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モータースポーツ コラム 2026年8月12日

【プレビュー】わずか2点差の大混戦、GEN3ラストレースは母国イギリスでクライマックスへ | FIA フォーミュラE世界選手権 2025/26 第15・16戦 ロンドン

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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ランキング首位に浮上したのはジェイク・デニス(アンドレッティ)

ランキング首位に浮上したのはジェイク・デニス(アンドレッティ)

電気自動車の世界選手権レース「フォーミュラE世界選手権」シーズン12(2025年〜26年)がいよいよクライマックスを迎えます。2026年8月15日(土)16日(日)、イギリス・ロンドンの「ExCeL London」で、今シーズン最後となる第16戦・第17戦「London ePrix」が開催されます。この際秋雨ラウンドは同時に現行マシンの「Gen3 Evo」が走る最後のレースウィークエンドでもあるのです。有終の美を飾るのは、いったい誰になるのでしょうか。

前戦の東京ダブルヘッダーは、初のナイトレースとして開催され、まさに波乱含みのレースとなりました。土曜日の第14戦は最終ラップまでもつれる大接戦。ダン・ティクトゥム(クプラキロ/ポルシェ)が、独走かと思われたジェイク・デニス(アンドレッティ/ポルシェ)を最終ラップでオーバーテイクし、今季初優勝。一方、ランキング首位を走っていたパスカル・ヴェアライン(ポルシェ)は、接触してリタイア。首位の座を明け渡す痛恨のミスとなりました。

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翌日曜日の第15戦では、元チャンピオンのニック・デ・フリース(マヒンドラ)が優勝。第14戦に続いてチャンピオンシップリーダーを目指して闘っていたわけではない伏兵たちの優勝となりました。

この東京2連戦を経て、ランキング首位に浮上したのはジェイク・デニス(アンドレッティ)=146点。2位ミッチ・エバンス(ジャガー)=144点とはわずか2点差、3位のパスカル・ヴェアライン(ポルシェ)=141点とも5点差という、史上稀に見る大接戦のままシーズン最終戦を迎えることになります。

舞台となる「ExCeL London」の最大の特徴は、フォーミュラEで唯一、コースの一部が展示会場の建物内を通る屋内外複合コースだという点です。全長2.086km、コーナー数20というテクニカルなレイアウトはコース幅が終始タイトで、追い抜きのチャンスは限られます。

過去にはジェイク・デニスが2021年、2022年と連覇した実績を持つ一方、2024年はヴァアラインとローランドが1勝ずつ分け合い、2025年は当時ジャガーに所属していたニック・キャシディが有終の美を飾るように2連勝を達成するなど、レースごとに主役が入れ替わってきました。最終戦という大舞台でどんなドラマが待っているのか、予測不能な戦いになりそうです。

今回の週末は決勝2レースで最大58ポイントが与えられるダブルヘッダー。ランキング首位から9位までの実に9人のドライバーにまだチャンピオンの可能性が残されています。フォーミュラE史上でもまれに見る混戦模様と言えますが、そランキング首位のジェイク・デニス、2位のミッチ・エバンス、3位のヴァアライン、そしてディフェンディングチャンピオンでランキング4位のオリバー・ローランド(ニッサン)が最もチャンピオンになる条件が近いといえるでしょう。この4人全員が「ExCeL London」での優勝経験があるのも興味深い事実ですね。

ローランドにとってロンドンは特別な意味を持つ母国開催です。2024年のロンドンePrixでは優勝を飾った経験があり、今季ここまで通算6度の表彰台を積み重ねてきた安定感も光ります。地元の大声援を背に受けて、まさかの逆転タイトル獲得というシナリオも十分にあり得るでしょう。

同じイギリス人ではランキング首位のジェイク・デニス(アンドレッティ/ポルシェ)は優勝、逃げ切りを行い、2度目のタイトルを獲得したいところでしょう。来季は日産のパワートレインを使用することが決まっている「アンドレッティ」。すでにデニスは残留が決定していますし、GEN3時代の最初と最後の優勝、そしてチャンピオン獲得となることは非常にドラマチックなストーリーです。

ポルシェとしてはすでにパワートレインサプライヤーの選手権であるマニュファクチャラーズ選手権では2度目のチャンピオンを決定していますが、GEN3時代最後の今季、欲しいのはパスカル・ヴェアライン(ポルシェ)の2度目のワールドチャンピオン獲得。そして、現在は「ジャガー」に14点リードされているチームチャンピオンのトリプルタイトル獲得が目標です。GEN3時代を常にリードしてきたメーカーだけにここは負けられません。

ロンドンePrix

ロンドンePrix

一方で、チームタイトル獲得はもちろんのこと、自身初のワールドチャンピオンまで2点差と迫ったミッチ・エバンス(ジャガー)は絶対に勝ちたいレースです。彼は3年連続で「ExCeL London」でのポールポジション経験がありますから要注目。ジャガードライバーとして、10シーズンに渡って同チームとフォーミュラEを闘ってきたエバンスですが、こちらは今季限りで離脱を決めています。最後に感謝の置き土産としてドライバーズタイトル、チームタイトルを得られるか、「ポルシェ」と「ジャガー」のまさに仁義なき闘いがロンドンで行われるのです。

また、数字上のタイトル争いから一歩離れたところで、大波乱を起こしかねないのがロンドン出身のダン・ティクトゥム(クプラキロ/ポルシェ)です。2025年のロンドンePrixでは自身初のフォーミュラEポールポジションをまさに地元コースで獲得しており、前戦・東京でキャリア2勝目を挙げたばかり。タイトル争いの本命からは外れているからこそ、失うものは何もありません。地元のファンの前で見せる一発の速さにライバルも警戒していることでしょう。

もう一人、注目したいのがニック・キャシディ(シトロエン)。かつてSUPER GT/スーパーフォーミュラを主戦場としていた日本ゆかりのドライバーで、2025年は2レースを完全制覇した実績を持ちます。今季はシトロエンに移籍し、ランキング7位=104点とタイトル争いの本命からはやや遠い位置にいますが、ロンドンでのレースを前に来シーズンの契約延長も発表され、大暴れする準備は整いました。

「Gen3 Evo」で戦う最後のレースとなる今回のロンドン。来シーズンは「Gen 4」導入により、常設サーキットのブランズハッチでの開催が決まっており、ロンドンでのレースはこれが最後。フォーミュラEの一つの節目となるレースで最後に笑うのは一体誰でしょうか。

文:辻野ヒロシ

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【決勝 ハイライト】FIA フォーミュラE世界選手権 2025/26 第14戦 東京(7月25日)#formulae

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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