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ラグビー コラム 2021年10月22日

オーストラリアからの歴史的初勝利なるか。ラグビーファン待望の日本代表テストマッチが国内で2年ぶりに実現

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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日本 vs. オーストラリア スターティングメンバー

ここ2年、ラグビーファンにとってもじれったい日々が続いたが、ようやく日本代表のテストマッチ(国代表同士の試合)を日本で観戦することができる。キックオフが待ちきれないファンの皆さんは多いだろう。2019年のラグビーワールドカップ(RWC)準々決勝で南アフリカと戦ったあの日から丸2年の時を経て、オーストラリア代表ワラビーズとの試合が、10月23日(土)、昭和電工ドーム大分で行われる。コロナ禍で観客は4万人のキャパシティーの50%の制限だが、チケットの売れ行きは良く、当日は約2万人の観客が訪れるだろう。

日本代表の次なるターゲットは、2023年9月にフランスで開幕するRWCでベスト8以上の戦績を残すことだ。この秋のテストマッチシリーズは貴重な強化の機会。その最初の相手が世界ランキング3位のオーストラリアというのは願ってもないことだ。現在のオーストラリアは日本代表がRWC2023の予選プールで戦うイングランド、アルゼンチンと同等以上の地力がある。日本代表のディフェンス、スクラム、ラインアウト、攻撃戦略などを試す貴重な試合であり、今後の2年間で何をすべきかを明確にするための戦いでもある。

オーストラリア代表 スターティングメンバー

オーストラリアの先発メンバーには、日本のトヨタヴェルブリッツでプレーしたFLマイケル・フーパー、花園近鉄ライナーズ所属のSOクエイド・クーパーという日本ラグビーを良く知る選手がいる。倒した相手から瞬時にボールを奪うジャッカルの名手であるフーパー、変幻自在のパス、キックでディフェンスのいないスペースを攻めるクーパーは、日本代表にとって要注意選手だが、日本のファンにとって応援したい選手でもあり、彼らの良いプレーを切り返す日本代表の選手たちというシーンを見てみたいものだ。

日本代表 スターティングメンバー

オーストラリア代表と日本代表が対戦するのは、2017年11月4日 (横浜・日産スタジアム)以来のこと。この時は、30-63で完敗したが姫野和樹が代表デビュー。姫野はその後、日本代表の大黒柱となり、ニュージーランドのハイランダーズで活躍してさらに成長。今回の試合を「自分の成長を感じられる重要な一戦」と位置付ける。キャプテンのFLピーター・ラブスカフニ、テストマッチデビューとなるFLベン・ガンターのFW第三列はオーストラリアの第三列に引けを取らない。LOジャック・コーネルセンジェームズ・ムーアも機動力があり、ハイテンポな攻撃でオーストラリアのディフェンスを崩したい。

攻撃の指揮を執るのは、SH流大、SO松田力也、CTB中村亮土が軸になる。7月のアイルランド戦で卓越した個人技を披露した田村優は怪我のため準備不足という判断でリザーブ席に回るが、これまで控えの多かった松田が先発でどんな試合を作っていくのか興味深い。バイスキャプテンでもある中村は、「ずっと優さんの控えでやってきて、やっとめぐってきたチャンスなので、力也が思い切ってプレーできるようにサポートしたい」と話した。報道陣からどんなゲーム展開をしたいかを問われると、「どこまで言っていいのかな。楽しみにしていてください」と具体的には語らなかったが、ボールの動く時間を長くして相手を心身ともに疲れさせるのは日本代表の一貫したテーマ。そのためにこの3人がどんな判断でボールを動かすのか楽しみだ。

日本代表は過去、オーストラリア代表とは5戦5敗だが、日本代表の実力が飛躍的にアップした2015年以降は一度しか対戦していない。オーストラリアがTRCで戦っている南アフリカ、ニュージーランド、アルゼンチンと日本代表はタイプの違うチームであり、ハイテンポな攻撃にはオーストラリアも苦しむだろう。新たな歴史を作り、RWC2023に向かって弾みをつける試合を期待したい。

文:村上 晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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