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ラグビー コラム 2020年6月1日

日本ラグビー史上初の夢舞台 ジェイミー・ジャパンに立ちはだかったベスト8の厚い壁

村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一
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ついに悲願の決勝トーナメントへ。多くの関係者、ファンが夢見てきた準々決勝の舞台で日本代表がどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。期待と不安の入り混じった感情を誰もが持っていただろう。ラグビーワールドカップ(RWC)はプール戦が面白いと何度も盛り上げておいて、「本当の闘いはこれからだ」なんて言うのは気が引けたが、そこは間違いなく別世界だ。優勝を狙う実力者は、ここから本来の力を発揮するのである。

準々決勝の舞台となったのは、大分スポーツ公園総合競技場と東京スタジアムだ。2019年10月19日、最初にキックオフされたのは、大分でのイングランドオーストラリアだ。2003年のRWC決勝戦と同じカードである。あの時、エディー・ジョーンズはオーストラリアのヘッドコーチで、イングランドに敗れた。2007年大会は南アフリカのテクニカルアドバイザーとして優勝し、2015年は日本代表のヘッドコーチとして南アフリカに勝利。そして2019年はイングランドを率い、「死のプール」と言われたプールCを1位通過し母国を迎え撃つ。その生き様はドラマチックだ。

イングランド代表 エディー・ジョーンズ HC


試合は白熱した。前半のイングランドは俊足WTBジョニー・メイの2トライなど17-9とリードするが、後半開始早々、オーストラリアはWTBマリカ・コロインベテが個人技でタックラーをかわしてトライするなど一時17-16の1点差に迫った。最後はイングランドが引き離すのだが、ディフェンスの崩し方が見事。コーチの手腕を感じる勝利だ。

同日、東京ではニュージーランドアイルランドと対戦した。優勝候補の一角だったアイルランドだが、プール戦で日本代表に負け、プールA2位通過でいきなりオールブラックスと激突することになった。アイルランドは日本代表に負けた時点で自信を喪失していたのかもしれない。この試合はニュージーランドの強さが際立つ展開となった。SHアーロン・スミスの2トライで主導権を握り、WTBセヴ・リース、FBボーデン・バレットが目を見張るスピードで防御を切り裂く。この出来すぎとも言えるパフォーマンスが、その後の落とし穴になるのだが、こんなチームが優勝できないのだから、RWCは面白い。

アイルランド戦前半に2トライをあげたニュージーランド代表SHアーロン・スミス


翌10月20日、大分で開催されたウェールズフランスは予想に違わぬ僅差勝負になった。前半は自陣からボールをつないでFLシャルル・オリヴァンがトライするなどフランスペース。このまま勝利かと思われたが、後半7分、19-10とリードしていたフランスが、トライを追加しようとしていたモールの中で、LOセヴァスチャン・ヴァアマイナがウェールズ選手の顔面に肘打ちをしてしまう。映像判定の結果、レッドカード。フランスは残り時間を一人少ない14人で戦うことになった。後半33分まで粘ったのはフランスの潜在能力の高さゆえだろう。最後はウェールズが逆転しベスト4に駒を進めた。2023年のRWCはフランスで行われる。多くの選手が2大会連続で出場するだろう。このチーム、もう一度見ておくべきかもしれない。

僅か1点差での決着となったウェールズ 対 フランス


そして、最後は東京スタジアムで日本代表が南アフリカに挑んだ。試合前の国歌斉唱。スタジアムの大型ビジョンに流大の泣き顔が映し出された時、多くのファンが一緒に涙を流しただろう。日本代表がこの大会で唯一負けた試合として見返すことに抵抗のある人が多いかもしれないが、4連戦を戦い抜き、疲労困憊の選手たちが、頂点に立つことになる南アフリカに果敢に挑んだ戦いは何度でも見るべきだ。前半、スクラムからトライを奪われるのだが、それは自陣からのキックを使った攻撃が上手くいかなかったことで起きたピンチだった。準備通りのプレーで勝った4試合と違い、この試合では意図したプレーが上手くいかない。それでも粘る日本代表を見ていると胸が熱くなる。

終盤、トライを追加しようと連続攻撃を仕掛ける南アフリカを止め続ける日本代表。ついに根負けした南アフリカがボールを外に蹴り出して日本代表の挑戦は終わった。選手たちの表情が清々しい。南アフリカ代表史上初の黒人キャプテン、シヤ・コリシと我らがキャプテン、リーチ マイケルが抱き合って言葉を交わす。何度でも見返そう。ここを越えることが、日本ラグビーの次なる目標なのだから。

抱き合って言葉を交わす両キャプテン、シヤ・コリシ(右)とリーチ マイケル



文:村上晃一

村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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