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モーター スポーツ コラム 2022年1月13日

寅年、御柱祭

今日も今日とてプッシュ&ルーズ by 高橋 二朗
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長野県諏訪大社で開催される御柱祭。

新年明けましておめでとうございます。
とっくに松も明けてのご挨拶ですが、今年初めての小欄ですので、悪しからず。

今年は、学校も会社も今週からスタートを切っているところが多いようですね。ボクは先週からとっくにスタートを切っています。

今年は、寅年。ボクの親父の干支。すでに他界していますが、生前に寅年と申年に行われる長野県の奇祭、御柱祭を一緒に観に行ったのを思い出します。
諏訪大社の上社と下社では異なる御柱祭の形式で、我々が観たのは5月の下社、木落し。山から切り出した巨木を里で曳き回し、最後に最大傾斜35度の木落坂で落とす。その巨木に曳子と言われる氏子が跨り、落ちる瞬間から最後まで木から落ちずに坂を下り、その先頭に乗っていた氏子が華乗りとして栄誉となる。木落坂を下から臨むとその角度に圧倒された。計8本の御柱が落とされる。ゆっくりと巨木の先端が坂の頂点に顔をのぞかせて、少しずつ押し出され、最後には御柱を縛って止めていた追掛綱を斧で断ち切ると10トンの巨木が坂を滑り落ちる。坂に押し出される【静】と綱を切られて滑り落ちる【動】のコントラストがすごい。100メートルの坂をわずか10秒で落ちる。急傾斜の坂で転がりケガをする氏子は後を絶たない。時として死者も出る。しかし、平安時代が起源というこの祭りは続いている。

祭りの後、諏訪湖畔の宿で親父が「モータースポーツもこの御柱祭と同じだな」と言ったことに反論した。モータースポーツは、人間の理知と叡智で速さを追求している。アクシデントの結果として命を失ったしまうドライバー、関係者がいたことは事実。しかしながら、その安全性とスポーツ性は素晴らしい早さで増している。と、いう内容のことを伝えたと記憶しています。それに対して親父は、嬉しそうに微笑みを返してくれた。

スピードに対する恐怖心は誰にもある。それを克服する。そして、誰より先にゴールする。そこには蛮勇だけでは得られない要素が不可欠で、それはドライバーだけでは成し遂げられない。父親に対してモータースポーツに対する自分の思い、考えを細かに伝えたことは殆どない。あの木落坂の夜にほんの少しだけ伝えたのかな。もっとしっかりと伝えておけたのならモータースポーツの理解者をもう一人増やせていたのにと後悔しても、これこそ後の祭り。

文:高橋 二朗

高橋 二朗

高橋 二朗

日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。

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