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関東大学対抗戦は、10月18日、第3週の4試合を行った。大差の試合が多くなったなかで、熊谷ラグビー場で開催された筑波大対明治大の一戦は前半から一進一退の攻防が続く好ゲームになった。午後2時、新井卓也レフリーのホイッスルで試合は始まった。
【関東大学対抗戦】筑波大学対明治大学
開始1分、明大に攻め込まれた筑波大はゴールラインを背にディフェンスラインがオフサイド。明大にPKが与えられ、先制のPGチャンスかと思われたが、明大はスクラムを選択し、セットプレーで優位に立つ意気込みを見せる。このスクラムを押し込んで反則を誘うと、PKから再びスクラムを選択。圧力をかけつつ右へボールを出し、NO8箸本龍雅(4年)からパスを受けたSH飯沼蓮(3年)が先制トライを奪う。SO池戸将太郎(1年)のゴールも決まって7-0とリードする。
ボールをキープしながら連続攻撃を仕掛ける筑波大は、FB松永貫汰(3年)のカウンターアタックから相手の反則を誘うと、PKからのタッチキックで明大ゴールライン手前10mのラインアウトを得る。その後の連続攻撃でCTB岡崎航大(4年)が右中間でゴールラインに迫ると、そこでできたラックから右へボールを展開し、松永からパスを受けたFL岩田真樹(3年)がトライ。7-5とする。岩田とNO8中田都来(4年)はこの日、タッチライン際でボールを持って何度も突進した。
ディフェンスでよく前に出る筑波大は、1年生CTB谷山隼大の激しいタックルにWTB仁熊秀斗(4年)が呼応してプレッシャーをかけターンオーバーを勝ち取るなど明大を前に出さない。そして、前半29分、明大のキックを自陣でキャッチして松永のカウンターアタックからチャンスが生まれ、最終的には岡崎からパスを受けた中田がトライ。SO山田雅也(4年)のゴールも決まって、7-12と筑波大が逆転する。
【ハイライト】筑波大学 vs. 明治大学|ラグビー 関東大学対抗戦2020
しかし、明大も相手陣10mライン付近のスクラムからのサインプレーでWTB石川貴大(4年)がディフェンスラインを突破。飯沼がサポートしてさらに突進、ゴールライン手前でタックルされるも倒れながら両手でしっかりパスを出し、石川がパスを受けてトライ。池戸のゴールも決まって14-12と逆転し、前半終了間際にも明大は大型WTB小島昂(4年)がタックルを受けながら左コーナーにトライ、19-12と突き放した。
激しいコンタクト合戦は後半も続き、緊張感ある戦いになる。13分、明大はCTB森勇登(4年)が激しく前に出てタックルした際に相手の首に手がかかり、イエローカードを受け、シンビン(10分間の一時退場)となる。14人になった明大だが、「シンビンのときの方が、いいディフェンスができていた」(箸本キャプテン)と窮地に集中力が高まる。19分、筑波大は松永、WTB植村陽彦(2年)の快走で明大陣に深く入ったが、ここは明大FB石田吉平(2年)がジャッカル。ピンチを防ぐ。その直後、明大がモールで前進を図ると、筑波大LO中原健太(4年)がボールに絡んでターンオーバー。互いに一歩も譲らない。
次にスコアしたのは明大だった。後半26分、筑波大ゴールラインに迫ったラインアウトからモールを押し込むと、筑波大がモールを引き倒す反則で明大にペナルティートライが与えられた。スコアは、26-12。2トライ、2ゴール差となる。筑波大もあきらめない。直後のラインアウトからのサインプレーで交代出場の飛高昂空(4年)がトライし、26-17と食い下がる。入場制限のなか集った2,259人の観客が固唾を飲んで見守るなか、筑波大の猛攻を明大CTB児玉樹(3年)がジャッカルで寸断すると、筑波大のCTB谷山が好タックを決め観客を沸かせた。
白熱の攻防の末、明大は児玉のロングパスからFL山本龍亮(4年)がトライし、33-17と突き放して勝負を決めた。「タフなゲームを経験できた」(田中澄憲監督)というのは、チーム強化の中では嬉しい言葉だろう。マン・オブ・ザ・マッチは明大のラインアウトの要でディフェンスでも奮闘したLO片倉康瑛(4年)。
筑波大の強力なプレッシャーを受けながら勝利した明大にとっては対抗戦終盤の上位対決に向かって何よりの経験だった。筑波大も勝つチャンスがあったが、勝負所でのパスがつながらず、反則も明大の9に対して17と、やや規律が乱れた。明大は早大、帝京大と並んで3連勝。筑波大は1勝2敗も、昨季ベスト4のうち3チームとの戦いを終えており、今後、勝ち点を伸ばす実力は十分にある。明大は11月1日、慶大と、筑波大は同日、立教大と対戦する。
文:村上晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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