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コース上では“ライバル”も、レースが終われば“仲間”……波乱のSUPER GT開幕戦で見られた、ひとつの復活ドラマ
モータースポーツコラム by 吉田 知弘「あと、今回はクラッシュがあった後、僕はピットに残って修復の役割分担の対応があったので、(マネージャーの)宮本さんが医務室に行ってくれたけど、雄飛にも『雄一のところに行って、励ましてこい!』と言いました。そうしたら彼は『こういう時こそ、寿一さんが直接顔を見せてくれた方が、彼も安心するだろうから、寿一さんも一緒に来てほしいです』と、雄飛に言われました。(関口は)相手の立場に立って、物事を考えてくれています。今は雄一と雄飛のコンビも、ものすごく良くなってきています」
写真:筆者提供
「今回のことで、チームがより“ひとつ”になれたと思います。人のことをちゃんと想ってくれているメンバーが、このチームにはちゃんといるということを再確認できました。自分のTGR TEAM SARDの監督をしているなかで、忘れられない1日になりました」
最後に脇阪監督は、39号車復活のために、協力してくれた人のことにも触れ、知らず知らずのうちに忘れかけていた“仲間の大切さ”を強調した。
「“ライバル”と聞くと、日本語に翻訳すると“敵”です。でも、ラグビーの“ノーサイド”じゃないけど、我々も走っている時は敵でありライバルですけど、走り終わったあとは仲間であって、困っている時は助け合う……これは、日本のレース界に古くからあったことだと思います」
「そういう関係性というのは、最近になってレース界に限らず、世の中でどんどん薄くなってきている気はしますが、今回の件で、その大切さをものすごく感じさせてもらいました」
過去にも、SUPER GTでは、予選日にクラッシュを喫して、メカニックが夜通しで作業し、決勝出走に間に合わせるというケースは何度かあった。一見、当たり前の光景に見えがちだが、実はその裏には、ここでも語りきれないほど、数々のドラマと、チームの枠を超えて“決勝レースのスターティンググリッドに並びたい、並んでほしい”という想いが詰まっているのだ。
こういったクラッシュは、本来あってほしくないのだが……いざという時には諦めずに頑張り、困っていることがあれば、お互いに助けあう。そういう光景が見られるのも、SUPER GTというレースなのかもしれない。
文:吉田 知弘
吉田 知弘
幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ
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