相手に流れを渡してしまった。毎回選手が同じミスを犯す環境にしてしまっている僕ら(コーチ陣)側の問題です」と語った。6位の東京サンゴリアスとの勝ち点差は6。今後のチームの成長のためにも残り2試合にベストを尽くすほかない。

文: 村上晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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