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一方の笹原は、1分41秒台前半のペースをキープし、野尻を引き離す勢いで周回を重ねていった。宮田莉朋(Kuo VANTELIN TEAM TOM’S)や平川亮(carenex TEAM IMPUL)がレース終盤までピットストップを引っ張る戦略でいたため、少しでも気を緩めれば彼らに逆転される恐れがあった。だが、この日の笹原はそんな心配を感じさせないくらいの力走をみせた。
全車がピットを済ませると、再びトップに浮上。2番手には野尻がつけたのだが、その差は7.6秒に広がっていた。何事もなければ、トップは安泰という状況だったが、笹原は最終ラップまで1分41秒台を刻み、最終的に12.5秒もの大量リードを築いて、今季2勝目を挙げた。
彼にとっての初優勝だった第6戦富士では、セーフティカー導入のタイミングなどが味方し、大幅に順位を上げることができた。ある意味で“運の要素”が大きかった1戦ではあった。だからこそ、“純粋な速さ”をみせつけて優勝を飾りたいという思いは強かったようだ。
「とにかく勝つことしか考えていませんでした。トップに立ってから、ペースをコントロールするという選択肢もありましたけど、僕自身としては全てを出し切りたかった。自分の速さとチームの強さを存分に見せつけたかったです。その結果、こういう形で締め括れたので、非常に良かったです」
結果的に、王者野尻を凌駕する勢いをみせ、TEAM MUGEN初のチームタイトル獲得にも大きく貢献する勝利となり、リザルト以上に得たもののあった最終戦となった。
そして、終始堅実な走りをみせて2位に入ったのが野尻。2年連続でのドライバーズチャンピオンが決定。パルクフェルメでは、珍しく雄叫びをあげながらガッツポーズをみせた野尻。これまでチャンピオン獲得のために、相手の戦略に合わせたレース運びをするなど“優勝を目指す”のではなく“確実にポイントを稼ぎに行く”ことを徹底していた。
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