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ディラン・ライリ(埼玉ワイルドナイツ)
イエローカード、レッドカード、アンコンテスト(押し合わない)スクラム、HIA(脳震盪のチェック)など、さまざまなことが立てつづける起こる試合だった。埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉WK)の坂手淳史キャプテンは試合後の記者会見で話した。「自分たちのスキル不足でレッドカードを出してしまいましたが、(数的不利になったからこそ)選手たちの反応、つながり表現できる試合でした。つながりあって、コミュニケーション取り合って、いいゲームができました。ただ、こういう試合は起こしてはいけない。さらに成長していきたいです」
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2月16日(日)、秩父宮ラグビー場には、12,288人の観衆が集った。試合は横浜キヤノンイーグルスの(横浜E)のキックオフで始まった。ボールを蹴り上げたのは今季初出場となるSO武藤ゆらぎだった。開始直後、横浜EのNO8アマナキ・レレイ・マフィの突進を止めた埼玉WKのFL長谷川崚太が負傷退場する波乱の幕開けとなる。前半3分、埼玉WKのWTB竹山晃暉が右コーナーに先制トライ。11分にもCTBダミアン・デアレンデの好判断のパスからCTBディラン・ライリー、竹山とつなぐ2つ目のトライで、12-0とリードを広げる。横浜EのFL古川聖人が得意のスティール(ジャッカル)を見せれば、埼玉WKのボールハンター、FLラクラン・ボーシェーもスティールをやり返す。緊張感あるボール争奪戦に観客の視線がくぎ付けになる。
田畑凌(横浜キヤノンイーグルス)
横浜Eも前半15分、トライを返す。埼玉WKのノックフォワードで得たスクラムから、SHファフ・デクラークが左サイドにボールを持ち出し、WTBヴィリアメ・タカヤワが前進。最後は大きく右に展開して、武藤のロングパスを受けたWTB松井千士が右コーナーにボールを押さえた。ゴールは決まらず、スコアは、12-5。前半18分、埼玉WKのSO山沢京平にPGを決められた横浜Eは、その直後に怪我のジェシー・クリエルに代わって先発したCTB田畑凌が密集サイドを抜け出してトライラインに迫る。トライかと思われたところで、埼玉WKのPR藤井大喜がオフサイドの位置でタックルしたとして、ペナルティートライ。スコアは、15-12。藤井はイエローカードで10分間の退場となった。
ジャパンラグビー リーグワン2024-25 D1(2月16日)
【第8節 ハイライト動画】横浜キヤノンイーグルス vs. 埼玉ワイルドナイツ
25分、埼玉WKは竹山の好タッチキックからチャンスを作り、LOルード・デヤハーがトライを追加。横浜Eも29分、田畑のオフロードパスからタカヤワ、この日リーグワンデビューとなったFBブレンダン・オーウェンがパスをつないでトライ。22-17と迫る。32分、埼玉WKは一時退場から戻った藤井がタックルの際に顔と顔がぶつかったとして、2枚目のイエローカードで退場(レッドカード)となる。リーグワンは昨季から20分レッドカードのルールを採用しており、20分後には別の選手が出場できるが、その間は14人で戦うことになった。
一人少なくなった埼玉WKだが、どんな状況でも選手同士がコミュニケーションを取って対応する真骨頂はここから発揮された。ディフェンスに立つ幅を調整し、ボール争奪戦に参加するかしないかの見極めを大切にして、ディフェンスの人数が減らないように対応した。横浜EのマフィがHIA(脳震盪のチェック)の間に交代していたレキマ・ナサミラにトライされ、22-24と逆転されたが、前半終了間際、山沢が40m以上のロングPGを決める。坂手キャプテンが「あれが大きかったです。山沢が自信をもって蹴ると言ってくれました」と語った得点だ。スコアは、25-24で前半を終了した。
後半3分、埼玉WKのCTBディラン・ライリーが自陣22mラインあたりから約80mを走り切って32-24とする。勝敗を分けたのは、後半10分過ぎの攻防だった。横浜Eの松井がトライエリアに駆け込んだが、その前のプレーでオブストラクションの反則(パスを受けようと走り込んだ埼玉WKの選手を引っ張って、ミスを誘った)があったとして、トライキャンセル。直後に攻め込んだ埼玉WKは、左中間のスクラムから、WTB長田智希、CTBヴィンス・アソが左サイドに移動し、アソがトライし、37-24と突き放した。トライキャンセルがなければ、1点差に迫ったところからの失点で、横浜Eにはダメージになるトライだった。
その後は点の取り合いになり、最終スコアは51-36。埼玉WKのロビー・ディーンズ監督は記者会見で「フィジカルでタフな試合でした。この経験をへて、もっと賢くなっていきたいです」とコメントした。観客から見て分かりにくかったのは、選手の人数の問題だ。藤井がレッドカードを受けたことで、3番のPRをできるのがヴァルアサエリ愛しかいなくなったが、後半28分、ヴァルがHIAでいったん退場することになり、3番を組める選手がいなくなり、アンコンテストスクラムが採用された。アンコンテストスクラムの原因を作ったチームは選手を一人下げないといけないが、HIAは代わりの選手を入れられるために、レフリー団に混乱が生じた。観客が意味を理解できないままに待たされることになったのはそのためだった。
横浜Eの沢木敬介監督は敗戦を率直に受け止めていた。「結果は残念ですが、田畑も良かったし、FBのブレンダンも良いプレーしていました。彼らは自分たちの役割を明確にしていた。それがチームプレーだと思う。ワイルドナイツは後半ギアを上げてきましたが、それに対応できる余裕がなかったということです」。田村優の150キャップについて問われると、「記念の試合ですが、チームファーストでリザーブになりました。200キャップの時は忖度して先発させたいですね」と話し、最後は報道陣を笑顔にして会見を後にした。
文: 村上晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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