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モータースポーツ コラム 2026年8月20日

夏の富士ではホンダ・プレリュードGTが活躍するも、存在感が薄れることはなかった絶対王者

モータースポーツコラム by 吉田 知弘
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シーズン中盤戦を迎えるSUPER GT。

2026年のSUPER GTは、6月のマレーシア大会が延期となり、3ヶ月のインターバルを経て、8月1日・2日に富士スピードウェイで第4戦が行われた。

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3ヶ月ぶりということで、ニュースも盛りだくさんで、まずは来季からのタイヤワンメイク化に向けて、各クラスのオフィシャルサプライヤーが決定。GT500はブリヂストン、GT300はダンロップが、2027年から2029年までの3年間にわたってタイヤを供給する。

細かな運用方法は現在も検討中だが、各大会で複数のコンパウンドが用意されることも発表されており、来シーズンも“タイヤ選択”という要素が、勝敗を分けるカギになっていきそうだ。

また、今季は中東情勢の緊迫化に伴う状況の変化を鑑みて、マレーシア大会の延期が決定し、当初シーズン7戦での開催ということがアナウンスされていたが、11月の最終戦もてぎ大会でダブルヘッダーというかたちで、代替戦が組み込まれることが決まった。

シリーズの7戦目、8戦目を2日連続で行うという変則フォーマット。実は2016年に、当時発生した熊本地震の影響でオートポリス大会が中止となり、その代替戦がもてぎ大会の土曜日に組み込まれた。その時もさまざまなドラマがあったが、今年もチャンピオン争いが佳境を迎える最終盤のタイミングということで、どういった結末が待っているのか。こちらも、目が離せない展開となりそうだ。

そんなニュース盛りだくさんのなかで行われた第4戦だが、序盤から衝撃的なシーンがあった。直前の急激な天候変化の影響で、セーフティカースタートとなり、5周目に入るところでグリーンフラッグが振られたが、メインストレートで車両が交錯し、No.64 Modulo HRC PRELUDE-GTがスピン状態。そのままマシンが宙を舞うという大クラッシュが発生した。

幸い、ドライブしていたイゴール・オオムラ・フラガをはじめ、関係者らは無事だったが、もし一歩間違っていたらというクラッシュだったことと、現在のSUPER GTマシンは強力なダウンフォースを発生させて走る作りになっている分、進行方向とは異なる向きで進むと、マシンが浮き上がるリスクもある。この辺の対策というところも、今後は検討していく必要があるかもしれない。

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富士スピードウェイで開催されたSUPER GT第4戦。

赤旗中断を経て、レースが再開されると、GT500クラスはホンダ・プレリュードGT勢の強さが目立った。昨年までのシビックTYPE R-GTに変わり今季デビューを果たしたマシンだが、開幕戦から苦戦を強いられ、ライバル勢の先行を許していた。

今季からマシンのエアロ開発は2029年まで凍結ということで、車体面で大幅に改善ができない状況。「プレリュードGTは厳しい戦いになっていくのか」という声も、序盤戦のパドックではチラホラ聞こえた。

ただ、第4戦ではサクセスウェイトの影響は少なからずあったにせよ、序盤戦から比べると見違えるようなパフォーマンスを発揮していた。その秘訣は、“3ヶ月のインターバル”にあった模様だ。

マレーシア大会が延期になったことで、発生したインターバルを利用し、徹底的に序盤戦の反省点を洗い出すとともに、ドライバーたちも栃木県にあるHRC Sakuraを何度も訪れ、シミュレーションを繰り返したとのこと。そこで、プレリュードGTのポテンシャルをしっかりと引き出すセットアップや、タイヤの選び方・使い方などを構築していったという。

その地道な努力が実った結果だったと言えるかもしれない。予選では5台全車がQ2に進出し、決勝ではNo.100 STANLEY HRC PRELUDE-GTが優勝し、No.8 #8 ARTA MUGEN HRC PRELUDE-GTが2位に続いた。さらにNo.17 Astemo HRC PRELUDE-GTも5位に入り、トップ5のうち3台がホンダ勢という活躍ぶりだった。

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優勝したNo.100 STANLEY HRC PRELUDE-GT。

まだまだ伸び代がありそうなプレリュードGT。中盤戦以降の走りも楽しみなところである。

ただ、ホンダ勢の活躍以上に筆者が感心したのは、絶対王者であるNo.36 au TOM’S GR Supraの底力だ。開幕戦岡山、第2戦富士と連勝し、80kgものサクセスウェイトを背負って第3戦にやってきた。GT500クラスでは、以前からサクセスウェイト50kgを超えると燃料流量リストリクター制限が導入され、主にストレートスピードで遅れをとることになるが、今年はそれに加えてピットストップ時の給油でもリストクター制限が入り、通常時と比べて給油時間が長くなるシステムも導入された。

さすがに、ここまでの制限がつくと、上手くいっても9位から10位あたりなのではないかと思われていたが、予選ではQ2進出寸前までいく11位を獲得。さらに決勝ではライバルとはピットタイミングをズラしてタイムを稼ぎ、坪井翔山下健太の徹底した燃費走行もあり、ピットストップでのロスタイムも最小限に。終わってみれば、7ポジションアップの4位入賞を果たした。

No.36 au TOM’S GR Supra

これにより、ポイントランキングでも2番手以下との差を広げ、第5戦鈴鹿を迎える時点で20ポイントもの差をつけた。

この戦いぶりを見せられると、次の第5戦鈴鹿も、上位に進出してきそうな予感。36号車は上限にほぼ近い96kgのサクセスウェイトを背負い、給油リストリクターはさらに1段階厳しいものになる。とはいえ、ライバルたちのサクセスウェイトも徐々に増え始めているため、36号車だけが苦しい状況というわけでも決してない。

おそらく、彼らの快進撃は、サクセスウェイトが上限に達しても、止まることはなさそう。逆に、前人未到の4連覇達成に向けて、どんなパフォーマンスをみせるのか。第5戦の鈴鹿を含めて、ぜひ注目していただきたいポイントだ。

文:吉田 知弘

吉田 知弘

吉田 知弘

幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ

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