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優勝したハーツ・チームJOTAの12号車ポルシェ963
世界耐久選手権(WEC)の第3戦をテレビ観戦していただいた皆さん、お疲れ様でした。
解説の仕事をいただき、今回は後半パートを担当させていただきました。3戦目にしてようやくシリーズ従来のレギュラーコース、ベルギーのスパ・フランコルシャンの6時間レースなので、荒れる展開は予想してはいなかったのですが、ボクが担当するパートに入った途端にアクシデントが発生して赤旗が提示されてレースは中断。ボクの担当は、日本時間で5月12日の午前0時からラストパートのゴールまで約2時間のレース解説と表彰式、第3戦の感想などをまとめて午前2時半には終わる予定だったのですが…。
ホームストレッチからタイトな右の1コーナー、ラソースから下って高速コーナーで有名なオールージュを抜け、ラディオンを上ってキャメルストレートへ。このストレートでハイパーカークラスの99号車を3号車がちょっと無理に抜きにかかって追突接触、姿勢を崩した2号車がLMGT3クラスの31号車を巻き添えにして大クラッシュ。幸いにドライバーは無事だった。このアクシデントでガードレールとキャッチフェンスのワイヤーネットが破損。修復に約1時間30分かかり、レースが続行されるかどうかを現地からのオフィシャル情報をチェックしながら土屋武士氏と実況の笹川裕昭氏とコメントを繋いだのです。6時間レースの残り時間タイマーが文字通り刻一刻とカウントダウンされ、残り時間30分を切り20分を切る状況となった。修復作業が終わり、再スタートされたとしてもそのままチェッカードフラッグが振り下ろされるかなと思いきや、中断時間分を延長してレースが再開されるというレースコントロールからの情報が提示された。結果、残り1時間44分のレースへリスタート。当初の予定は6時間レースだったけれど、トータル7時間44分のレースとなった。
時間レースで赤旗提示から中断した時間を延長するというレースを見たのは初めてだったのでびっくり。しかし、スポーティングレギュレーションには、レース時間の変更を行うことがあると明記されているとのこと。日本時間は夜明けを迎えようとしてわれわれコメンタリー陣の体力的にもかなりの耐久レースとなっていました。
異例のリスタートとなったことでフェラーリ陣営は優勝が奪われたとして抗議を出したけれど、それは却下された。
これまでスパ・フランコルシャンのコースで連勝しているトヨタ陣営だったけれど、スタート前からペナルティを受けるなど、出鼻をくじかれた感が強い。バランス・オブ・パフォーマンス(BOP)によって拮抗したシリーズを展開させようとしているWECだけれど、それが各メーカーのパフォーマンスの個性を潰してしまっているような気がしている。
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文:高橋 二朗
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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