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■サンウルブズ(日本)×ワラターズ(オーストラリア)
■スーパーラグビー2019第2節/2月23日(土)/東京・秩父宮
■今季国内初戦は豪州代表を並べたワラターズと1点差の激戦
今季初の国内ホームゲームで、観客1万4499人に熱戦を届けた。スーパーラグビー(SR)挑戦4年目。開幕戦はシンガポールで黒星スタートとなったサンウルブズが東京・秩父宮に迎えたのは、昨季ベスト4で、0勝1敗のワラターズ。
先発に11人の豪州代表キャップ保持者を並べ、リザーブのトル・ラトゥ、急遽メンバー入りのアダム・アシュリークーパーを含めれば、計13人の豪州代表経験者がメンバー入りした布陣だった。
ただ国内初陣となるサンウルブズの士気は高かった。この日後半から途中出場した坂手淳史には手応えがあった。
「みんながハングリーでした。どうアタックするか、どうディフェンスするかを落とし込むことができて、良い1週間でした」
快晴の午後1時15分、AJジェイコブ主審の笛でキックオフを迎えたデーゲームで、先制はサンウルブズだった。
前半8分、相手のパスをインターセプトしたCTB中村亮土が独走。ディフェンスの狙いがハマった。
「相手の状況を見てあのようなディフェンスをすることは、試合前から明確になっていました。上手くできたと思います」(CTB中村)
CTB中村は相手に追いつかれたが、WTBゲラード・ファンデンヒーファーへパスをつなげた。そして高校時代に110mハードルの南ア高校記録(13秒8)を叩き出したランナーが相手インゴールに入った。
世界最高レベルのプレースキッカー、SOヘイデン・パーカーがゴールキックを決めて7点先制。しかし直後にキックスミスをCTBカートリー・ビールに捕球され、すぐ同点(7-7)に追いつかれてしまう。
しかし前半14分、会場を沸かせたのが、先週のシャークス戦では劣勢だったスクラム。
自陣ゴール前の相手ボールスクラムという窮地でスクラムを押し、見事なターンオーバー。ペナルティ奪取から速攻し、敵陣でのPG加点(10-7)につなげた。
「(ターンオーバーした1度目のスクラムは)上手くいきました。バインドのところでも乗らせなかったですし、先に仕掛けて、こっちが先を取れました。100点だと思います」(PR山下裕史)
サンウルブズのジョージア代表HOジャバ・ブレグバゼは「ハッピー」と珍しく笑顔を見せた。
「先週はシーズンのファーストゲームでしたし、お互いにフィーリングを合わせる必要がありました。今週はコミュニケーションを取り合って向上しました。とてもハッピーです」(HOブレグバゼ)
しかしワラターズは前半24分、29分に豪州代表FBイズラエル・フォラウが連続トライ。ワイド展開から多用するオフロードパスにも苦しめられ、10-17と逆転を許す。
負けられないサンウルブズは前半34分にPG成功で13-17と詰める。
すると前半38分、SH茂野海人のクイックスタートから、CTB中村のパスを受けたLOトム・ロウが抜けだし、SRデビュー戦でSR初トライ。3点リード(20-17)で後半へ向かった。
後半も熱戦は続いた。
後半4分にSOパーカーの左足でPG加点(23-17)したサンウルブズ。しかしワラターズも同8分にNO8ジャック・デンプシーのトライ(ゴール成功)で逆転。23-24とする。
さらにワラターズは後半22分、相手陣ゴール前のチャンスでスクラムを避け、ラインアウトからモール勝負でペナルティトライを奪う。23-31
ここで日本代表64キャップの37歳、トンプソン ルークがチームの反則の繰り返しによりシンビン(10分間の一時退出)に。
後半33分頃まで14人となるが、狼軍団は食らいついた。
シンビン中の失点はなく、逆に後半30分、7人で組んだスクラムからWTBファンデンヒーファーが抜け出してトライ(ゴール成功)を決めたのだ。
当初はフォワードが7人になった場合、ウイングがスクラムに加わる予定だったというが、ピッチ上で司令塔パーカーに止められたという。
「7人になったらウイングがスクラムに入る予定でしたが、パーカーに止められました。スクラムが押されたときは焦りましたが、スクラムが入らなくて良かったことは、ご覧になった通りです」(WTBファンデンヒーファー)
ゴールは成功し、ついにビハインドは1点差(30-31)に。
後半38分、敵陣に攻め込んだサンウルブズは、SOパーカーが左足でドロップゴールを狙った。チームの意思統一はできていたが、相手プレッシャーが速かった。放物線はHポールの左に反れた。
「セットプレーの段階から、ああいう状況(ドロップゴール)にもっていこうと。しかし個人(SOパーカー)にプレッシャーがかかったので、あれは仕方ないと思います」(CTB中村)
最後は相手がボールを確保すると、ボールを蹴り出して30-31のままノーサイド。
今季初勝利を挙げて1勝1敗としたワラターズのダリル・ギブソンHC(ヘッドコーチ)は「勝って終わることができたことは良かったですが、想定と違った部分もありました。ターンオーバーを与えすぎたところは残念でした」と厳しい表情だった。
また豪州代表でもあるFLマイケル・フーパー主将は、サンウルブズから受けたプレッシャーとして、FWのセットピース(スクラム)、スペースへのアタック、SOパーカーのキックなどを挙げた。
サンウルブズは勝利こそ逃したが、7点差以内のボーナスポイント「1」を今季初めて獲得。先週「16」あった反則は「9」に減り、スクラム成功率は62.5%から100%になるなど改善が目立った。
次戦以降に期待の持てる戦いを見せてくれたサンウルブズ。
スコット・ハンセンHC代行は「今週の準備は良かった。結果は残念でしたが、前に進むしかありません。スクラムが良かったのはマーティ・ヴィール(アシスタント・スクラムコーチ)のおかげです」と前向きなコメントを残した。
またマイケル・リトル共同主将は「ガッカリな結果でしたが、誇りに思えるパフォーマンスでした。ディフェンスが素晴らしかった」と手応えを語った。
サンウルブズは休む間もなくニュージーランドへ飛び、3月2日(土)、NZ北島ハミルトンで、開幕2連敗で勝利に飢えているチーフス(ニュージーランド)と対戦する。
大きなポテンシャルを見せてくれたサンウルブズ。接戦で勝ちきる強さを身につけ、勝利という結果で声援に応えたい。
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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