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ラグビー コラム 2025年2月10日

【ハイライト動画あり】緊迫の80分は28-28のドロー。 埼玉ワイルドナイツ、ブレイブルーパス東京、両雄相譲らず。

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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ダミアン・デアレンデ(埼玉ワイルドナイツ)

予想に違わぬ激闘だった。気温10度を下回る寒さのなか、熊谷ラグビー場には11,050人の観衆が詰めかけた。昨季のファイナルの再現は、2月9日(日)、午後2時30分、埼玉パナソニック ワイルドナイツ(埼玉WK)のキックオフで試合は始まった。風下からのキックとあって、SO山沢京平は低い弾道で東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)陣に蹴り込んだ。これが転がってタッチラインを割り、BL東京ボールのラインアウトになる。このボールを埼玉WKが奪い取り連続アタック。BL東京の反則を誘って山沢が先制PGを決めた。

前半6分、BL東京が逆転トライをあげる。埼玉WKのトライラインまで5mの中央スクラムからSH杉山優平が右へ行くと見せかけて、SOリッチー・モウンガが左方向に走り、ボールはNO8リーチ マイケルから直接モウンガへ。モウンガはタックを抜き去ってトライエリアに駆け込んだ。FB松永拓朗のゴールも決まって、スコアは、3-7。その後は埼玉WKが攻め、BL東京が守る展開が続く。19分、FB野口竜司がBL東京陣深くにキックし、これをモウンガが戻って確保したところに、SH小山大輝と野口がタックルで倒し、FLラクラン・ボーシェーがボールに仕掛けて反則を誘い、山沢がPGを決めて、6-7とした。

その後も埼玉WKはBL東京のボールを奪い、連続攻撃で反則を誘うなど、優勢に試合を進める。35分、負傷退場の山沢に代わってプレースキッカーを務めたWTB竹山晃暉のPGで9-7と逆転。直後には、モウンガのハイパントをハーフウェイライン付近で小山がモウンガと競り合ってキャッチし、WTB長田智希が力強いランで前進する。その後の攻撃でCTBダミアン・デアレンデが抜け出し、最後は交代出場のヴィンス・アソにつないでトライ。竹山がゴールも決めて、16-7とリードを広げた。

リッチー・モウンガ(東芝ブレイブルーパス東京)

前半を終えて、ポゼッション(ボール保持時間)は埼玉WKが66%と圧倒的優位に立っていた。ペナルティーの数もBL東京が8に対して、埼玉WKは1。規律の乱れもBL東京を苦しめていた。後半に入っても埼玉WKの攻勢が続いたが、約10分にわたって防戦一方の時間を耐えたBL東京は、CTBセタ・タマニバルのオフロードパスを受けたモウンガが左コーナーに迫り、さらにつないでタマニバルがタックラーを弾き飛ばしながらトライ。松永のゴールを決まって、16-14と2点差に迫った。

ジャパンラグビー リーグワン2024-25 D1(2月9日)

【第7節 ハイライト動画】埼玉ワイルドナイツ vs. 東芝ブレイブルーパス東京

竹山晃暉(埼玉ワイルドナイツ)

後半19分、松永が比較的簡単な位置からPGを外し、自陣から攻めたWTBジョネ・ナイカブラのトライも、その前にタマニバルがハンドオフの際に反則があったとしてトライはキャンセル。逆に23分、埼玉WKは竹山がトライエリア中央に走り込み、自らゴールも決めて、23-14と突き放した。これで埼玉WKが流れをつかんだかに見えたが、そうはならなかった。後半27分、BL東京はイエローカード(FB野口)で一人少ない埼玉WKを攻め立て、モウンガがディフェンスの背後にキックし、これをWTB森勇登が確保してトライ。松永がゴールを決めて、23-21と2点差に迫る。そして、30分、松永、森、ナイカブラとボールをつないでトライし、松永が難しいゴールも決めて、23-28と逆転した。

だが、BL東京もそのままでは終わらない。自陣22mライン左中間のスクラムから攻めるBL東京に対し、小山が狙い通りのディフェンスを決めた。ファーストレシーバーのモウンガがCTBロブ・トンプソンからもう一度パスをもらおうとしたところに割って入ってパスを奪ったのだ。ここから攻めた埼玉WKがPKをとってスクラムを選択し、最後は竹山が右コーナーに飛び込んだ。ゴールは決まらず、28-28の同点となる。その後は観客が固唾をのんで見守るなか、意地の張り合いのような攻防が続いた。攻めるBL東京に対して、埼玉WKは全員で前に出て好タックルを連発。BL東京もボールをつなぎ続けたが、スコアなくノーサイド。決着は持ち越しとなった。

BL東京のリーチ マイケルキャプテンは「いい試合でした。リーグワンは毎週キツイ試合が続きますが、(きょうは)一番ハードでした」と息を弾ませた。一方、埼玉WKの坂手淳史キャプテンも「ハードな試合でした。コンタクトのレベルも高かったです」と激闘を語った。試合後の会見では、昨季のファイナルの負けからこの試合をどう感じるかという旨の質問があったが、坂手キャプテンは「ひとつのゲームだと思っています」と特別視はしていないと言い切った。あくまで優勝までのプロセスの中で成長するための一つの試合だということだ。一貫性のあるプレーを続ける埼玉WKのメンタルの安定感が垣間見えるコメントだった。埼玉WKのロビー・ディーンズ監督は「この試合で良かったことは2つある」と、早大4年の佐藤健次のリーグワンデビューと、福井翔大の負傷からの復帰をあげた。アーリーエントリー制度の中での出場となった佐藤健次は接戦だったこともあって、ノーサイド直前の交代だが、ひりひりする緊迫感のなかで貴重な経験となった。両チームは3月22日(土)、秩父宮ラグビー場でも対戦する。

文: 村上晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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