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その後も、積極的にタイムを刻んでいき、序盤の数周は1分40秒台をキープ。それまでの“チャンピオン獲得のために”走っていたレースとは打って変わり、自ら展開を仕掛けていく“勝ちにいくための”走りに変わっていた。
13周目に2度目のセーフティカーが導入されたことで、それに合わせてピットストップを行ったが、トップで迎えた2度目のレース再開時には、加速するポイントをわざと変えるなど、後方への牽制も忘れない野尻。そこからは、前半同様に後続を圧倒するレースを披露。4月の第2戦富士以来となる今季2勝目を飾った。
「ずっとポールから勝てないというようなレースが続いていて、個人的にはどうしても勝ちたいなという思いがどんどん強くなったときもありました。でも、『今はチャンピオンを見据えて走るときだ』と自分に言い聞かせていたところがシーズンずっと続いていました。今回はもう何もないんで、かなりリスクをとって最初から常にプッシュし続けて、“自分へ挑戦するレース”にしたいと僕自身思っていました。個人的には、今まででベストなレースができたんじゃないかなと思います」(野尻)
改めて、王者野尻の速さと強さ、その下支えとなっているTEAM MUGENの底力を見せつけられた最終大会。大混戦と言われる今のスーパーフォーミュラで、ここまで頭ひとつ抜けるパフォーマンスを見せるのは、非常に珍しい例だ。それだけ、今の彼らには“最強”という言葉がふさわしいのだろう。
文:吉田 知弘
吉田 知弘
幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ
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