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いよいよ佳境に入ってきた大学ラグビーのリーグ戦。11月21日(土)~23日(月・祝)には関東大学対抗戦4試合、関東リーグ戦4試合、関西大学リーグ4試合、そして大学選手権の1回戦が行われた。
◆関東大学対抗戦 試合結果
・明治大学 39-22 帝京大学 MOM:SH飯沼蓮(明治大学3年)
・日本体育大学 23-21 立教大学 MOM:FBハラトア・ヴァイレア(日本体育大学3年)
・筑波大学 80-15 青山学院大学 MOM:LO中原健太(筑波大学4年)
・早稲田大学 22-11 慶應義塾大学 MOM:SO吉村紘(早稲田大学2年)
ステップやジャッカルで魅せた明大WTB石田
11月22日(日)には4勝1敗同士の明治大学と帝京大学の1試合が行われた。序盤はボールを積極的に動かす帝京大学のペースになる。前半2分、ボールを左に展開し、最後は1年のNO8(ナンバーエイト)奥井章仁が押さえてトライ。
さらにPG(ペナルティゴール)を挟んで16分にはCTB(センター)尾崎泰雅(4年)がインターセプトから80mを走り切ってトライを挙げて13-0リードした。明治大学も前半22分、ゴール前のスクラムからキャプテンNO8箸本龍雅(4年)が持ち出して、CTB児玉樹(3年)飛び込んでトライ。7-13とする。
だが、帝京大学もすぐに反撃し、キックオフから相手のミスに乗じて、25分にCTB尾崎が左隅に押さえてトライ、さらに29分にNO8奥井がラックからねじ込んでトライし23-7とリードを広げた。
明治大学の反撃は33分、モールからHO(フッカー)田森海音(3年)が押さえてトライ。39分には初先発のルーキーCTB広瀬雄也がスピードを生かしてトライを挙げて前半は、19-23で前半を折り返した。
後半、先にトライを取ったのは追い上げる明治大学だった。ターンオーバーからWTB(ウィング)石田吉平(2年)が左ライン際を快走、最後はフォローしたSH(スクラムハーフ)飯沼蓮(3年)につないでトライ、26-23と逆転に成功する。
その後は明治大学がスクラムでプレッシャーをかけてペースをつかむ。12分、ゴール前のスクラムからNO8箸本が持ち出して左中間にトライを挙げて31-23とする。
さらにWTB石田のランからチャンスをつかみ、途中出場のSO(スタンドオフ)齊藤誉哉(2年)がキックパスし、同じく途中出場のWTB齊藤大朗(4年)がトライ。さらにPGを加えた明治大学が39-23で逆転勝利を収めた。
明治大学の田中澄憲監督は、「前半、試合に入り込んでいなかったが、スクラムとモールで帰ってこられて明治らしさにつながった。1つ超えた、成長した試合になった」。
「次回、早稲田大学さんと試合があるのでしっかり出し切る準備をしていきたい」と言えば、箸本キャプテンも「(敗戦した)慶應戦の反省を生かし、強みであるアタックをチャレンジして、ミスはたくさんあったが自信になった」と手応えを口にした。
前半10分、慶應義塾大学が1年生FB(フルバック)山田響(報徳学園出身)のPGで3-0と先制に成功する。早稲田大学も21分、ラインアウトを起点にボールを大きく動かし、最後はSO吉村紘(2年)が左隅に押さえて5-3と逆転に成功する。
さらに34分、早稲田大学はハイパントからチャンスを得て、ボールを左右に大きく動かして、最後はFB河瀬諒介(3年)からWTB槇瑛人(2年)に渡り右隅にトライ。SO吉村が難しい角度のゴールを決めて、12-3とリードを広げる。慶應義塾大学もロスタイムにFB山田がPGを返し、6点差に追い上げてハーフタイムを迎えた。
アカクロデビューを果たした早稲田大1年SO伊藤
後半も一進一退の攻防が続き、後半16分、早稲田大学がPGを加えて、再びリードを15-6と9点差に広げる。すると慶應義塾大学はゴール前でモールを形成して押し込み、最後はNO8高武俊輔(2年)が押さえてトライ、11-15と4点差とした。
ラグビー 関東大学対抗戦2020
【ハイライト】慶應義塾大学 vs. 早稲田大学
追い上げられた早稲田大学だったが、26分、ラインアウトから我慢強くボールを動かして、最後はFB河瀬が力強いランからトライを奪取し、ゴールも決まって22-11として、そのままノーサイドを迎えた。MOM(マン・オブ・ザ・マッチ)には早稲田大学のSO吉村が選出された。
早稲田大学の相良南海夫監督は「筑波戦から2週間、慶應の激しいディエンスを想定した練習を日々やってきた。練習したことが今日の試合の中で我慢につながったし、圧に負けずにボールキープできた」と言えば、キャプテンNO8丸尾崇真(4年)は「仕掛けの部分を大事にし、自分たちでいくんだと言う気持ちを見せて戦ったところと、ディフェンスの部分で我慢し続けられたところが勝利につながった」と胸を張った。
本職のFBでトライを挙げた早稲田FB河瀬
残りの2試合は東京・AGFフィールドで行われた。日本体育大学がMOMにも輝いたFBハラトア・ヴァイレア(3年)が後半37分にPGを決めて、23-21で立教大学に逆転勝ちを収めた。もう1試合は筑波大学が前半からBK(バックス)陣で6トライを挙げて青山学院大学を寄せ付けず、結局12トライを挙げて80-22で快勝し3勝3敗とした。
対抗戦は6試合を終えて、早稲田大学が6戦全勝で2位以内を決めた。明治大学が5勝1敗で追っており、12月6日の早明戦で勝利したチームが優勝となる。また、早稲田大学、明治大学、帝京大学、慶應義塾大学の大学選手権出場が決まり、5つ目の枠は最終戦の筑波大学と日本体育大学の一戦で決まる。
◆関東大学リーグ戦 試合結果
・日本大学 88-5 大東文化大学 MOM:WTB水間夢翔(日本大学2年)
・東海大学 55-38 流通経済大学 MOM:NO8吉田大亮(東海大学4年)
・法政大学 33-6 関東学院大学 MOM:CTB有田闘志樹(法政大学3年)
・中央大学 21-10 専修大学 MOM:LO青木智成(中央大学4年)
前半は東海大学が1年生SO(スタンドオフ)武藤ゆらぎ(東海大大阪仰星)を中心にテンポ良く攻めて試合をリードする。前半4分にCTB杉浦拓実(3年)のトライを皮切りに、キャプテンNO8吉田大亮(4年)らが5トライを重ねて、33-12で前半を折り返した。
後半4分、さらに東海大学が1トライを加えて38-12と26点と大きくリードした。しかし、流通経済大学はここから反撃に出る。アンストラクチャーからのアタックや相手の反則から果敢に攻めて、10分あまりでFB河野竣太(3年)らが4トライを上げて一気に38-38と同点に追いつく。
攻撃を引っ張る東海大の1年生SO武藤
しかし、東海大学は同点に追いつかれた直後のキックオフで、しっかりプレッシャーをかけて1年生WTB谷口宜顕(東海大大阪仰星)が相手のキックをチャージ。自ら拾って、最後はフォローしたLO(ロック)ワイサケ・ララトゥブア(2年)がトライ。さらに35分、ボールを継続して途中出場のSO丸山凜太朗(3年)が飛び込むなど2トライを重ねて55-38としてノーサイド。
MOMに選出された東海大学キャプテンNO8吉田は「やられたことがないアタックを経験できた。(それを)チームの経験値に変えて、上を目指していきたい」と意気込んだ。木村季由監督は「前半はディフェンスもしっかり前に出られてタックルもできていたが、後半は相手の強いランナーへの意識が強くなり過ぎてほころびがでたことは反省」と話した。
突破力を武器に活躍する日大WTB水間
もう1試合は1敗の日本大学が大東文化大学と対戦した。前半の入りからスクラム、モールといったFW(フォワード)の圧力、BKの展開力に勝る日本大学の一方的な展開となった。前半8分、SO饒平名悠斗(2年)のトライを皮切りに前半だけで7トライを挙げて45-0と大きくリードした。
後半も日本大学のペースは変わらず、終わってみれば14トライを挙げた日本大学が88-5で快勝した。MOMは2トライを挙げたWTB水間夢翔(2年)が選出された。日本大学のキャプテンのHO藤村琉士(4年)は「流通経済大学に負けて、練習で自分たちの強みをどう出すか確認し、強い気持ちで臨んだ。それが現れた」と胸を張った。
11月22日(日)、東京・江戸川陸上競技場でリーグ戦の残りの2試合が行われた。BKの展開力で勝る法政大学が5トライを挙げて関東学院大学を33-6で下し、先手を取った中央大学が専修大学を21-10で下して今年初勝利を挙げた。
リーグ戦は東海大学、流通経済大学、日本大学の3校の大学選手権の出場が確定となった。東海大学は12月5日(土)の最終節、日本大学に勝利すればリーグ戦3連覇が決まる。
◆関西大学リーグ 結果と最終順位
【Evenリーグ】結果と最終順位
・同志社大学 49-12 京都産業大学 POM:WTB和田悠一〓(同志社大学3年)
・立命館大学 38-0 関西大学 POM:WTB木田晴斗(立命館大学3年)
1位同志社大学(3勝0敗)
2位京都産業大学(2勝1敗)
3位立命館大学(1勝2敗)
4位関西大学(0勝3敗)
【Oddリーグ】結果と最終順位
・近畿大学 47-13 摂南大学 POM:CTB福山竜斗(近畿大学3年)
・天理大学 43-17 関西学院大学 POMSH藤原忍(天理大学4年)
1位 天理大学(3勝0敗)
2位 関西学院大学(2勝1敗)
3位 近畿大学(1勝2敗)
4位 摂南大学(0勝3敗)
前半9分、京都産業大学が武器とするモールで先制すると、互いにトライを取り合う展開となる。ただ、徐々に展開力に長けた同志社大学のペーストなり、前半19分、チップキックをキャッチしたWTB和田悠一郎(3年)がトライを挙げて14-12とリードする。さらにFB桑山太一(4年)のトライを挟んで、35分にサインプレーから再び和田がインゴールで押さえて、28-12とリードして前半を折り返す。
後半も5分、リードしている同志社大学がFL(フランカー)木原音弥(3年)のトライで先に得点を挙げる。その後は、同志社大学がディフェンスでプレッシャーをかけて2トライを挙げて、結局、49-12で快勝し、大学選手権出場を決めた。POM(プレーヤー・オブ・ザ・マッチ)には2トライを挙げた同志社大学のWTB和田が選出された。
もう1試合は立命館大学が関西大学と対戦。立命館大学がPOMにも輝いたWTB木田晴斗(3年)の2トライを含め、6トライを重ねて38-0で快勝。この結果、Evenリーグは1位が同志社大学、2位が京都産業大学、3位が立命館大学、4位が関西大学という順位となった。
関西リーグ4連覇中の天理大学は前半7分、モールを起点にWTB土橋源之助(4年)のトライで先制する。その後は、関西学院大学がテンポ良いアタックを見せて、PGを決めた後、23分に途中出場のWTB坂原春光(2年)、35分にはCTB塩谷大稀(3年)がトライを決めて17-7と逆転に成功する。
天理大学も負けじと39分にCTBシオサイア・フィフィタ(4年)がトライし、14-17でハーフタイムを迎える。後半もアタックだけでなく、スクラム、接点で関西学院大学が粘りを見せてなかなか試合は動かない。
しかし、後半17分、関西学院大学のFL上條元也(4年)が空中の相手にタックルしてしまいシンビン(10分間の一時的退場)。数的有利になった天理大学はライアウトから右に展開し、SOからFBに下がった松永拓朗(4年)がトライを挙げて19-17と逆転に成功する。
後半23分には、今度は天理大学のPR谷口祐一郎(4年)が危険なプレーでシンビンとなる。それでも地力の勝る天理大学は27分にはゴール前のラックから、この試合のPOMにも選ばれたSH藤原忍(4年)がインゴールに押さえてトライ。
さらにボールを動かして29分にFB松永、35分にSO土橋がトライを重ねて、終わって見れば天理大学が43-17で勝利し、Oddリーグ首位とともに大学選手権の出場を決めた。
もう1試合は近畿大学と摂南大学が対戦。前半こそ近畿大学が6-10とリードされて折り返したが、後半は5トライを重ねた近畿大学が47-13で快勝した。POMには近畿大学のCTB福山竜斗(3年)が選出された。Oddリーグは1位が天理大学、2位が関西学院大学、3位が近畿大学、4位が摂南大学となった。
◆関西大学リーグ順位決定戦(1~4位)@京都・宝が池
・11月29日(日)12:00 3位決定戦 関西学院大学vs.京都産業大学
※勝者が大学選手権に出場
・11月29日(日)14:05 優勝決定戦 天理大学vs.同志社大学
◆大学選手権1回戦
11月21日(土)、57回目を迎える全国大学選手権が開幕し、福岡・春日公園球技場で1回戦、福岡工業大学(九州代表)と八戸学院大学(北海道・東北代表)が対戦した。前半こそ12-11とクロスゲームとなったが、後半は福岡工業大学が、NO8鎌田凌(3年)らが4トライを重ねて43-21で勝利した。
◆大学選手権2回戦 試合予定 @愛知・パロマ
・11月29日(日)14:00 朝日大学(東海・北陸・中国・四国代表)vs.福岡工業大学(九州代表)
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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