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コース上では“ライバル”も、レースが終われば“仲間”……波乱のSUPER GT開幕戦で見られた、ひとつの復活ドラマ
モータースポーツコラム by 吉田 知弘「ちょうど近藤代表と僕は、チームミーティングに出なきゃいけない時間だったんですけど……みんながそこまでやってくれるから、ミーティングはドライバーとエンジニアに任せて、僕たちも一緒に作業させてもらいました」
「彼らは(サーキット内にある)ロッジに泊まっていたらしくて、ギリギリの時間まで手伝ってくれました。もし、彼らがいなかったら、完璧にカラーリングが仕上がった状態で決勝レースを走ることはできていなかったです」
やはり、メカニックにとっても、GT500の車両に携わるのは憧れのひとつ。今回はカッティングシート貼りという形だったが、献身的に手伝ってくれたLMcorsaのメカニックたちの名前を、左リヤのフェンダー部分に記入してもらい、その下に『LMcorsa』のステッカーを貼った。最後に脇阪監督が“感謝”と記入。こうして、土曜日にクラッシュしたマシンとは思えないくらいピカピカの状態で、39号車が蘇った。
マシンには『LMcorsa』のステッカーとメカニックの名前が記された。写真:筆者提供
これ以外にも、他のチームからメカニックの夜食が差し入れられるなど、普段はライバルとしてコース上で競り合う相手も、こういう時は“仲間”として、助け合いの精神で、協力の輪が広がっていた。
そうした周りの協力もあり、ボディのカラーリングは完璧に仕上がったのだが、マシン本体の修復もかなりの時間を要していた。
時刻は日付が変わり、午前4時。マシンの組み付けに入ろうというところで、新たな問題が見つかる。
「作業の中でも優先順位をつけながらやっていきました。まずはエンジンをかけて、(エンジンが)大丈夫かどうかを確認しなきゃいけなかったです。夜中も作業を続けていくなか、朝4時にカッティングシートを貼って大丈夫だと思っていたものが、実はダメだったというパーツを見つけて、そこからエンジニア2人と僕とがリヤフェンダー部分のパーツの作業をしていました」と脇阪監督。
ここまでくると、メカニックたちの疲労も限界にくるのだが、このチームに何年も携わるベテランメカニックの1人が「雄一、ちゃんと寝られているかな」とつぶやいたという。
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