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ラグビー コラム 2025年3月31日

【ハイライト動画あり】神戸スティーラーズ3連勝。レタリック欠場のピンチも我慢強く戦う

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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山下楽平(コベルコ神戸スティーラーズ)

3月30日(日)、秩父宮ラグビー場では、リコーブラックラムズ東京(BR東京)のホストゲームとしてリーグワン・ディビジョン1第13節が開催された。この日は「ユニバーサルデー~誰もが楽しめるラグビー観戦環境へ~」と題し、さまざまなバックボーンを持つ人々が集い、ラグビーが大切にするノーサイドの精神が具現化された。BR東京は本拠地の世田谷区を中心に、医療的ケア児への募金や交流、老人ホーム健康講座などに取り組んできた。そんな活動でつながった団体に声をかけ、養護施設の児童、聴覚障害者、車椅子利用者など約300人の席を準備した。

みんなでラグビーを楽しむ企画のメインイベントは、午後2時30分、ビジターのコベルコ神戸スティーラーズ(神戸S)のキックオフで始まった。観客は7,482人。開始直後、相手キックをジャンプしてキャッチした神戸SのFB山中亮平と、WTBアタアタ・モエアキオラが交錯し、アタアタが負傷退場。23番の山下楽平が入るアクシデントが起こった。神戸Sは大黒柱のブロディ・レタリックが練習中の怪我で欠場しており、不運が続いた。

山本嶺二郎(ブラックラムズ東京)

互角の展開のなかで先にトライを取ったのはBR東京だった。前半13分、SHのTJ・ペレナラがトライライン直前のPKから速攻を仕掛け、最後はNO8ブロディ・マクカランがトライ。ゴールも決まって、7-0となる。25分、BR東京がラインアウトからの攻撃でLOハリソン・フォックスが右コーナーにボールを押さえたが、ここは映像判定になり、ラインアウトでディフェンスを邪魔するオブストラクションがあったとして、トライキャンセル。しかし、直後にチャンスを作ったBR東京は、マクカランの突進でできたラックからWTBセミシ・トゥポウ、FLリアム・ギルがボールをつなぎ、最後はLO山本嶺二郎が中央トライ。FBメイン平のゴールも決まって、14-0とリードする。

この一連のプレーのなかで危険なタックルがあったとして、神戸SのLO小瀧尚弘がイエローカードを受ける。14人になった神戸Sだが、ボールをキープしながら攻め込み、最後はディフェンスラインに接近してきたCTB李承信にSH日和佐篤のパスが渡り、そのままトライ。14-7とする。ところが33分、ピンチの相手モールに横から入った反則でLOジェラード・カウリートゥイオティがイエローカードをうけ、両LOが不在となる。しかし、この日の神戸Sは人数が少なくなるたびに集中力が高まった。39分、FLティエナン・コストリーの激しいタックルでチャンスを作ると、13人でボールをつなぎ、日和佐のパスに走り込んだHOジョージ・ターナーがトライして、14-14とする。そして、前半終了間際にSOブリン・ガットランドがPGを決めて、17-14と逆転。振り返ればこの3点が重要な意味を持っていた。

【第13節 ハイライト動画】ブラックラムズ東京 vs. コベルコ神戸スティーラーズ|ジャパンラグビー リーグワン2024-25 D1(3月30日

後半7分、BR東京がFBメイン平のトライで再び逆転したかと思われたが、一連の攻防の中でFLリアム・ギルに危険なタックルがあったとしてトライキャンセルとなる。ギルにはイエローカードが示された。その直後、神戸SはCTBナニ・ラウマペがタックルを受けながらパスを出し、ガットランドがトライして24-14と突き放す。神戸Sはもう1トライを追加したのだが、これも映像判定でスローフォワードがあったとしてトライはキャンセルになった。この日はトライキャンセルが多く、試合の流れが途切れがちになり、選手だけではなく、観戦者にとってもフラストレーションのたまるものになった。それでも神戸Sはガットランドが冷静にPGを決めて、27-14とする。

だが、BR東京もあきらめずに追いかけ、後半24分、FLマイケル・ストーバーグのトライで、27-19とし、なおも猛攻を仕掛ける。再三のチャンスをスコアにつなげられずに時間が経過。終了間際、SO中楠一期が右中間にトライして27-24としたが、あと一歩届かなかった。トライ後の2本のゴールと、34分に点差を詰めるために狙ったPGが外れたのは痛恨だった。トライ数で4-3と上回りながらの敗戦。キッカーを務めたメイン平は自分自身へ怒りをにじませた。だが、運動量の多い試合終盤でのキックで足に疲労が蓄積していたのは確かだった。

タンバイ・マットソンヘッドコーチは別の敗因を語った。「本当に残念な結果です。大事なタイミングのTMO(映像判定)で勢いをそがれたが、自分たちが勝つためには判定も自分たちに転がるようにしなければ。ディフェンスはもっとタフに行かなくてはいけない。ターンオーバーも17回されている」。TJ・ペレナラはこう続けた。「神戸はレタリックが欠場し、アタアタもすぐに退場し、ロックが2人イエローカードを受けた。そのなかで勝つ方法を見つけた。我々もこういうゲームを勝っていかないといけない。特にFWはよくやっていた。その土台の上に良いパフォーマンスで勝ちたい」。

神戸Sの李承信は亡くなった祖母に弔意を示す黒いテープを巻いて出場していた。人数が少なくなるたび集中力が高まったことを報道陣に問われると、「一人一人のリーダーシップの表れです。我慢強さは成長している」と話したが、点差をつけてからの集中力低下は反省した。僅差勝負をものにした神戸Sは5位をキープし、勝ち点を37として4位の静岡ブルーレヴズに3点差に迫った。敗れたBR東京も7点差以内の負けに与えられるボーナス点1は獲得し、9位にとどまった。プレーオフ進出枠の6位以内を巡る戦いはまだまだもつれそうだ。

文: 村上晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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