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コース上では“ライバル”も、レースが終われば“仲間”……波乱のSUPER GT開幕戦で見られた、ひとつの復活ドラマ
モータースポーツコラム by 吉田 知弘「自分自身は寝られていなくて、夜通しで色んな作業をさせられているのに、それでも雄一のことをずっと心配してくれている……。クラッシュというのは、ネガティブなものだと思っていましたけど、今回のクラッシュを機に“人の温かみ”を確認できましたし、これがチーム、これがモータースポーツだと思いました」と語る脇阪監督。
紆余曲折はあったものの、なんとかマシンの修復が完了。時刻は決勝日の朝6時を過ぎていたという。メカニックたちは安堵する間もなく、一旦宿泊先のホテルに戻り、荷物を引き上げて再びサーキットへ。慌ただしく決勝への準備を進めていった。
その様子を、最後まで傍らで見守った脇阪監督は「最後に形になった時は、ものすごく嬉しかったですね」と笑顔を見せていた。まさに、絶体絶命のピンチを乗り越え、TGR TEAM SARDのメンバーの絆が、一段と深まった瞬間だった。
迎えた午後の決勝レース。公式練習でのトップタイムから一転し、GT500最後尾の15番グリッドについたとき、グランドスタンドから、自分たちが応援しているメーカー、チームの枠を超え、無事に復活を遂げた39号車に大きな拍手が贈られていた。
レースは、天候が目まぐるしく変わる大混乱の展開となったが、39号車は最後まで粘り強く走り切り8位でフィニッシュ。貴重なポイントを獲得した。
本来、クラッシュというのはネガディブなイメージに捉えられがちだが、脇阪監督は今回の件で、新たな発見と、チームの絆を再確認することができたという。
「『クラッシュ』と聞くと、我々の世界では、怪我とか修理費とか、レースを失うとか、超ネガティブなイメージ。ポジティブなことなど何ひとつないと思っていました」
「だけど、こうして一晩“クラッシュ”というものと、それを修復する人たちに寄り添って、自分なりにできることを多少なりとも手伝わせてもらいながら、邪魔をしないようにしながらも、ちょっとでも役に立つようなことをやらせてもらいました」
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